「男性陣、本気かな?
ドレスとか、本当に作るの?」
夕食後の話し合い後、女子部屋に運ぶものを運んで居間に戻る男子を見送ると、パジャマに着替えながらそう言う亜紀に
「「そのくらい普通に作ると思う(わ)」」
と、声を揃える義勇と蜜璃。
「錆兎もだよ。
というか、月1でプレゼント作る彼氏会をしてるから、2人で」
と続く二人の言葉。
そして
「「拝島(君)も次回からは参加だ(よ)ね、きっと」」
と、これも二人でハモった。
そこからはハートやら星やらの可愛らしい形のクッキーを齧りながらの恋バナが始まる。
まずは蜜璃が小等部の入学式の日の翌日に、幼稚舎からの友達同士というクラスメートが多い中でなんとか馴染もうと思い切って後ろの席の子に一緒に帰ろうと声をかけたら、友達と帰るからと断られて泣きそうになったところに、声をかけてくれた隣の席の男子が伊黒で、それから運命を感じた話をすれば、義勇は炭治郎にレジェロ上で紹介されてからの、錆兎のまるでおとぎ話の王子様のようだったエピソードを語る。
「そう言えば…亜紀ちゃんはレジェロやってるの?」
と、そこでふと気づいたように蜜璃が聞くと、亜紀は頷き、どうせならフレ登録をしようという約束を交わした。
「私はね、ギユウって言うキャラで…」
と口を開く義勇に、
「知ってる。白さんだよね」
と亜紀が言う。
「え?なんで知ってるの?
やっぱり錆兎が有名なナイトだから??」
と義勇が目を丸くしたところで、亜紀は
「今までごめんなさいっ!」
と、いきなりガバっと頭を下げた。
「え?え??」
と、蜜璃と二人で戸惑う義勇に、亜紀は高等部に入ってからは実質手はだしていなかったものの、義勇に対する武藤の嫌がらせは知っていて見て見ぬふりをしていたこと、レジェロでも義勇のキャラのギユウの嫌がらせをしていたヒメというキャラの中の人は実は武藤まりで、亜紀はそれも知っていて、頼まれて彼女のキャラにゴールドを渡したりもしていたこと、全て自分がまりの標的になるのが怖くて、黙っていたことを告白する。
ぽか~んと固まる二人。
「…えっと……」
と、先に口を開いたのは義勇の方だ。
「そんな風にもしかしたら自分がいじめられるかもしれないのに、体育祭の時、靴貸してくれたんだ…すごいね」
と、その義勇の言葉に、
「そうよねっ!
それだけじゃなくて、靴や靴下の汚れが落ちるようにってすぐ洗ってくれてたし。
大丈夫よっ。亜紀ちゃんが悪い子じゃないのは私もわかるからっ。
もし男性陣に何か言われても、ちゃんと言ってあげるっ!」
と、蜜璃が亜紀の手をぎゅっと握る。
「うん。私も錆兎にちゃんと言ってあげるよ」
と、義勇もさらに手を重ねた。
そこで実はもう錆兎が知っていて許容してくれていることを伝えた亜紀は、伝えてから、これはもしかしてまずかった?と焦ったのだが、義勇はそれに、『さすが錆兎っ』と誇らしげに言って笑ってくれたのでホッとする。
そうして全てを打ち明けて、秘密も何もなくなったところで、乙女たちは改めて話を恋バナに戻して盛り上がるのだった。
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