騎馬の足に当たる寮生達は目立たぬように黒や茶の単色で固めた寮も、金や銀などで装飾した寮もあるが、その騎馬達の上に立つ寮長達はいずれも趣向を凝らしたきらびやかな衣装で固めていて、それが6騎並び立つと、なかなか壮観だ。
「今年は最後だから優勝狙わせてもらうね?」
と笑う金虎の童磨に、
「それは阻止…うちも優勝欲しいところですが、まず邪魔者排除するまでは協力しますよ?先輩」
と、にやりと笑みを浮かべて視線を送る金竜の寮長。
金側の最後の1人、金狼の不死川はその2人の言う事を肯定も否定もせず、我関せずと言った風に口笛をふいている。
一方の銀側は
「俺も最後なんだけどなぁ。
うちの側の後輩達は忖度する気全くなさそうだし、孤軍奮闘かぁ?」
と、ぼりぼりと頭を掻く銀虎の宇髄に、
「勝負の世界では年功序列はなし!
俺は姫さんのために優勝しないとだしな」
と言う1年生銀狼の錆兎と、
「俺が忖度してもあまり意味がないというか…俺は次に無一郎を抱えて走るために早々に戦線離脱する予定ですから」
と、はっきりやる気のなさをアピールしてみせる2年生銀竜の村田。
そんな後輩たちに
「後輩達、これだよ」
と、宇髄は肩をすくめて見せた。
(まあ…最終的に騎馬戦の勝利はうちで頂きだね)
金虎の童磨は鼻歌交じりに開戦の笛の音を待つ。
まず状況を軽く整理すると、銀狼の錆兎は参加者共通の敵である。
アレと1対1になれば、悔しいが本人の言う通り学園一なので勝ち目はない。
みんなそれはわかっているだろうから、一斉に潰しに行く事に意義はないはずだ。
あるとすれば…せいぜい次の競技への影響を考えて、この競技を完全に捨てても怪我を避けたい銀竜の村田くらいか…。
しかし彼の場合は錆兎の擁護に回ると言うよりは、自分だけ離れてゆるゆると騎馬を降りるくらいだろう。
あとは…金狼がどう出るのか…。
不死川の行動は正直読めない。
が、上手くすれば彼も勝利には頓着していないようにも見えるので、適当に勝負を投げるかもしれない。
そうじゃなかったとしても、銀竜が降りて、銀狼を潰した後は、とりあえず金のチーム点を確実にするために予め意思の疎通が出来ている金竜と共に銀虎を潰し、その後は動きが読めない金狼をやはり2対1で潰して、最後は2年の金竜と1対1の対決。
ここは勝っても負けても恨みっこなしということで、力技になるが、最悪ここで負けても2位だ。
しかし童磨的には金竜相手ならぎりぎり勝てると踏んでいる。
まあ金竜も金竜で、金虎と同じく負けても2位だからという計算はしているだろう。
そんな事をつらつらと考えていると、笛の音が鳴る。
計画通り銀竜は下がり、金狼は様子見をするかのように動かず…他は一斉に銀狼の方へ。
みんなそれはわかっているだろうから、一斉に潰しに行く事に意義はないはずだ。
あるとすれば…せいぜい次の競技への影響を考えて、この競技を完全に捨てても怪我を避けたい銀竜の村田くらいか…。
しかし彼の場合は錆兎の擁護に回ると言うよりは、自分だけ離れてゆるゆると騎馬を降りるくらいだろう。
あとは…金狼がどう出るのか…。
不死川の行動は正直読めない。
が、上手くすれば彼も勝利には頓着していないようにも見えるので、適当に勝負を投げるかもしれない。
そうじゃなかったとしても、銀竜が降りて、銀狼を潰した後は、とりあえず金のチーム点を確実にするために予め意思の疎通が出来ている金竜と共に銀虎を潰し、その後は動きが読めない金狼をやはり2対1で潰して、最後は2年の金竜と1対1の対決。
ここは勝っても負けても恨みっこなしということで、力技になるが、最悪ここで負けても2位だ。
しかし童磨的には金竜相手ならぎりぎり勝てると踏んでいる。
まあ金竜も金竜で、金虎と同じく負けても2位だからという計算はしているだろう。
そんな事をつらつらと考えていると、笛の音が鳴る。
計画通り銀竜は下がり、金狼は様子見をするかのように動かず…他は一斉に銀狼の方へ。
まあ他に任せても良いのだが、銀狼を仕留める役はどうせなら自分がやりたい。
そう思って童磨は騎馬に前に出るように言う。
自分の右側には金竜。
そのやや後方には静観モードの金狼の不死川が控えていて、金竜の正面には銀虎の宇髄がいる。
錆兎からすると正面から自分、斜め前からは金竜、そして左手から銀虎に攻めて来られる事になるのだから、さすがに乗りきれまい。
早くしないと他に手柄を持って行かれる…と、確認もせず急がせたのがおそらく敗因だ…と、それからすぐ童磨は悟った。
本来なら錆兎に向かうはずの銀虎の矛…それがいきなり隣の金竜に向かった。
(……えっ??)
