清く正しいネット恋愛のすすめ_92_生徒会役員選挙

二学期最初のイベントは生徒会役員選挙。
9月の第三週までに立候補あるいは推薦。
10月の第二週の体育祭が終わった直後に投票となる。
その選挙が終われば即中間テスト、それが終われば学園祭が待っていると言う忙しさが産屋敷学園の二学期である。


そしてそろそろ9月も終盤。

産屋敷学園の生徒会役員は会長だけは立候補か推薦で複数いれば選挙。
他の役は会長が決めるという方式だ。
そして、たいていは会長、副会長が2年で、そのまま1年の任期をこなして3年の10月半ばで引退。
会計と書記は1年と2年で、だいたいは1年で役員になった生徒が2年になった時に持ち上がりで会長や副会長になることが多いのだが、今年は書記1人を除いて全員3年生で引退。
その現書記は1人残るのは絶対嫌だと再任を断固拒否中という、なかなか大変なことになっているようだ。

そんなことを皆が知っているのは、今日のロングホームルームの時間…担任がいきなり皆の前で打診したからである。

「鱗滝か胡蝶、会長に立候補しないか?」
と。


はしゃぐクラスメート達。
困惑する錆兎と、押し付ける気満々のしのぶ。

とりあえず、何故いきなり一年の自分達に?と状況確認をする錆兎の言葉で、担任が説明をしたというわけだ。

現2年は奉仕活動をする気のありそうな者はみな、委員会に所属しているし、そもそもが現書記が断固として再任はしないと言い切っている以上、全く生徒会の仕事を知らない者だけで回していくのは無理がある。

…ということで、今年の会長職は会長経験者の1年生から出したらどうかと言う話が出たというわけだ。

該当者は中等部の頃の共学科の元会長の胡蝶しのぶと同じく中等部の頃の男子科の元会長の鱗滝錆兎。

どちらもB組なので、担任はどちらかに会長を引き受けさせないと帰さないと厳命を帯びてきているらしい。


「すげえっ!1年生会長かよっ!!」
と、お祭り騒ぎになるのはわかっていての、個別ではなくクラスメート達のいる前での打診なのだろう。

えげつない。本当にえげつない…と、片手で顔を覆ってため息をつく錆兎だが、そこでしのぶは速攻ピシッと手を挙げ、

「私は今年は学級委員なのでっ!
錆兎さんですねっ!会長っ!!
学年1位ですしねっ!!」
と、にこやかに宣言する。

やられたっ!!と、その判断と主張の早さにぎょっとする錆兎だが、

「頼むよ、鱗滝ぃ~~。
俺な、教師の中では若い方じゃん?
先輩達の圧がすごくてな、どちらかに引き受けてもらえるまでは帰るなって言われてんだよな。
うちの娘、今日3歳の誕生日なんだわ。
父ちゃんの帰りめっちゃ楽しみにしてんだわ。
娘がさ、『パパ、早く帰って来てね』なんて言ってくれんのってさ、本当に小さいうちだけだしな。
その貴重な記念日なんだよ、本当に頼むよ…」
などと、泣き落とされれば、家族という言葉に過剰な憧れを持っていて非常に弱いこともあって否とは言えない。

うっ…と言葉に詰まったところに、宇髄が
「もう仕方ねえな、俺もつきあってやるから。
ついでに村田もひっぱって…」
と畳みかける。

そんな宇髄に当たり前に頭数に入れられて
「え?俺?俺も?」
と動揺しつつ、しかし否とは言わないあたりが村田の良い所だ。

「…あの…もし、他に図書委員代わってくれる人がいるなら、私も書記くらいなら…」
と、さらにおずおずと手を挙げる義勇。

「おう、いいぞ!鱗滝が会長に出馬してくれるなら、なんなら教師権限で万が一、代わりが見つからなくて図書委員がクラスに1人になってもOKだ」
と、それに担任がホッとしたようにのっかった。

それでも
「しかし…俺は共学科に来て日が浅いから、役員集める伝手もないし…」
と、錆兎が最後の抵抗を試みるが、そこで、

「居ないなら俺と甘露寺もなってやってもいい。
他ならぬお前のためならな…」
などと、伊黒が言い出すのに、クラス全員が、おおっ??と驚きの目をむける。

ここまでされると、もう嫌だとは言えない。
自分の人生の時間は一分一秒に至るまで甘露寺のためにあるのだと公言し続けた伊黒にここまで言われたら、さすがに拒否はできなかった。

「わかった…。出馬はする。
だが、本当に共学科に来て日が浅いから、他になりたい奴がいれば、必ずしも選挙に勝つというわけではないから、その時はその時でということで…」

と、本人も半信半疑で出馬することにしたわけだが、科は違っても中等部の男子科の元会長が教師達とクラスメートの猛プッシュで立候補となれば、対抗馬になろうなどと言うつわものはなく、結局、そのまま信任投票と言う形で信任を得て、1年生会長ということになりそうである。

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