今日は内輪話も多くなるからと野良補充なしでの5人パーティー。
それでも相変わらず全開なユキ君と、そのユキ君にタゲを奪われない様に火力重視装備らしいコウ、そしてその二人を底上げするユートのおかげで普通の野良パーティーよりは遥かに稼げている気がする。
景気良く攻撃魔法をぶっ放しながらユキ君が口を開いた。
『ここ数日公式どころじゃなかった』
と、コウのごもっともな答え。
開発通信というのは公式サイトの1コーナーで文字通りこのゲームの開発チームからのお知らせとか雑談とか諸々。
『あ~そうだよね。でもさ、今日面白かったよw』
『何が?』
コウもタゲ維持に必死で余裕なくなってきてるな。
返答が短い。
まあ…ぶっちゃけあれだけヘイト稼ぐ間もなくガンガン攻撃魔法ぶちかます魔導師がいて敵のタゲ維持するのは並大抵の苦労じゃない。
撃つ方は気楽みたいだけどね。
『なんとね、ここの運営チームの会社の跡取り様もこのゲームやってんだってよww』
ユキ君の言葉に隣でユートがコーラを吹き出した。
私もあやうくユートから受け取りかけてたコーラのペットを取り落とすとこだったよ。
コウは無言…。
てか下手に反応できないんだろうな。
私がチラリと隣のユートに視線を向けると、ユートがそれに気付いてうなづいた。
『そうなん?どんな人だって?』
そしてユートが今タゲ維持でテンパッてるコウの代わりに聞く。
ユキ君て勘がいいから、ホントにうかつに反応できないしね。
『それがさ、開発陣もあったことないらしいんだけど、頭良くて運動神経良くて統率力もあってっていう出来過ぎな…なんと大学生らしいよっ』
間違い…ないね。コウの事だ。
『でね、現社長が大絶賛で跡取りにってスカウトしたんだってさっ。
俺さ、それ聞いてもしかしてコウ?って思ったんだけどっ(^o^)』
うあああ~~~なんて鋭いユキ君。
青くなって無言の私とユート。
しかし、ザン!と対峙する敵を斬り捨てて、コウの一言。
『俺がそんな権限ある立場なら間違いなくどこぞの特攻野郎の魔法のリキャスト倍にしてるぞ』
『あははっ、でも余裕でタゲ維持してんじゃんw
もっとリキャ短くてもおっけぃっぽいよねww』
『ざけんな~!
お前はポンポン魔法撃つ合間に雑談できるほど余裕かもしれないが、こっちは必死だっ!』
ナイスだ、コウ。さりげなく話題をそらしてる。
ユキ君も本気で追求したいわけでもなくて、単なる雑談だったらしく
『いやいや、マジそのくらいすごいってっ。
俺さ、このゲームでタゲ動かさない盾って初めてみたよ?w
それだけじゃなくて被ダメ最小限に抑えてるっぽいしさっ。
あれっしょ、その時のヘイトの乗り具合ですごぃマメに装備かえてるっしょ。
被ダメが本気でヘイト稼いでるぽい時と通常時ですげえ違うし。
俺これだけ上手い奴って会った事ないよ?w』
と、話を綺麗にそらされてくれる。
まあ…コウがすごいのは当然なんだけど…そこまで細かく見てるユキ君もすごいな。
『そそ、あと同じく公式のイベント情報でさ、面白いイベントあったよw』
『へ~、どんな?』
話題が移ってホッとしたユートがまたそれに反応する。
『ユーザー投票でさ、あなたが選ぶベスト○○みたいなやつw』
ほ~~。
『覚えてる限りでは…盾、アタッカー、…ヒーローなんてのもあったな』
『命知らずの特攻野郎って項目あったら間違いなく1位取れるな、ユキ』
そこでコウがつっこみをいれると、
『うわあ♪そんなに褒められると照れちゃうなっ(^o^)』
とユキ君。
もちろんそれにも
『褒めてないっ!』
というのはお約束。
ユキ君がいると普段無口なコウが若干饒舌になってパーティー自体が結構明るい雰囲気になる。
コウのきつい言葉をユキ君が巧みにツッコミに変えちゃうからだろうな。
ユキ君がすごいのはそれだけじゃない。
相手がフロウちゃんなんかだと柔らかいツッコミ役にも大変身なんだ。
状況が状況だけにうかつに動けないけど、個人的にはそんなユキ君の人物像がちょっと気になったり。
そして0時。
私達はたいていその時間にはログアウトしてて、その日も0時落ち。
結局ギル君のウィスもこなかったみたいでなかなか平和に終わったのだった。
その後私とユートは一緒に公式サイトをのぞいてみる。
まずは開発通信をクリック。
ユキ君が言ってた記事は新人が自分視点で開発部や今回のゲームの様子について語っているブログみたいな物。
その中で先輩の雑談として跡取り様の話が出て来てる。
** 新人Xの開発部日記 **
それは昨日の出来事である。ユーザー情報の管理をしているA先輩がボ~っと画面を見ながら
「跡取り様、どの人かなぁ…」
とつぶやいた。
跡取り様?なんなんだ?
