お前、冨岡が受け取り拒否で送り返すと、それをまた受け取り拒否で送り返すんだって?
仕方なしに冨岡からお前に返してくれって俺んとこに送られてきてんだけど?」
あの、手ひどく拒絶された日の夜のこと。
宇髄経由で義勇のIDを入手。
自キャラのサネミでフレンド申請をして、受理されたまでは良かったが、そのフレンドリストに表示される滞在場所を頼りに探してみれば、街でリアルの義勇にどこか似たキャラクタが、男二人に囲まれている。
そこでなんとなく読めた気がした。
宇髄の言うウサは小等部からずっと男子科で、共学科の義勇と接点はないはずで、どうして義勇と知り合ったのか不思議に思っていたのだが、義勇に似たキャラの隣、1人は今日の放課後に義勇を連れ去った宍色の髪の男に似たキャラで、こちらはおそらくその男なのだろう。
そして、問題はもう一人、彼女の隣にいるキャラもどこか見覚えがある。
確か小等部の頃から義勇に付きまとって不死川を敵視していた下級生。
名前は確か…竈門炭治郎とか言ったか…。
そう思い出して目をやれば、キャラ名はタンジロウ。
間違いない。
そうか…以前突っかかってきたので返り討ちにしたことがあったが、自分が敵わないと知って、同じ男子科で交流のあった上級生を助っ人を連れてきたのだろう。
姑息な真似をしやがって!そうまでして俺と冨岡を近づけたくねえのかよっ!!
…と、イライラはするが、今の時点では自分より竈門炭治郎の方が義勇と親しい。
リアルで近づかない代わりに…と、そんな条件まで飲んでIDを教えてもらってフレンド登録まで出来たのだ。
ここは過ぎたことで喧嘩をしても仕方がない。
むしろより問題なのは、おそらく鱗滝錆兎のキャラであるサビトがゲーム内でまでギユウの隣に居る事だ。
これではリアルで何百歩もリードされている距離をネットで詰めるという作戦が使えそうにない。
それでも何もやらなければ何も変わらないので、声をかけて、パーティに誘ってみた。
するとギユウではなく、タンジロウが、
「嫌に決まってるじゃないですかっ。
今までギユウさんにしてきたことを考えたら、普通声なんかかけてこられませんよねっ!」
と、いきなり喧嘩を吹っ掛けてくる。
「てめえを誘ってるわけじゃねえっ!俺はギユウに言ってんだよっ!クソがぁ!!」
と、本当なら穏やかに接していこうと思っていたのが売り言葉に買い言葉、つい罵ってしまった。
でも本当の事だ…と思っていたら、タンジロウから返ってきた言葉は、なんと、
「俺とギユウさん、それにサビトは固定パーティーを組んでますから、ギユウさんがパーティーを組むという事は、俺もパーティーを組むという事なんです。
そして、俺はギユウさんを殴ったあなたと遊びたくはありません!」
というもので、不死川は言葉を失ってしまう。
これ…そんなことを言ったらどうやったってネット上で挽回なんて、出来ないじゃないか!
それくらいならまだ、邪魔者がいないリアルの方が良いかもしれない…。
そんな考えが脳裏を横切った時、実に嫌な方向から
「こら、タンジロウ。いきなり喧嘩腰になるな。
狩りに行くにはどうせあと一人必要だし、ちょうどいいじゃないか。
ギユウもいいな?何かあれば俺が間に入るから」
と、仲裁が入った。
サビト……鱗滝錆兎のキャラ。
そこで視線をタンジロウからサビトに移して気づく。
ナイトのマントにつけられた薔薇。
素材に希少アイテムが使われているためなかなか良い値段の、ノーブルローズという装備だが、まあそれは良い。
問題はその薔薇から光の糸が出ていて、まっすぐギユウの襟元のブローチから発する光と交差していることである。
つまり…そういうことかよっ!!
