清く正しいネット恋愛のすすめ_93_嵐の前

日々…色々な意味で視線が痛い。
今回の生徒会選挙の件で、同級生どころか上級生たちにまで思いきり好奇の視線を浴びてしまっている気がする。

──鱗滝く~ん!!!
と、無意味にかかる女子達の声。

同級生のそれには笑顔で、上級生のそれには会釈で返してはみるものの、それが正解かどうかはわからない。
だが、自分があまりにひんしゅくを買うようなことをすると、自分ばかりでなく一緒にいる義勇に危害が及んでも嫌なので、なるべく女性陣の機嫌はそこねないようにと努力はしてみる。

教師陣も本当に厄介な問題をもってきてくれたものだ。
別に生徒会役員をするのが嫌なわけではないが、例年のように書記とか会計、せいぜい副会長までにしておいてくれと思う。

一学期の終わりから色々激動だったので、これ以上気のはるものを増やしたくない。
それでなくとも二学期は行事が多いのだ。


そう、生徒会選挙の公示と出馬の受付が一段落したところで、今度は体育祭だ。
スポーツは嫌いではないし、体育祭自体も嫌ではないのだが、今は上記の理由もあって目立ちたくない。
頼むから目立つことはさせてくれるなよ?と思っていても、当たり前に体育祭の最後の競技、それで順位が決まると言っても過言ではない、男女混合リレーのアンカーだ。

「足が速いという事なら宇髄でもいいだろう?」
と、異議申し立てはしたのだが、当の宇髄から、

「目立つというのなら、やっぱり一番走者だろう?
自分の実力だけで差がつくからな。
アンカーだと、チームが速ければアンカーが多少早くても今更だし、遅ければ他人の尻拭いで、責任の割にうまみがねえ」
と、実に彼らしい理由の却下が入る。

しかもそこで、策士な胡蝶しのぶが
「足が速い人ということなら、女子は私と冨岡さん決定ですねっ!
なんならアンカーの前に冨岡さん入ったらどうです?
錆兎さんにバトンを渡すとなれば、いつもにもまして速く走れそうな気がしません?」
などと、提案し始める。

もちろん、錆兎にバトンを…となれば、義勇だってノリノリだ。

唯一、不死川が
──本人乗り気じゃないところをえげつねえ…
と、同情の目線を錆兎に送るが、義勇を出された時点で錆兎に拒否権はない。

「わかった。走る。走ればいいんだろう?」
と、アンカーを引き受けることになった。

しかし、
「錆兎、大丈夫だよ?
私、足だけは速いし、宇髄も胡蝶さんもみんな学年でも速い方だから、錆兎にバトン渡る時に大きく引き離されてて…なんてこともないから、悪目立ちすることはないから」
と、義勇が言うので、まあ、義勇からバトンを受け取れるということで、すべて良しとするか…と、錆兎も頷く。

こうしてまず絶対に落としたくないリレーのメンバーを決めたところで、あとは他の競技の希望者を1人につき2種目参加をめどで募っていった。


当座は生徒会役員選挙と体育祭で慌ただしい日が続きそうだが、まあ、そのあたりは仕方ないだろう。

体育祭のリレーは目立つのは馬鹿みたいに早い宇髄だろうし、生徒会役員選挙は信任投票なので、特に選挙活動のようなこともしないし目立つことはない。

大丈夫。
全ては問題ないはずだ。

錆兎はそう思ったわけなのだが、たいてい事態というものは、思う通りには行かない。
そう、まだ完全に消火できていない火種は見えないところでくすぶっていて、とんでもない方向へと燃え上がることになるのである。


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