俺が不思議に思って聞くと、隣のベテランB先輩が
「なんだ、お前知らんのか?あ~新人だもんな」
納得したようにうなづく。
その言葉に狭い室内の数人の先輩達がよってきて、その謎の人物について説明してくれた。
これは開発部では公認の秘密とのことだが、どうやらうちのゲームをうちの会社の社長の
跡取り様がプレイなさってるらしい。
「ということは…特別仕様のキャラだったりするんですねっ」
と言う俺に呆れた目を向ける先輩達。
「お前な、特別仕様のキャラなんか作ってたら俺らにわからんわけなかろうがっ」
はい、お説ごもっともでございます。
そして、お前は余計な突っ込み入れずに黙って聞いとれ、と、みんなにこづかれながらかしこまる俺。
「他と全く同じ条件で普通のプレイヤーとしてプレイなさってるらしいぞ。
清廉潔白を絵に描いたような方で、特別扱いなんかした日にはキャラデリしかねないからソッとしておいてやってくれと、社長様直々のご命令らしい」
「そもそもが子供のいない社長がその優秀さにぜひ跡取りにと熱烈ラブコールを送ったくらいの頭脳明晰にして容姿端麗、運動神経も並みじゃないと言うスーパー大学生らしいから、特別扱いするまでもないらしい」
「数年前の高校生連続殺人の犯人を素手で取り押さえたスーパーヒーローらしいぞ」
などなど、知らなかったのは俺だけかというくらい、色々な逸話の出てくる跡取り様。
なかにはあまりに出来すぎてて本当にそれ大学生かよ?というような逸話もちらほら。
そのくせ本社の方々ですらその姿を拝見した事のある人がほぼいないと言う、謎の人物…。
ほとんどイルヴィス王国内都市伝説と言った感じだが、もし実在の人物ならぜひお会いしてみたいものだ…。
プレイヤーの皆さん、もしかしたら今あなたのパーティーにいる人が実は跡取り様の世を忍ぶ仮の姿かも?
******
「この情報って…わざと流してるよね…どう見ても…」
私の言葉にユートがうなづいた。
「直接手を出すとキレるからってあざといなぁ…」
「まあ…ゲームやらせる手段自体があざとかったわけだから…」
そこで二人してため息をつく。
「よっぽど…コウを跡取りにしたいんだね……」
「……うん…」
もうある意味手段選んでないよなぁ…。
つか、本人了承してないどころか絶賛辞退中ななかで跡取り様と断言してるあたりがもう…ね。
そのうち本人特定されるような情報でも流しそうで怖い。
「すごくうがった見方するとさ…ベスト○○コンテストってのも、コウを跡取り様って周りに認識させる罠かもなぁ」
ユートが言いつつイベント情報をクリックした。
「散々、跡取り様は優秀だから特別扱いするまでもないなんて書いちゃったらさ、ゲーム内でも特に上手いプレイヤーだって宣伝してるようなもんだし…ベストなんちゃらになんか選ばれたら勘ぐられるの目に見えてんじゃん」
ああ~~なるほど!