と、すでにゲーム内でもギユウとカップルになっているサビトに不死川はリアルで盛大に舌打ちした。
そんな状況だからこんな風に余裕なのかと思うと、腹が立つ。
…が、そこで癇癪を起こしてサビトと一緒ならやらないなんて言った日には、永遠にギユウに近づけないだろう。
本当に本当に腹は立つが、たしかレジェロ婚は解消もできるはずなので、自分の方が頼れる男だという事を見せつけていくしかない。
そう思って、不死川にしては最大限の忍耐力を使って、この片や余裕過ぎてムカついて、片ややたらと突っかかってくるのにムカつく二人と一緒に狩りをすることにした。
俺の方が頼れる男だってわからせてやるっ!と、勢い込んで、自慢の+20強化した赤く光るダブルセイバーを手に
「じゃあ行くかぁっ!」
と、先に立って歩き始めた不死川。
狩場まで行く道々、ふと気づくと皆がついてきていない。
「なにしてんだぁ?」
と、戻ってみれば、なにやら戦闘が始まっている。
「アクティブな敵のど真ん中に突っ込んでいけば、レベルの低いギユウさんが絡まれるってわかりませんかっ?!
普通、先頭を行く絡まれないレベルの人間が注意喚起して、避けさせますよね!」
と、言うタンジロウに、自分が絡まれないレベルだったのでそのあたりをすっかり失念していた不死川は、しまった!と思うが、生意気な下級生にそういう言い方をされると腹が立つ。
ついつい
「普通、絡まれる奴が自分で注意するとこだろうがぁ!鈍臭えっ!!」
と、言ってしまってハッとした。
「…ご、ごめん……」
と、明らかに委縮するギユウ。
それに対して、どう言えばいいかと悩んでいるうちに、即、サビトから
「ああ、ギユウはまだ初心者だしな。そのあたりの勝手はわからなくても仕方ない。
直に慣れるから気にするな」
と、フォローが入ってしまう。
しかも
「俺もタンジロウもギユウが慣れていないのを知っていたから、俺たちが気を付けるべきだった。
時間を取らせて済まなかったな、サネミ」
と、不死川にまでフォローをいれる完璧ぶりだ。
相手にまた点数を稼がせてしまった。
そう焦りながら、
「仕方ねえなァ!そのくらいの敵、俺がちゃっちゃと倒してやらあ」
と、サビトがひきつけている何匹かリンクしているモンスターのうち、サビトとタンジロウが殴っている一匹に攻撃をいれる。
そこでサビトが
「サネミ、良いダブセを持っているな。フェニックスが落とすやつか?」
と、そこは突っ込んで欲しかった所に突っ込んできたので、
「ああ、ギユウはまだ初心者だしな。そのあたりの勝手はわからなくても仕方ない。
直に慣れるから気にするな」
と、フォローが入ってしまう。
しかも
「俺もタンジロウもギユウが慣れていないのを知っていたから、俺たちが気を付けるべきだった。
時間を取らせて済まなかったな、サネミ」
と、不死川にまでフォローをいれる完璧ぶりだ。
相手にまた点数を稼がせてしまった。
そう焦りながら、
「仕方ねえなァ!そのくらいの敵、俺がちゃっちゃと倒してやらあ」
と、サビトがひきつけている何匹かリンクしているモンスターのうち、サビトとタンジロウが殴っている一匹に攻撃をいれる。
そこでサビトが
「サネミ、良いダブセを持っているな。フェニックスが落とすやつか?」
と、そこは突っ込んで欲しかった所に突っ込んできたので、
「おうよっ!それを+20まで強化してるから、強ぇぞォ。
アタッカーならではの強さだなっ!タンクじゃこの火力は出せねえ」
と、応じた。
これでギユウが少しは見直してくれるか…と思った。
実際、与ダメを見ていると自分が一番だ。
ガンガンと削れて行くモンスターのHPを見るとなかなか爽快である。
ガンガンと削れて行くモンスターのHPを見るとなかなか爽快である。
しかしギユウの反応は不死川が思っていたものからはかなりかけ離れたものだった。
サビトの後ろにススっと移動して、
「…サビトは…いつでも私を守ってくれるから。
今みたいにたくさん敵がいても、全部自分に引き付けてタゲを動かさないから、他が殴られることがない」
と言うではないか。
正直カ~っと来た。
しかしいつものようにギユウに言い返したら、また悪い印象を持たれる…と、そこでかろうじて踏みとどまる。
