──会長~!!やったっ!上がりましたっ!!推薦取れますっ!!!
10月頭の体育祭が終わってすぐ、正式に新年度の生徒会が発足。
それからまたすぐ中間考査があり、その後は11月の上旬の学園祭に向けて忙しくなる。
まず体育祭の翌登校日に錆兎が信任投票の結果、生徒会長に収まると、そこから慌ただしく他の役員の選出に奔走する。
すでに協力表明をしてくれていた宇髄、義勇、伊黒、甘露寺、そして村田は良いとして、会長以下、副会長3名以上、会計2名、書記2名と、最低でも7名は必要なので、あと2名必要だ。
そこで錆兎は迷うことなく伊藤亜紀に打診する。
忙しくはなるが、学内の地位は上がるし、女子の中で武藤から離れて義勇の側についたと思われているであろう亜紀が、錆兎にそこまで優遇されている…そう認識されれば、武藤を裏切る女子はさらに増えていくだろうという目論見によるものだ。
だから特に最初にこちら側について注目度の高い亜紀については、今後もガンガン待遇をよくしていることをみせつけていく予定である。
もちろん亜紀にとっても錆兎達と行動を共にするだけでなく、教師の注目度もあがるため、武藤が嫌がらせをしにくくなると言うこともあって、喜んでその要請を受けた。
残る一人は拝島空太。
本人が強く望んだということもあるが、何故か2年の女子から拝島を生徒会に入れてやって欲しいという署名を集めたものを提出されたので、一人くらいB組以外の人間が居た方がいいかということもあり、入れることにする。
こうして結局、会長:錆兎、副会長に宇髄、拝島、甘露寺、会計に伊黒、伊藤、書記が義勇と村田とあいなった。
そうして新役員が全員決まって発表したが、それからはすぐ中間考査だったので、朝礼の時に挨拶だけして、すべては中間のあとということになる。
テストが終わってすぐ各クラスや部などが学園祭の出し物を決め、学校側の承認を受けられた団体から活動費を渡すので、初っ端は会計が忙しく、次いで、全団体の出し物が決まればプログラム作成のため、各団体に出し物の説明と共に宣伝文を提出してもらうということで、書記が駆けずり回り、データが集まった所で美術部にプログラムの作成を依頼、その他、当日の全体のことに対する諸々は副会長が、そのすべての工程の統括と学校側との交渉や報告を会長がやるのだ。
錆兎達1年B組は女子の強い希望でノーブル喫茶なるものをやることに決定する。
ようは…メイド喫茶と執事喫茶を合わせたもので、女子はメイド、男子は執事として接客するというものらしい。
恐ろしいことに、かなりの数の男子が自前のタキシードを持っているというのが、さすが両家の子弟が多く通う産屋敷学園といったところだろうか。
「鱗滝君は店長ってことでどう?
会長様だし、普通にフロアにいると指名したいって言う客がすごくて混乱しそうだから」
などと、女子から声があがり、男子も悪ノリし始めて、拒否権なく店長に。
学年の3大美少女と言われる3人を始めとして女子の半数はフロアスタッフ。
あとは自前でタキシードを用意できる男子はフロア。
その他は裏方で飲食物を用意することになった。
そんなクラスの諸々と共に生徒会の仕事も進めていくので忙しいなかでも、彼らはやはり学生で、普通に授業もあるし、テストも返される。
「ウサ、また1位かぁ?」
と後ろから首に腕を回してくる宇髄に、
「あ~…変わらないな。
しのぶも今回も2位だと言っていたし…」
と言えば、元々は几帳面で勤勉ではあるのだろう。
全員が集まるまでゆっくり過ごしている宇髄と違い、すでにデスクで当日に各団体が人員を出して担当する受付や校内パトロールの分担表を作成していた拝島が
「え?僕も二位に戻ったんだけど…間違いじゃないか?」
と、顔をあげた。
「あ~、俺は胡蝶のを直接見せてもらったから、あれじゃね?同点だったとか」
と、それに宇髄が答えると、
「なるほどね。次回はさらに頑張らないと。
鱗滝君の親友としてはねっ!」
と、まだ諦めていなかったらしい野望を口にしながら、書類仕事に戻って行った。
男性陣がそんな話をしていると、女性陣の高く華やかな声が人が少ないため静かな特別校舎に響く。
皆、それぞれに希望する成績が取れたらしい。
特に亜紀はご機嫌で、生徒会室に入ってくるなり、
「会長~!!やったっ!上がりましたっ!!推薦取れますっ!!!」
と、いきなり自分の中間の結果の紙を錆兎に向かって振りかざす。
それに続いて甘露寺も
「私も、私もっ!!やったわっ!これで伊黒さんと産屋敷学園大に行けるわっ!!」
と、はしゃぎ、最後に義勇が
「また順位上がった。
でも錆兎と同じ学部に行きたいから、もっと頑張らないと」
と、それでも嬉しそうにムフフと笑った。
「ま、とりあえずテスト返却も終わったことだし、当座は学祭に集中しないとだな」
と、そんな女性陣に錆兎が言って、彼女達もはぁ~い!と機嫌よく各自のデスクに散っていく。
こうして、これから半月強、産屋敷学園共学科生徒会も忙しい日々が続くことになるのだった。
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