だとしたら…絶妙すぎて真面目にあざといなっ。
そんな事を考えながら画面に目をやってるとユートが開いたイベント画面が徐々に表示されて行く。
☆☆ 第一回あなたが選ぶベスト○○コンテスト ☆☆
レジェンド・オブ・イルヴィスをプレイ中の皆様、お待たせしましたっ。
予告通りユーザー参加型イベント第一弾、あなたが選ぶベスト○○コンテストを実施いたしますっ!
みんなでパーティーを組んでいた時、「あの人上手いな」「あの人可愛いな」そんな事を思ったことはありませんか?
そんなあなたの熱い思いを票にしてぶつけて下さい!
参加方法は簡単ですっ。
投票したい項目をクリックし、投票したい相手のキャラ名とジョブ、そのキャラについて思う事を明記して、投票ボタンをクリックするだけです!
※同じキャラによる同一項目の複数投票は不可とさせて頂きます。
投票実施期間8/5~8/12 結果発表 8/13
下の各項目をいますぐクリック☆
ベストオブヒーロー
おお~この人って勇者っぽい!カッコいい!そんな男キャラがいたら即投票!
ベストオブヒロイン
あなたの萌えキャラを教えて下さい!可愛い綺麗そんな女の子にぜひ投票しましょう。
ベストオブ盾キャラ
この人がいれば魔王の攻撃も跳ね返してくれるに違いない!
そんな盾役に出会ったあなたは迷わずクリック!
ベストオブアタッカー
一騎当千!イルヴィスの闇を振り払えるその一撃!
そんな一撃を持ったキャラにぜひ一票
ベストオブヒーラー
この人に癒されたい!乾ききった身も心も癒してくれるその人を教えて下さい。
*****
「跡取りの事を別にしたら…面白そうな企画ではあるよね」
ユートが言った。
確かに自分がたまたま入った野良パーティーとかに有名人とか、結構楽しい気がするっ。
面白いプレイヤーのキャラクター性ってMMOの醍醐味だしっ。
「自分がさ、物語の登場人物やアイドルとかと行動する感じだよねっ」
私が言うと、
「まあ…俺達はすでにそれに近いけどね」
とユートが苦笑。
う~ん、それは確かに。
「でも俺はお姫様より普通の彼女のがいいな」
公式からログアウトしてパソコンをパタンと閉じると、ユートは私を振り向いた。
そのまま顔が近づいて来て、唇に暖かい感触。
「ちょっと待った…。今日はフロウちゃんの護衛でしょ」
そのままベッドに押し倒そうと私の肩に手をやるユートに私が慌てて言うが、
「ゲーム内でだけでおっけぃでしょ。向こうは向こうでやってるだろうし」
と、ユートは続行しようとする。
「ちょっと待った!電話っ!」
その時鳴り響く内線。
チっと舌打ちするユート。
それでも仕方なく電話を取るなり
「コウ~邪魔っ!もうさ、空気読めよっ。このタイミングで呼び出しってありえねえよ~」
と、いきなりかます。
「あ?脱いでないっ!始めてないけどっ?」
ユートとコウ、何話してんのよっ!
真っ赤になってユートをにらみつけてると、いきなり遠慮がちなノックの音。
ユートがドアに飛びついてやや乱暴に開けると、コウが立ってる。
「アオイは?」
と言うコウに私もベッドから飛び降りた。
「邪魔して悪いな」
と、言いつつ、チラリと自室の方に目を向ける。
「終わったらでいい。俺の部屋に連絡頼む。
姫自室に戻すからアオイも姫の部屋で寝てくれ」
「はあ?」
ポカ~ンとするユートと無言で赤くなる私。
終わったらって…なんていうか…相変わらず情緒ってものが欠落しすぎだよ、コウ。
「コウは?何してるん?」
まあ色々な意味で聞いてるんだろう、ユートの質問にコウはきっぱり
「仕事」
と答えた。
はあ???
「まあ…正確にはバイトか。
翻訳とか社内で使う簡単なシステムツールとかweb関連とか…。
できる範囲の仕事を貴仁さんに回してもらってる。受験終わって試験前以外は暇だしな。
今は特に姫ん家いて家事姫がやってくれてるから」
コウの言葉にユートは大きく肩を落とした。
「あのさ…彼女と2ヶ月も一緒で他にやることないん?