サビトの後ろにススっと移動して、
「…サビトは…いつでも私を守ってくれるから。
今みたいにたくさん敵がいても、全部自分に引き付けてタゲを動かさないから、他が殴られることがない」
と言うではないか。
正直カ~っと来た。
しかしいつものようにギユウに言い返したら、また悪い印象を持たれる…と、そこでかろうじて踏みとどまる。
まあ確かに一緒に殴っている敵への与ダメは倍は違うが、タゲがこちらに向くことがない。
野良で狩りをする時は普通に殴っているだけでもしばしばタゲが来るくらいだったのに、今は本当に向かない。
タゲをキープすることでコントロールされているような気がしてきて、不死川はわざと自ジョブである暗黒剣士のスキル、攻撃を与えるごとに自分のHPの5%を減らしながらその数値を敵に対するダメージに乗せていく【鮮血】を使った。
これは当然自分のHPが減っていくのでヒーラーが回復をしなければならなくなるし、ただでさえタンクの回復、状態回復に忙しいヒーラーの負担を増やすので、パーティで使用すると非常に嫌われる。
が、背に腹は代えられない…と、使用したのだが、タゲが動かない。
野良で狩りをする時は普通に殴っているだけでもしばしばタゲが来るくらいだったのに、今は本当に向かない。
タゲをキープすることでコントロールされているような気がしてきて、不死川はわざと自ジョブである暗黒剣士のスキル、攻撃を与えるごとに自分のHPの5%を減らしながらその数値を敵に対するダメージに乗せていく【鮮血】を使った。
これは当然自分のHPが減っていくのでヒーラーが回復をしなければならなくなるし、ただでさえタンクの回復、状態回復に忙しいヒーラーの負担を増やすので、パーティで使用すると非常に嫌われる。
が、背に腹は代えられない…と、使用したのだが、タゲが動かない。
最高値まで強化したレア武器と、アタッカーの中でも特に攻撃力に特化した暗黒剣士、そしてその暗黒剣士の最大限にタゲが来るであろうアビリティを使っても動かないタゲに、不死川は何か負けた気がして、ますます頭に血が上った。
そして、攻撃のターゲットを今殴っているものから、別の、他にいかないようにただタゲをキープしているものへと移動させた。
それらは他が一切それらに攻撃をしない前提でナイトが最低限のヘイトだけ稼いでキープしているものなので、それを最大火力で殴ったら当然タゲが不死川に向く。
元々が攻撃が強い分撃たれ弱いジョブで、全てが攻撃特化の防御が薄い装備なこともあって、格下の敵でも一撃で3分の1ほどもHPが減った。
そして、攻撃のターゲットを今殴っているものから、別の、他にいかないようにただタゲをキープしているものへと移動させた。
それらは他が一切それらに攻撃をしない前提でナイトが最低限のヘイトだけ稼いでキープしているものなので、それを最大火力で殴ったら当然タゲが不死川に向く。
元々が攻撃が強い分撃たれ弱いジョブで、全てが攻撃特化の防御が薄い装備なこともあって、格下の敵でも一撃で3分の1ほどもHPが減った。
それに当然ヒールをかけようとギユウの杖が光を帯びるが、そのギユウに
「ギユウ、ストップ!!!」
と、声が飛ぶ。
その代わりにナイトの方からヒールが飛んできた。
HPが全回復しても何度か飛んでくるヒール。
そうして不死川に向いていたタゲが自分に戻った時に、サビトはどうやら著しく少ないナイトのMP補完するため、マジックポーションを飲んだらしい。
そんなエフェクトが出る。
そしてその後、戦況が落ち着いたところでようやく
「俺以外が殴られた時は俺がタゲを取り切れていない時だからな。
それを回復したら当然タゲがお前に向く。
だからそういう時は危険だから俺がヒールをいれるから、お前はいれるな」
と、ギユウに向けて説明が飛んだ。
必要な注意は与えて危険なことは説明しても、タゲが動いたことに対する言い訳は一切しない。
わざと全力でタゲを動かすよう画策した不死川に対して糾弾することもしない。
その後、絡まれない所までサビトに誘導されたあと、代わりにタンジロウが
「不死川さんのあれ、わざとですよっ!!
