清く正しいネット恋愛のすすめ_56_茂部太郎の日記_希望に満ちた日々へ

その日はアリア…もとい冨岡さんはいつもにもましてキラキラしていました。

普段の無造作な髪型も可愛いけど、その日は編み込みのハーフアップを後ろで一つに結んで綺麗なブルーのリボンをつけると言う、儀式の時のアリアのような髪型で、俺らの心を鷲掴みにします。

小等部に入ってすぐくらいに不死川のバカの嫌がらせが始まったせいで、いつもどこか不安げな表情をしていた冨岡さんが、今日はなんだか楽し気で、時折ほわわっと微笑むのがめちゃくちゃ可愛くて、それまではまとわりつく不死川が強烈過ぎてあまり冨岡さんに目を向けていなかった男子達が、そんな彼女の愛らしさに気づいたみたいで、数人がちらちらと彼女を気にしていました。

みんながこうして彼女の可愛さに気づいて、悪の魔王不死川から守ろうとしてくれると良いな…と、俺達は真剣に思ってました。

ええ、俺達は白モブですから。
別に同担大歓迎。みんなでヒロインが幸せになれるよう、そっと影から支えたいんです。

だって推しは泣いてても怒っていても可愛いけど、一番可愛くて俺達を幸せにしてくれるのは、やっぱり笑顔でしょう?

なんだか幸せそうな彼女の今日の様子に、俺たちまでほわほわしていた1日の終わり、終礼前に、また幸せな出来事が起こりました。


なんとカインの登場ですっ!!
小等部で男子科に移籍してからほぼ姿を見ることのなかった鱗滝君が、共学科の玄関先にいるということで、窓際の席の女子が嬌声をあげ、クラスの半数くらいの女子は大騒ぎで窓に覗きに行きました。

肝心のヒロインのアリアこと冨岡さんは鱗滝君を知らないらしく、そんな風に大勢の女子が大騒ぎしている中、

「胡蝶さん…その…鱗滝君て?有名な人?」
なんて、おっとりと尋ねてて、萌えます、萌えます、可愛すぎです。


これでカインとアリアが何かの拍子で出会ってくれれば最高なんですけど、そこまで望んじゃダメだよな…と、俺は仁や射人と、ここでもしカインとアリアが出会ったら妄想で盛り上がっていました。

…が、奇跡が起きたんです!!


終礼が終わって帰りの挨拶をして、いつもの通りおそらく不死川にちょっかいをかけられないようにとカバンを持ってダッシュする冨岡さん。
そして、それを追う魔王不死川実弥。

途中、胡蝶さんが「冨岡さん、嫌がってますよ」なんてナイスアシストで足止めをしてくれて、俺らもその隙にカバンを抱えて玄関に向かいました。

…が、すぐ追いついてくる悪の魔王。

俺ら3人、さりげなく奴の行く手をはばむようにしたんですが、よけられて、とうとう玄関で靴を履き替えようとした冨岡さんに悪の魔の手が伸びた、その時です!!

颯爽と現れるカイン…似の鱗滝君。

幼稚舎の頃から正義のヒーローオーラがすごかったんですけど、今はもう神々しいくらいで、照り付ける日差しを背に魔王の前に立ちはだかったかと思ったら、ヒロインを拘束する魔王の手を引きはがし、ヒロインに笑顔で話しかけているではないですかっ!!

え?ええ????
やはりカインとアリアは運命の赤い糸でつながっている恋人同士?!!


冨岡さんに注意が行っている鱗滝君に、悪の魔王が掴まれている反対側の手で殴りかかろうとしたら、さすがヒーロー、その手を掴んで魔王を軽々と投げ飛ばしましたっ!

俺らのテンションはあがりまくりで、鱗滝君目当てに玄関に集まった女子もハイテンション。


床に無様に転がった魔王にさらに鉄槌を与えようとする鱗滝君でしたが、それを止めに入ったのが彼と仲の良かった宇髄君。

何故止める!!…とここは思うところですが、実は何故かあの悪の魔王とも仲が良いんですよね、宇髄君。

そこで鱗滝君はそれでもヒロインを第一にという姿勢を崩さず、今後、魔王が冨岡さんに危害を加えるなら学校側に正式に訴えるし、その時はお前も連座だ、と、宇髄君に言い渡します。

ああ、本当に萌えるシチュエーション過ぎて、俺達、明日あたり死ぬんじゃね?と仁と射人と鼻血をこらえつつ、こっそり悶え転がりました。


もちろん!その後は今更ながらに冨岡さんの愛らしさに気づいた男子達ががっくり肩を落とすのを尻目に、俺らはカインの腕に手をかけて守られながら歩くアリア…もとい、鱗滝君と冨岡さんの姿を少し距離を取りつつ、こっそり眺めながら俺らも楽しく駅にGo!

よもやこの二人がくっついてくれるなんて…と感涙。


駅までの道でも、鱗滝君はテチテチと歩く冨岡さんの歩幅に合わせてゆっくりと歩いてあげてたり、彼女を必ず歩道側に誘導して車道側を歩かせないようにしたりと、本当に本当にアリアに対するカインくらい優しくて、カイアリ推しの俺らは幸せすぎて死ぬかと思いました。


これは…次の新刊はカイアリの高校生パロしかないだろう!!と、あとの2人と意見の一致を見て、その日はとりあえず帰宅したわけなんですが、その後も俺らは色々驚くべき事実を知ることになるのです。


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