つかさ、コウ…青少年ならさ、彼女部屋に戻すなよ」
「いや…青少年だから彼女に自室で無防備に眠られると困るんだが…」
「…初めて会ってから2年だ。二人きりになる機会なんて山ほどあるだろ。
やってないとかないよな?」
もう…ユート煮詰まってるよ…。そこまで話す?
…って思いつつ私も少し興味が…。
「子供とかできた時に責任取れん状態のうちはやらん」
うああ…コウだぁぁ。
「マジ??確かに高校の頃そんな話してたけど…いまでもそんな事言ってんの?」
目を丸くして身を乗り出すユート。
「自分が親になる時に生活親に丸抱えは嫌だから。
元々プログラムは必要かと思って暇見つけて勉強してたから大学入ってすぐくらいから仕事始めてて…最近はまあたぶん自分の身一つくらいはなんとかなるくらいにはなってきたんだが、子供とか考えるともうちょい余裕欲しいしな」
……どこまで石橋叩いて渡らない堅実人生なんだよ……
つかさ、あなたの人生はお友達からもう即妻子に行っちゃうんですか?
恋人時代はどこ行ったよ、どこに……
その辺の異様なバランスの悪さがコウらしいっちゃコウらしいんだけど…。
呆然と呆れ返る私とユートの沈黙をどう取ったのか、コウは
「あ、でもそれはあくまで俺の主義だから、お前達はお前達で好きにしろ」
とよく訳の分からないフォローをいれる。
ええ、ええ、私達にはそんな生き方は絶対に無理。
「うん…まあ…好きにするわ…」
ユートが目を丸くしたままコクコクうなづく。
もう怒る気も失せたらしい。
「んじゃ、まああとで連絡くれ」
とコウが反転、部屋に戻りかけてツと足を止める。
「あ…」
「なに?」
聞き返すユートに一言
「避妊はしとけよ。しないで何かあっても相談は受けんからな」
と、残して部屋に消えた。
自分達も部屋に入ってパタンと後ろ手にドアを閉めるユート。
そのままベッドにダ~イブ。大の字でうつぶせに寝転んだ。
私はその隣に腰を下ろす。
「将来ってさ…もう考えてないとだめ?」
顔だけチラリと向けてユートが口を開いた。
「ん~不景気で就職難らしいよ?世間」
私が座ったまま足をブラブラさせて言うと、
「そっか~駄目かぁ…」
とユートはまたベッドに顔をうずめた。
「いや、まあ考えるに超した事はないけどさ、ユートなんのかんの言って要領いいから大丈夫っしょ。
問題は私だよ~。」
「ん~女の子はほら、永久就職あるからっ」
ベッドに顔うずめたまま言って、次にユートはまた顔を上げた。
「でも…共働き無理だったらパートくらいはしてねっ、俺たぶん甲斐性なしだからっ」
とニカっと笑う。
その言葉に私も小さく笑った。
とりあえず…この関係の先を考えてくれてるのは素直に嬉しい。
それから私達は1時間ほどベタベタした。
「もう…いっちゃうん?」
ベッドを抜け出そうとすると、ユートが眠そうな…でもちょっと悲しそうな目で私を見上げる。
こういう時のユートははっきり言って可愛い。
留守番を言いつけられた子犬みたいだ。
「約束だしねっ。まあ…宿泊料みたいなもんだし」
私はサラリとユートの髪をなでて、ベッドを完全に抜け出すと服を着る。
「しかたないね…でも…」
「でも?」
私は手早く手櫛で髪を整えながら振り返った。
「姫と浮気しないでねっ」
ユートがにやりと言うのに、思わず吹き出した。
「それは…個人的希望としてはわかんないけど、やったらほら、コウに殺されちゃうしっ」
私もそれに軽口で返す。
ユートは私の返答にえ~と抗議の声をあげ、わざとらしく頬を膨らませた。
「うっそん♪じゃ、行くね」
と、私はそのユートの頬をプスっとつつくと部屋を出る。
そしてその足でコウの部屋のドアをノック。
パタパタとスリッパの音がしてフロウちゃんが出てくる。
「ごめんなさいねっアオイちゃん。
