バスが途中の街で休憩を取っている間、錆兎はバス停近くの屋台で昼食にとハンバーガーを買ってきた。
それを義勇にも渡してやると、義勇は同じようにハンバーガーをかじっている周りをキョロキョロと物珍しげに見回して、それからハンバーガーに目を落とした。
ああ、やっぱり初めてか…と錆兎はニンマリとする。
物心ついた頃には入院生活だったという義勇がずっと病室のベッドの上から見ていたであろう外の楽しさを色々教えてやりたい。
「そうだ。そのままガブっといけよ?」
と言って自分もかじってみせると、義勇はそれを両手で持って、かぷっと小さな口でかじってみせた。
一瞬、元々丸い目がさらにまん丸くなり、次に笑みの形を作る。
「美味しいな」
と、義勇が嬉しそうに笑った。
こんな当たり前の日常にいちいち感動して楽しげにするのが可愛い。
もっと色々と楽しいことを教えてやりたい。
「食べたら少し外歩くか。」
そう誘ってみると、興味を引かれてはいるものの、少し不安といった感じの表情をする。
義勇にとってはきっと全てが初めてで知らない事だらけだ。
今朝、バスに乗った時もそうだが、健康面でもまだ万全でなくて不安があるのだろう。
「安心しろ。俺がついているから。もし体調が悪くなっても連れて帰ってやるよ」
と、頭をなでるとコクンとうなづく。
こうして食が驚くほど細く半分やっと食べた義勇のハンバーガーの残りを錆兎が食べると、体調に気遣いながらも義勇を伴ってバスを降りた。
「…すごい……店も人もいっぱいだな…」
圧倒されたように目をみはる義勇。
「ホテルでもビーチは人いっぱいだっただろう?」
と、錆兎が言うと、義勇は
「…窓越しには見てたんだけど…実際に行ってはないから」
と、少し伏し目がちに言った。
ああ、確かに一人で体調を崩したら旅先でもあるし困るのだろう。
この流れなら言ってもおかしくはないかもしれないと、錆兎は提案してみることにした。
「なあ、義勇はサンルイではどのホテル泊まるんだ?
こうして知り合ったのも何かの縁だし、向こうでも一緒に観光しないか?」
錆兎の言葉に義勇はピタっと足を止め、目を丸くして錆兎を見上げた。
「いや、義勇も知り合いが居た方が安心して観光できるだろう?」
思いのほか驚かれた事で少し慌ててそう付け足すと、義勇はまたうつむく。
「俺…居ない方があちこちいけるだろ?」
やんわりとしたお断りにも取れるが、そう言う表情を見ると少し悲しげにも見える。
だからこれはおそらく自分に対する気遣いなのだろうと錆兎は判断して、さらに言い募った。
「俺も一人でいるのも飽きてきたしな。
どうせならお前と一緒に回ったほうが楽しいと思うんだ。
だめか?」
「…だめじゃない…けど……」
少し身を屈めて顔を覗きこむと、義勇の白い頬が真っ赤に染まった。
澄んだ大きな青い瞳が羞恥に揺れている。
なんだかめちゃくちゃ可愛い。
人見知りだが決して人が嫌いではない、他人を拒絶しているような空気ではなく、本当にどう接して良いのかわからない、そんな感じだ。
人慣れない様子がなんとも可愛らしくどうしようもなく庇護欲をそそる。
「じゃ、決まりなっ。
で?どこ泊まってるんだ?
これからでも一緒のとこ取れるようなら俺の方が宿を取りなおすし、取れないようだったら迎えに行ってやるよ」
と、錆兎は勢い込んで言うが、義勇が告げたホテル名はなんと錆兎と同じホテルだった。
「なんだ。同じとこだったのか。何か縁があるのかもしれないな」
と錆兎が嬉しくなって言うと、義勇は相変わらずうつむいたまま無言で赤くなった。
「いや、義勇も知り合いが居た方が安心して観光できるだろう?」
思いのほか驚かれた事で少し慌ててそう付け足すと、義勇はまたうつむく。
「俺…居ない方があちこちいけるだろ?」
やんわりとしたお断りにも取れるが、そう言う表情を見ると少し悲しげにも見える。
だからこれはおそらく自分に対する気遣いなのだろうと錆兎は判断して、さらに言い募った。
「俺も一人でいるのも飽きてきたしな。
どうせならお前と一緒に回ったほうが楽しいと思うんだ。
だめか?」
「…だめじゃない…けど……」
少し身を屈めて顔を覗きこむと、義勇の白い頬が真っ赤に染まった。
澄んだ大きな青い瞳が羞恥に揺れている。
なんだかめちゃくちゃ可愛い。
人見知りだが決して人が嫌いではない、他人を拒絶しているような空気ではなく、本当にどう接して良いのかわからない、そんな感じだ。
人慣れない様子がなんとも可愛らしくどうしようもなく庇護欲をそそる。
「じゃ、決まりなっ。
で?どこ泊まってるんだ?
これからでも一緒のとこ取れるようなら俺の方が宿を取りなおすし、取れないようだったら迎えに行ってやるよ」
と、錆兎は勢い込んで言うが、義勇が告げたホテル名はなんと錆兎と同じホテルだった。
「なんだ。同じとこだったのか。何か縁があるのかもしれないな」
と錆兎が嬉しくなって言うと、義勇は相変わらずうつむいたまま無言で赤くなった。
錆兎の天使様は随分と恥ずかしがり屋らしい。
こうして露天を冷やかしながらしばらく歩いた二人は時間になってバスに戻る。
「大丈夫か?疲れなかったか?」
座席についてから聞くと、
「いや、色々珍しくてにぎやかで楽しかった」
と、義勇は少しはにかんだような笑みを浮かべた。
それでも初めての外、初めての人ごみで少し疲れたのだろう、若干顔色が良くない。
「これからしばらくはまたノンストップだし、食事の時間くらいになったら起こしてやるから、少し休んどけよ」
と、錆兎は半ば強引に義勇の身体を引き寄せて自分にもたれかからせると、パサリと自分の上着をその身体を包み込むようにかけた。
こうして露天を冷やかしながらしばらく歩いた二人は時間になってバスに戻る。
「大丈夫か?疲れなかったか?」
座席についてから聞くと、
「いや、色々珍しくてにぎやかで楽しかった」
と、義勇は少しはにかんだような笑みを浮かべた。
それでも初めての外、初めての人ごみで少し疲れたのだろう、若干顔色が良くない。
「これからしばらくはまたノンストップだし、食事の時間くらいになったら起こしてやるから、少し休んどけよ」
と、錆兎は半ば強引に義勇の身体を引き寄せて自分にもたれかからせると、パサリと自分の上着をその身体を包み込むようにかけた。
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