何考えているんですかっ!!」
と、ブチ切れた。
「わざとタンクからタゲを取ろうなんて、アタッカーとして最低ですっ!
自分が殴られて死ぬのは勝手ですけど、実際そんなことして死ぬのはその最低な奴を回復してタゲがくるヒーラーですよっ!!
そうまでしてギユウさんを殴らせたいんですかっ!!」
「ギユウ、ストップ!!!」
と、声が飛ぶ。
その代わりにナイトの方からヒールが飛んできた。
HPが全回復しても何度か飛んでくるヒール。
そうして不死川に向いていたタゲが自分に戻った時に、サビトはどうやら著しく少ないナイトのMP補完するため、マジックポーションを飲んだらしい。
そんなエフェクトが出る。
そしてその後、戦況が落ち着いたところでようやく
「俺以外が殴られた時は俺がタゲを取り切れていない時だからな。
それを回復したら当然タゲがお前に向く。
だからそういう時は危険だから俺がヒールをいれるから、お前はいれるな」
と、ギユウに向けて説明が飛んだ。
必要な注意は与えて危険なことは説明しても、タゲが動いたことに対する言い訳は一切しない。
わざと全力でタゲを動かすよう画策した不死川に対して糾弾することもしない。
その後、絡まれない所までサビトに誘導されたあと、代わりにタンジロウが
「不死川さんのあれ、わざとですよっ!!
何考えているんですかっ!!」
と、ブチ切れた。
「わざとタンクからタゲを取ろうなんて、アタッカーとして最低ですっ!
自分が殴られて死ぬのは勝手ですけど、実際そんなことして死ぬのはその最低な奴を回復してタゲがくるヒーラーですよっ!!
そうまでしてギユウさんを殴らせたいんですかっ!!」
その発想はなかった!!
単にどちらが強いかを証明したかっただけだったのだが、その結果に起きるであろうことにそこで気づいて不死川は青ざめる。
違う!別に冨岡が殴られればとか思ったんじゃねえっ!!
…と、言い訳したいが、過去から今に至る状況を鑑みれば、誰がそれを信じるだろう…
言葉のない不死川。
だが、そこでやっぱりサビトから仲裁が入る。
「タンジロウ、言い過ぎだ。お前はこれまでの事が念頭にあるから悪く取りすぎる。
タゲミスはよくあることだろう。
あと、ゲーム内ではキャラ名で呼ぶのが礼儀だろう?
個人情報を晒すのは良くないぞ。少し頭を冷やせ。冷たいものでも飲んできたらどうだ?
そもそもが、敵が格下だったからちょっと気が抜けていて反応が遅れた俺も悪い。
そっちにタゲをやるまではまだしも、殴らせて悪かったな、サネミ」
ちくしょう…と、思う。
同い年のはずなのだが…相手は自分の非を晒す発言をしているのに、本当は自分が悪くて相手に思いやられている子どもな印象を受けた。
Before<<< >>> Next(8月14日0時公開予定)
単にどちらが強いかを証明したかっただけだったのだが、その結果に起きるであろうことにそこで気づいて不死川は青ざめる。
違う!別に冨岡が殴られればとか思ったんじゃねえっ!!
…と、言い訳したいが、過去から今に至る状況を鑑みれば、誰がそれを信じるだろう…
言葉のない不死川。
だが、そこでやっぱりサビトから仲裁が入る。
「タンジロウ、言い過ぎだ。お前はこれまでの事が念頭にあるから悪く取りすぎる。
タゲミスはよくあることだろう。
あと、ゲーム内ではキャラ名で呼ぶのが礼儀だろう?
個人情報を晒すのは良くないぞ。少し頭を冷やせ。冷たいものでも飲んできたらどうだ?
そもそもが、敵が格下だったからちょっと気が抜けていて反応が遅れた俺も悪い。
そっちにタゲをやるまではまだしも、殴らせて悪かったな、サネミ」
ちくしょう…と、思う。
同い年のはずなのだが…相手は自分の非を晒す発言をしているのに、本当は自分が悪くて相手に思いやられている子どもな印象を受けた。
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