私は別にコウさんの部屋でも良いんですけど、コウさんが仕事の邪魔だからって…」
と言うフロウちゃんの後ろにはコウ。
「当たり前だ。姫黙って寝てないでいたずらしかけてくるし。
アオイには迷惑かけずにちゃんと寝ろよ」
と、フロウちゃんを見下ろして言う。
なんか親子みたいだ。
フロウちゃんはそれに対して
「は~い♪」
と可愛らしい返事を返した。
そこで小さくうなづいて、コウは今度は私に目を向ける。
「というわけで悪いんだがお守り頼むな」
と、言いつつまたチラっとフロウちゃんに目を向けた。
なんというか…彼女の事可愛いんだろうなぁって思わず納得する様な優しい目をするんだよね、
フロウちゃん見る時のコウって。
あのキツい視線がすごく柔らかくなる。
「了解っ。一命に変えてもお守りいたしますっ」
と、ふざけて敬礼をすると、私はフロウちゃんを伴ってフロウちゃんの部屋に戻った。
「アオイちゃんと一緒のベッドに寝るのって久しぶり~♪」
ちゃんと寝ろよって言うのに思い切り良い返事を返していたわりに、目がランランで寝る気のなさげなフロウちゃん。
ベッドの上でピョンピョンはねている。
「アオイちゃん、例のコンテストみましたっ?」
と、テンション高く聞いてくる。
「うん、なんだか面白そうだよね」
「私ねっ、さっそく投票しちゃいましたっ」
フロウちゃんらしいといえばらしいんだけど…コウ目立っちゃまずいと思うんだけど…
「何に?」
と一応聞いてみると、フロウちゃんはニッコリと
「えとね、ベストオブアタッカーにユキさんとかっ♪」
おろろ、いきなりそっちなのか。
なんというか…彼氏は華麗にスルー?
「コウには…いれなかったの?」
と聞くとフロウちゃんはちょっと首をかしげて可愛い眉を寄せた。
「えっとね…コウさんて何に入れたらいいか謎すぎて…。いわゆるヒーローにしては天真爛漫さにかけるしアタッカー…にしては攻撃以外にも気になっちゃう事いっぱいだし、盾…はガーディアンじゃないし、もちろんヒロインやヒーラーじゃありませんしねぇ」
あ~~そう言われれば…確かにピッタリくるものがないかも…。
でも…フロウちゃん楽しそうだなぁ…。
本当に純粋にイベントを楽しんでるね。
私達もあんまり考えすぎないで楽しんだ方がいいのかもだけど、どうしても色々気になっちゃって楽しめないんだよなぁ。
でもこうやって無邪気に楽しんでるフロウちゃん見てると微笑ましい気分になるっていうか…こっちまで楽しい気分になってくる。
なんていうかちっちゃい妹を持ったお姉ちゃんになった感じ。
私は小生意気な弟だけしかいないから、こんな素直で可愛い妹いたら楽しかっただろうなって思う。
お姉ちゃん、もう頑張って守っちゃうよ?
そんな事を考えてるとフロウちゃんが小さな可愛いあくび。
「眠いでしょ。寝よっか」
私が言うと、フロウちゃんはあくびのため少し潤んだ目で私を見上げてフルフル首を横に振った。
私…ユートもそうなんだけど下から見上げてくる目線に弱いのかも知れない…。
どうしよう…めちゃくちゃ可愛いと思ってる自分がいるんですが…
おまけにそんな反則な可愛さで、フロウちゃんはまためっちゃ可愛い声で
「アオイちゃんと一緒に寝るの久々ですし…寝ちゃうのもったいないです」
とか可愛い事言ってくれちゃうよ。
もうさ…この可愛さの塊な彼女が据え膳状態で手を出さないコウってすごいよ。
ただ者じゃないっ。
それでも眠さに勝てないのかコシコシ小さな拳で目をこする様子も、もう可愛すぎてお姉さん陥落しそうです…
結局当分泊まるのだからということで納得させると、フロウちゃんはコテンと熟睡。
美少女は眠ってても美少女で…その寝顔にしばしみとれながらもいつのまにか私も眠りに落ちた。
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