不死川実弥はやっぱりため息をついていた。
「どうしたらいいんだろうなぁ…」
と、宇髄を捕まえて、まるで日課のようにどうしようもないであろうことを零している。
「ん~、俺ならここまで嫌われてんなら諦めて他行くけどなぁ」
「それができりゃあ、こうして悩んでないだろうがァ」
「そうは言ってもなぁ…」
「なんとか取り持ってくれんなら、あれだ、この前銀竜を倒した時にロット勝ちした白銀の苦無をやる」
「おおっ?!お前、んなもんゲットしてたのかよっ!!」
「お~。俺はどうせ使わねえし、売っちまおうかと思ってたんだがよォ」
白銀の苦無…それは、不死川達の周りで流行っているネットゲーム、【レジェンド・オブ・ロード】通称レジェロのネームドモンスターである銀竜が稀に落とす武器だ。
苦無の名の通り、ゲーム内の”忍者”のジョブのみ装備できるもので、宇髄のようにジョブが忍者のプレイヤーにとっては垂涎のレアアイテムである。
もちろん宇髄だってぜひ手に入れたい逸品だ。
幼馴染の初恋に協力してやりたいと言うのは確かにあるが、白銀の苦無が手に入ると言うことなら、余計になんとかしたい。
さて…どうするかなぁ…と、脳内に不死川の顔と白銀の苦無を思い浮かべながら考え込む宇髄。
そして閃いた!
そして閃いた!
「そうだっ!直接そばによるのが怖いなら、ネトゲで慣れればいいんじゃね?
冨岡をネトゲに誘ってよ、相手は初心者だから、アイテム取りだのイベントだの色々手伝ってやれば、不死川は頼りになるし優しいな~ってなるだろっ。
冨岡をネトゲに誘ってよ、相手は初心者だから、アイテム取りだのイベントだの色々手伝ってやれば、不死川は頼りになるし優しいな~ってなるだろっ。
お前だって、文字のコミュニケーションなら、文字打って相手に伝える前にワンクッション置くことで、言ったら怯えられたりやばかったりすることを言わずにすむしな」
「お~、そりゃあいいなァ。
…でも…俺らが誘っても冨岡がやってくれるかぁ?」
そうだ。不死川はそれこそ接触を持つのを嫌がられているレベルだ。
宇髄だってそこまでではないものの、特に義勇と仲が良いというわけではない。
不死川のせいでだいぶ男子が苦手になった義勇が、その人当たりの良さと話術の巧みさに押し切られて会話を振られれば普通に答えを返してくるというレベルでしかない。
なので、そんな人間たちが楽しいからと誘ったところで、義勇がわざわざ興味のないゲームをやるわけがない。
そう思った不死川だが、宇髄随は
「お~い、伊黒、ちょっといいかぁ?」
と、さっさと帰り支度をしている伊黒に声をかけた。
「ちょっとでも良くはない。
終礼が終わったら即、甘露寺と共に帰るために、俺は速やかに帰り支度を終えておかねばならん」
と、その宇髄の呼びかけに、伊黒は視線も向けずにカバンに教科書を詰めている。
そこで宇髄は自分の方から伊黒の席へと走り寄って行った。
「じゃ、帰り支度しながらでもいいからきいてくれや」
「…担任が来て終礼が始まるまでな。
終礼後は1分1秒でも無駄にする気はない。
俺の人生の時間は全て甘露寺のためだけにある」
もう清々しいまでに彼女一筋な男だ。
もっとも彼女の方も彼氏一筋なので、めでたく校内1のバカップルと秘かに呼ばれている。
「その甘露寺なんだけどな、お前達もレジェロやってるだろ?
で、甘露寺から冨岡にもレジェロやるように誘ってみてもらえねえ?」
なるほど!と不死川は感心した。
男子からの誘いは断ったとしても、あまり人づきあいが得意ではない義勇がそれでも割合と声をかけて仲良くしてくれる甘露寺の誘いを断るのは難しい。
なかなか名案だと思ったのだが、
「不死川が冨岡とくっつこうがふられようが、お前がレア苦無を入手できようができまいが、俺たちには関係ない。
くだらないことに甘露寺を巻き込むな、愚か者!」
と、伊黒の返事はにべもない。
しかし宇髄もそれは当然予測していた。
財布の中から何かのチケットを二枚出して、伊黒の前にちらつかせる。
「親からもらったホテルの株主優待のランチバイキングのチケット2枚でどうだ?
デザートも豊富らしいし、甘露寺はよく食うから絶対に喜ぶぞ?」
と言う宇髄の手からチケットを奪い取り、
「勧めるまでだ。
ゲーム内での甘露寺との時間は邪魔させんぞ」
と言う伊黒の言葉に、
「交渉成立だなっ!
むしろゲームを始めたらこっちと行動してもらわねえと意味がないから、一緒に居ないでくれるとありがてえ。
甘露寺にはレベルが上がったら一緒に遊ぼうくらいな感覚で誘わせてくれ」
「わかった」
…ということで、彼女のあずかり知らぬところで交わされた密約で、冨岡義勇の運命は大きく変わっていくことになる。
それは、誰もが想像もしなかったような、本当ならありえなかったような方向に…確かに動いて行ったのであった。
終礼後は1分1秒でも無駄にする気はない。
俺の人生の時間は全て甘露寺のためだけにある」
もう清々しいまでに彼女一筋な男だ。
もっとも彼女の方も彼氏一筋なので、めでたく校内1のバカップルと秘かに呼ばれている。
「その甘露寺なんだけどな、お前達もレジェロやってるだろ?
で、甘露寺から冨岡にもレジェロやるように誘ってみてもらえねえ?」
なるほど!と不死川は感心した。
男子からの誘いは断ったとしても、あまり人づきあいが得意ではない義勇がそれでも割合と声をかけて仲良くしてくれる甘露寺の誘いを断るのは難しい。
なかなか名案だと思ったのだが、
「不死川が冨岡とくっつこうがふられようが、お前がレア苦無を入手できようができまいが、俺たちには関係ない。
くだらないことに甘露寺を巻き込むな、愚か者!」
と、伊黒の返事はにべもない。
しかし宇髄もそれは当然予測していた。
財布の中から何かのチケットを二枚出して、伊黒の前にちらつかせる。
「親からもらったホテルの株主優待のランチバイキングのチケット2枚でどうだ?
デザートも豊富らしいし、甘露寺はよく食うから絶対に喜ぶぞ?」
と言う宇髄の手からチケットを奪い取り、
「勧めるまでだ。
ゲーム内での甘露寺との時間は邪魔させんぞ」
と言う伊黒の言葉に、
「交渉成立だなっ!
むしろゲームを始めたらこっちと行動してもらわねえと意味がないから、一緒に居ないでくれるとありがてえ。
甘露寺にはレベルが上がったら一緒に遊ぼうくらいな感覚で誘わせてくれ」
「わかった」
…ということで、彼女のあずかり知らぬところで交わされた密約で、冨岡義勇の運命は大きく変わっていくことになる。
それは、誰もが想像もしなかったような、本当ならありえなかったような方向に…確かに動いて行ったのであった。
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