清く正しいネット恋愛のすすめ_78_拝島空太という男

空太は幼い頃から全ての面において優秀な子どもだった。
まずは赤ん坊の頃から顔がいい。

「まあ、なんて綺麗な顔をした赤ちゃん。
将来が楽しみね」
と、会う人みなに言われて、母親は鼻高々だったらしい。

実際、幼い頃の自分の写真を見ると、我ながらなんて愛らしい赤ん坊なんだろうかと感心するほどである。

そうして外見が大変よろしい赤ん坊は知能の方も他の子どもよりもややあったらしい。
周りの子どもよりも色々できるのが早かった。

小等部から名門、産屋敷学園小等部へ入学してからは、つねに優秀な成績を修め続ける。
人当たりだって悪くはない。
運動だってかなり得意で、各学科ごとの運動会では常にリレーのアンカーで、女子の熱い視線を注がれていた。

世界はキラキラと輝いていて、空太の人生はまるで名の通り青空のように晴れ渡っていた。
だが…あれは小等部の4年の頃だろうか…。

いつものようにテストが返って来て、いつものように満点だった。

「拝島、今回も100点だっ。みんなも見習うようになっ」
と、教師が言う。

「さすが拝島君♡」
「顔も運動神経も良くて、頭まで良いってすごいよねぇ」
と、女子のざわめきも慣れたものだ。

ふふん!と思いながらも前に出てテストを受け取る空太だったが、そこでひがんだ男子達から

「隣の組の胡蝶さんだって100点だって言ってたよな。
顔だって拝島と違って芸能人になれそうなレベルの可愛さだし、50mのタイムさ、8秒ジャストらしいぜ?
拝島って8.04秒だったよな…」
と、コソコソッと声があがる。


胡蝶しのぶ…彼女のことは拝島も知っている。
学年3大美少女と言われているほどの綺麗な少女だ。

ただ、空太の好みではない。
男子達の言うように、運動神経も成績も良いせいか、可愛げがない。

中3で同じクラスになった時、中学から出されるようになった校内順位で、担任が10位に入っている人間までは公開しても良いものだと判断したらしく、胡蝶が4位だったことを発表すると、
「勝手に人の成績を公開しないでください」
と、非常に不快感もあらわに言ったので、
「女子にしては頑張っているよ。自慢していい』
と褒めてやったら、ごみクズでも見るような視線を返されて、自分の認識が正しかったことを確認した。

あとの2人は、甘露寺蜜璃と冨岡義勇。
甘露寺蜜璃は少し馬鹿だが愛想が良くて悪くはないのだが、何故か大してカッコ良くもない同級生の男子の事が好きならしい。
一方の冨岡義勇は、こちらは大人しい上に自己評価の低そうな、相手をたててくれそうでなかなか良さそうな少女なのだが、同学年の乱暴者、不死川実弥がいつも追い回してちょっかいをかけているので、本人に問題はなくとも今関わると面倒そうだ。

空太も相応の年になれば見栄えの良い従順な彼女が欲しいとは思うのだが、そんなわけで、身近なあたりでは難しい気がする。

中等部や高等部になって、甘露寺が男の価値がわかってきたら声をかけて彼女にしてやってもいいし、なんなら大学になって、おそらく進級はできないであろう不死川実弥がいなくなったら、冨岡を彼女にしても良い。

だから今は様子見だ。

…と、思っていたら、3年後、中等部に上がってすぐに、甘露寺はどちらが告白したのかは知らないが、いつの間にか小等部の頃から好きだった相手、伊黒小芭内という凡人と付き合い始めてしまった。

そうなると、残りの冨岡はとりあえずは高校を卒業して大学に入るまで待たねばなるまい。
しばらくは勉強に打ち込んでいる風を装っておこう。


……と、のんきに構えていたのは失敗だったかもしれない。

よもやあの乱暴者とぶつかってでも冨岡義勇にちょっかいをかける猛者がいるとは思わなかった。
というか、少なくとも共学科の同級生の中にはそんな根性のある者はいなかったので油断をしていた。
本当に青天の霹靂だった。


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