…と、先日この基地に来て善逸に連れられて初めて部屋の外へ出た。
そこで図らずとも周りが…正確には錆兎達以外が自分をどう思っているのか知ってしまった。
錆兎の金や身分が目当てか…もしくはスパイ……。
その時は自分が事実スパイというか錆兎の命を狙っている敵軍の人間なのにショックで気を失ってしまったわけだが、ここで暮らし始めてそろそろ半月たつわけだし、いい加減覚悟を決めなければならない。
ショックを受けている場合じゃない。
そう、正攻法で倒すのが無理なのだから、なんとか弱みを探り出そうと決めたんじゃないかっ!
さらに…錆兎の暗殺が成功した際の退路も確保しておかなくてはならない。
最低限、この基地の出口は把握しておこう!
当面の目的をそう決めたが、調べようにも先日外出して倒れた時に錆兎に外出禁止令を出されたところだ。
何か外出をしなければならない理由を見つけなければならない。
「義勇、和食の方が良かったか?それとも気分が悪いのか?」
美味しそうなふわふわのオムレツを前に難しい顔をしている義勇の顔を錆兎は心配そうに覗きこんだ。
「うあっ!」
綺麗に澄んだ藤色の瞳でジッと覗きこまれ、義勇は思わず身をのけぞらせた。
「あ~驚かせてごめんな?でも大丈夫か?」
当面の目的をそう決めたが、調べようにも先日外出して倒れた時に錆兎に外出禁止令を出されたところだ。
何か外出をしなければならない理由を見つけなければならない。
「義勇、和食の方が良かったか?それとも気分が悪いのか?」
美味しそうなふわふわのオムレツを前に難しい顔をしている義勇の顔を錆兎は心配そうに覗きこんだ。
「うあっ!」
綺麗に澄んだ藤色の瞳でジッと覗きこまれ、義勇は思わず身をのけぞらせた。
「あ~驚かせてごめんな?でも大丈夫か?」
ああ、もうっ!この男は無駄にカッコイイな。
もし本当に気分が悪かったとしてもこの顔を間近で見れば治ってしまうんじゃないかと思うくらい顔が良い。
などと内心思いながら、赤くなった顔をブンブン横に振る。
「本当か?なんか顔も赤いぞ?熱は……」
顔が驚くほど近くなってコツンと額をぶつけられて、義勇はぷすぷすと頭から湯気を出して硬直した。
「少し…熱いか?気づかないでごめんな。少し休め…消化いいものを作ってやるから」
ヒョイっと抱き上げられてベッドに運ばれ、
「待ってろ」
と、チュッと額にキスされる。
うあぁぁ~~!!
パタンとドアがしまった瞬間、ぽつねんと残された義勇は額に手を当てたあと、ベッドの上でのたうちまわった。
あのイケメンは顔だけでもカッコよさにショック死しそうなのにあの態度…あの態度は絶対に自分を殺しにかかっているっ!!
もし本当に気分が悪かったとしてもこの顔を間近で見れば治ってしまうんじゃないかと思うくらい顔が良い。
などと内心思いながら、赤くなった顔をブンブン横に振る。
「本当か?なんか顔も赤いぞ?熱は……」
顔が驚くほど近くなってコツンと額をぶつけられて、義勇はぷすぷすと頭から湯気を出して硬直した。
「少し…熱いか?気づかないでごめんな。少し休め…消化いいものを作ってやるから」
ヒョイっと抱き上げられてベッドに運ばれ、
「待ってろ」
と、チュッと額にキスされる。
うあぁぁ~~!!
パタンとドアがしまった瞬間、ぽつねんと残された義勇は額に手を当てたあと、ベッドの上でのたうちまわった。
あのイケメンは顔だけでもカッコよさにショック死しそうなのにあの態度…あの態度は絶対に自分を殺しにかかっているっ!!
錆兎はもう犯罪級にカッコいい。カッコよすぎると義勇は心の中で断言する。
まるで姉の形見の少女小説に出てくる王子様のようだ。
出ることを許されない基地の一室でどこか不気味な玉壺のオヤジ面を見ながら暮らしていた頃、そんな小説に出てくるようなイケメンなんてこの世にいるはずがないと思ったものだが、実際に目の前に現れてびっくりだ。
見惚れるほどのイケメンで、何度かそういう機会があったが義勇の一人くらい軽々と横抱きに抱き上げられてしまうほど筋力があって、男らしくて、そして優しい。
本来ならそんなヒーローのような青年の傍にいるべきなのは自分のような貧相な男ではなく、愛らしい美少女なのだろう。
それはわかっているが、義勇も引くに引けない立場なので罪悪感にかられはするもののどうすることもできない。
…というか、考えてみれば義勇は一応一般人初心者であっても敵軍の暗殺者なわけだから、愛らしいとか好ましいとかそういう以前の問題だ…ということをふと思い出して初心に戻る。
本懐を遂げるにしても挫折して逃げだすにしても、退路の確保は必要だ。
というわけで、その後…、居候としてはせめて家事くらいはしたいから、掃除道具などを見に行きたいと言って却下され、途方にくれたまま結局錆兎が作ってきたリゾットを食べてふて寝するまであと数十分である。
というわけで、その後…、居候としてはせめて家事くらいはしたいから、掃除道具などを見に行きたいと言って却下され、途方にくれたまま結局錆兎が作ってきたリゾットを食べてふて寝するまであと数十分である。
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