清く正しいネット恋愛のすすめ_32_終業式

…え?…まじ…かぁぁ?!!!

期末試験も無事終わり、その後は試験休みに突入。

答案返却日までは学校に行くことなく、その間は掃除や洗濯など、普段母親が早朝にこなしている家事を代わりに引き受けて母にも少しばかり休みをおすそ分けしつつ、高学年の兄弟よりはかなり早く帰ってくる弟妹達とゆっくり遊んでやる。

その後、夜はまずレジェロ内で苦手教科の遅れを少しでも取り戻せるように、今のうちにサビトに復習に付き合ってもらい、その後は枠が空いているようならタンジロウに嫌な顔をされつつも、そんなの知るかよとサビト達の固定PTに加わるか、宇髄とレア狩り。

そんな日々を過ごしながら迎えた終業式当日。


毎回自分なりに頑張っていなかったわけではないが、今回は出来る人間に見てもらっただけに、特に手ごたえを感じてはいたので、結果は気になる。

答案返却日に返された今回の試験の答案は、悪くはなかったどころか、不死川にしたらまるで自分の答案とは思えないほどの良い点数だった。

だからその翌々日の今日、通知表と一緒に渡される自分の評定平均と校内順位も、悪くはないだろうとは思っていたのだが、そのあまりの変化を見て、不死川は驚きに目をぱちくりとさせた。

一度見て、信じられずにもう一度まじまじと見る。

……ひゃく……きゅうじゅうにい…192位?!!!


「…よ…っっしゃああ~~!!!!」
思わずこぶしを振り上げて叫ぶと、今度は周りが目をぱちくりさせながら不死川に視線を向ける。

「…そんなに良い評価だったんですか?不死川さん…」
と、怖くて誰も突っ込めないそこを、突っ込んでくる胡蝶しのぶ。

「おうっ!192位だぜっ!192位っ!!」
と少し離れた胡蝶の席まで用紙を見せに来る不死川に胡蝶は
「…それ…そこまではしゃぐ順位なんですか?」
と容赦ない一言を浴びせかけるが、
「…ったりまえだろっ!」
と不死川は上機嫌なまま。

そこで宇髄が
「あ~…ほら、中間は280位だったし?
これまでもだいだいそんな感じだったからなァ。
200位以内って快挙なんだよ。
そもそもがうちの学校、240位以上とそれ以下だと上に行ける確率ぜんっぜん違うしな。
280位から約90位順位あげての192位だからな?
ま、順位が常に一桁のお前さんと比べてやんなよ」
と、苦笑した。

そこで、別に馬鹿にするとか嘲笑しているとかそういう意味ではなかったので、胡蝶は
「ああ、そう言えばそうですよね。
内部進学できるかできないかの瀬戸際ですものね。
一気に90位あげることができたならあと90位ちょっと頑張れば100位以内でエスカレーター進学も夢じゃないですし。
納得しました。おめでとうございます。不死川さん」
と、あっさり祝いの言葉を述べてくる。

それに付け加えるように担任も
「不死川は中間後は小テストも毎回頑張ってたしな。
中間までの280位との平均で192位だから、期末だけだともっと順位高いぞ。
2学期からもこの調子で頑張れば、本当に100位以内いくかもしれん。
みんなも不死川を見習って頑張れよ」
と、言った。

「…長い付き合いだが…勉強で不死川を見習えと言われる日が来るとはおもわなかった……」
と、それにぽつりとつぶやいた伊黒の声が、驚きで静まり返った教室に存外に響いて、次の瞬間、わあ~っと笑い声が響く。

そんな風に良くも悪くも大声で結果を言い合う男子とは対照的に、女子はひっそりと結果に一喜一憂していた。


「…あと1位…あと1位だったのに…。
万が一伊黒さんと一緒に上に行けないと悲しいわ」
と、101位の結果に肩を落とす甘露寺を
「その場合は俺も甘露寺が行く大学に行くから大丈夫だ…」
と慰める伊黒。

それを横で聞いていて、
「あと1位くらいなら…私と一緒にレジェロ勉強会参加する?」
と、声をかける義勇に、伊黒が

「そういう冨岡は何位だったんだ?」
と聞いてくる。

それに、
「78位!中間は125位だったから、47位あがったんだ。
98位あがった不死川には負けるけど、これで無試験で上に行けるっ」
と、自分の順位を見せてムフフっと笑った。


「すごいわ、すごいわ、うらやましいわ。
私も良いかしら?
えっと…必要ないのかもしれないけど、伊黒さんも付き合ってくれる?」
と、義勇と伊黒にそれぞれ聞く甘露寺に、

「「もちろん」」
と、2人とも即答。

ちなみに必要ない認定の伊黒は自力で53位である。
こちらは地頭と気合と根性なのだろう。

出来れば自分で教えたいところだろうが、産屋敷学園の推薦に関わってくる校内順位は1年の1学期から関わってくるので、やってみてダメだったでは手遅れになる。

そうなれば自分的には不本意ではあるが、甘露寺の将来のためには、不死川、義勇と、すでに結果が出ている相手に任せた方がいい…そう考える伊黒は甘露寺のことになるとどこまでも大人だ。

もちろん、甘露寺のため…という理由がない事柄にかんしては、その分大人げないわけだが……

ともあれ、こうしてレジェロ勉強会の人数が地味に増えていくのだった。



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