と思ったのは童磨だけではない。
隣の金竜も焦った顔をしている。
「ちょっ!!俺に来ちゃう?!」
慌てて向かってくる剣を受けて金竜が言う相手は銀虎。
その後輩の驚きの声に、銀の虎は
そう思って童磨は騎馬に前に出るように言う。
自分の右側には金竜。
そのやや後方には静観モードの金狼の不死川が控えていて、金竜の正面には銀虎の宇髄がいる。
錆兎からすると正面から自分、斜め前からは金竜、そして左手から銀虎に攻めて来られる事になるのだから、さすがに乗りきれまい。
早くしないと他に手柄を持って行かれる…と、確認もせず急がせたのがおそらく敗因だ…と、それからすぐ童磨は悟った。
本来なら錆兎に向かうはずの銀虎の矛…それがいきなり隣の金竜に向かった。
(……えっ??)
と思ったのは童磨だけではない。
隣の金竜も焦った顔をしている。
「ちょっ!!俺に来ちゃう?!」
慌てて向かってくる剣を受けて金竜が言う相手は銀虎。
その後輩の驚きの声に、銀の虎は
「当然だろうが。俺、“銀”だしな?」
と、にっこりと端正な顔に悪い笑みを浮かべた。
「錆兎がやられたら、村田は早々に降りるし次狙われるのは金銀戦からして唯一の銀の俺なのに、何故、そこでそれを指くわえて見てると思うんだ?」
との言葉には、対峙している金竜のみならず、童磨も焦る。
3対1なら急がないと手柄を取られると思ったから一気に攻勢に出たのだ。
1対1になるならもう少し慎重に出る。
いや、1対1どころか、ここで金竜が銀虎に負けたら、2対1だ。
そして…おそらく1対1では金竜は銀虎に勝てないだろう。
そんな事を瞬時に悟り、突進してくる錆兎を見て
──まずいっ!!
と、騎馬達に少し下がるように命じるも、騎馬が動かない。
「どうしたんだいっ?!!」
と叱咤する童磨だが、すぐ気付く。
長い長い槍。
どう見ても小回りの効かないそんな武器をチョイスしてどうするんだと思っていたが、即リタイアすると思っていた銀竜の村田は、それで後ろから騎馬の1人の足を器用に捉えていた。
「村田っ助かるっ!!」
と、バランスを崩した騎馬の上で傾く童磨を騎馬からたたき落とし、その勢いで宇髄の加勢に入って金竜を落とす。
と、にっこりと端正な顔に悪い笑みを浮かべた。
「錆兎がやられたら、村田は早々に降りるし次狙われるのは金銀戦からして唯一の銀の俺なのに、何故、そこでそれを指くわえて見てると思うんだ?」
との言葉には、対峙している金竜のみならず、童磨も焦る。
3対1なら急がないと手柄を取られると思ったから一気に攻勢に出たのだ。
1対1になるならもう少し慎重に出る。
いや、1対1どころか、ここで金竜が銀虎に負けたら、2対1だ。
そして…おそらく1対1では金竜は銀虎に勝てないだろう。
そんな事を瞬時に悟り、突進してくる錆兎を見て
──まずいっ!!
と、騎馬達に少し下がるように命じるも、騎馬が動かない。
「どうしたんだいっ?!!」
と叱咤する童磨だが、すぐ気付く。
長い長い槍。
どう見ても小回りの効かないそんな武器をチョイスしてどうするんだと思っていたが、即リタイアすると思っていた銀竜の村田は、それで後ろから騎馬の1人の足を器用に捉えていた。
「村田っ助かるっ!!」
と、バランスを崩した騎馬の上で傾く童磨を騎馬からたたき落とし、その勢いで宇髄の加勢に入って金竜を落とす。
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