お疲れさん、義勇」
「義勇さん、疲れてないですか?大丈夫ですか?」
長い長い借り物競走が終わるとランチタイムだ。
生徒達は各々でランチボックスを持参するか、あらかじめ学食に申し込んで学食のランチボックスを届けてもらうかして、テント内で昼食を摂る。
義勇のランチは錆兎があらかじめ吟味した材料で作ってくれたランチボックスで、食事はもちろん、デザートにフルーツや焼き菓子がたくさん入っていた。
座席にはテーブルがついていて、そこに美味しそうなランチを並べつつ、労わりの言葉をかけてくる鱗滝道場兄弟弟子。
だが、お疲れさんとか疲れてないかと言われても、義勇自身はただ馬車に乗っているだけとか、ただ抱きかかえられているだけとかで、疲れるような事は何もしていない気がする。
しかしそれを言うと、義勇をやたらと甘やかすこの兄弟弟子は
「「でもこうして座ってるだけで十分疲れるだろう?」」
などと、口を揃えるのだ。
それでいて自分達は体力を消耗する競技に当たり前に出てるくせに休みもせず義勇の世話を焼きまくるのだから、本当に困ってしまう。
それも指摘をすると
「かまわん。俺達は姫君の剣であり盾なんだから」
と、嬉しそうな顔で言うので、義勇は自分が本当に愛されるに相応しい尊い人間であるように勘違いしてしまいそうになるのだ。
実際はただ他より小さく骨格などに男っぽさがあまりないので姫君に選ばれただけなのだが…。
本当に照りつけるような日差しにも強い風にも当てないようにとばかりに、大切に大切にされるので、3年後が少し怖いな…と思うが、それでも最強の矛である皇帝と最強の盾であるナイトに囲まれて、嬉しい…と思ってしまうあたりが、自分でもしょうがないと思う。
──姫さん、ついてる
少し硬い指先にそっと頭を引き寄せられて、ちゅっと頬に触れてくる唇の感触に義勇は俯いて赤くなる。
顔に食べ物をつけると、最初はナプキンだったのが、そのうち指先で…さらに最近はこうして直接唇で吸い取られるようになって久しいわけだが、義勇はこの距離感に未だ慣れない。
実際に3歳も年上の錆兎にとっては、それはおそらく幼い弟にするような感覚なのだろうが、本当に絵物語に出てくるような精悍で整った顔で近付いて来られると、同性だというのに、すごくドキドキしてしまう。
だって仕方ない。
こんなに何でも出来てこんなに凛々しくも男前な顔の青年が、こんなに優しく愛おしげな様子で近づいてくるのだ。
ドキドキしない方がおかしい。
座席にはテーブルがついていて、そこに美味しそうなランチを並べつつ、労わりの言葉をかけてくる鱗滝道場兄弟弟子。
だが、お疲れさんとか疲れてないかと言われても、義勇自身はただ馬車に乗っているだけとか、ただ抱きかかえられているだけとかで、疲れるような事は何もしていない気がする。
しかしそれを言うと、義勇をやたらと甘やかすこの兄弟弟子は
「「でもこうして座ってるだけで十分疲れるだろう?」」
などと、口を揃えるのだ。
それでいて自分達は体力を消耗する競技に当たり前に出てるくせに休みもせず義勇の世話を焼きまくるのだから、本当に困ってしまう。
それも指摘をすると
「かまわん。俺達は姫君の剣であり盾なんだから」
と、嬉しそうな顔で言うので、義勇は自分が本当に愛されるに相応しい尊い人間であるように勘違いしてしまいそうになるのだ。
実際はただ他より小さく骨格などに男っぽさがあまりないので姫君に選ばれただけなのだが…。
本当に照りつけるような日差しにも強い風にも当てないようにとばかりに、大切に大切にされるので、3年後が少し怖いな…と思うが、それでも最強の矛である皇帝と最強の盾であるナイトに囲まれて、嬉しい…と思ってしまうあたりが、自分でもしょうがないと思う。
──姫さん、ついてる
少し硬い指先にそっと頭を引き寄せられて、ちゅっと頬に触れてくる唇の感触に義勇は俯いて赤くなる。
顔に食べ物をつけると、最初はナプキンだったのが、そのうち指先で…さらに最近はこうして直接唇で吸い取られるようになって久しいわけだが、義勇はこの距離感に未だ慣れない。
実際に3歳も年上の錆兎にとっては、それはおそらく幼い弟にするような感覚なのだろうが、本当に絵物語に出てくるような精悍で整った顔で近付いて来られると、同性だというのに、すごくドキドキしてしまう。
だって仕方ない。
こんなに何でも出来てこんなに凛々しくも男前な顔の青年が、こんなに優しく愛おしげな様子で近づいてくるのだ。
ドキドキしない方がおかしい。
「…義勇…俺達のお姫さん。暑さや疲労で気分悪くなったりしたら言えよ?
部屋に連れ帰ってやるから。
寮の評価なんかより、お前の体調の方が数万倍大事だからな?」
などとやたら言うのはさすがにリップサービスが過ぎるだろう。
寮の評価をあげるために姫君である義勇を大事にしてくれているのだから、こんな大切な寮対抗行事に皇帝と姫君、両方席を外すなど本末転倒だ。
なのに…リップサービスだとわかっているのに嬉しいと思ってしまう、家族が亡くなってからずっと、愛され、大切にされる事に免疫のなさすぎる自分が少し悲しくなる。
部屋に連れ帰ってやるから。
寮の評価なんかより、お前の体調の方が数万倍大事だからな?」
などとやたら言うのはさすがにリップサービスが過ぎるだろう。
寮の評価をあげるために姫君である義勇を大事にしてくれているのだから、こんな大切な寮対抗行事に皇帝と姫君、両方席を外すなど本末転倒だ。
なのに…リップサービスだとわかっているのに嬉しいと思ってしまう、家族が亡くなってからずっと、愛され、大切にされる事に免疫のなさすぎる自分が少し悲しくなる。
そんな風に義勇が少し泣きそうな気分になってくると、義勇のこれまでの環境を知っている錆兎は
「本当だからな?
俺にとっても炭治郎にとっても寮生達にとっても、お前の身より大事なもんなんてないんだからな?
お姫さんに何かあったら、いくら寮が評価されたって、なんの意味もない。
少なくとも俺は学園のルールだからってお姫さんを守りたいんじゃないからな?
お姫さんがどうしても辛いってんなら、学園の外に連れて逃げてやったっていい。
だから…無理だけはするなよ?」
と、ぎゅっと抱きしめて額に口づけてくれる。
その声音が優しすぎて、本気にしたら迷惑だとわかっているのに本当に信じたくなってしまって、そう言う時はいつだって義勇は最終的にどうして良いかわからなくなって、錆兎の胸に顔をうずめて泣きだしてしまうのだ。
「本当だからな?
俺にとっても炭治郎にとっても寮生達にとっても、お前の身より大事なもんなんてないんだからな?
お姫さんに何かあったら、いくら寮が評価されたって、なんの意味もない。
少なくとも俺は学園のルールだからってお姫さんを守りたいんじゃないからな?
お姫さんがどうしても辛いってんなら、学園の外に連れて逃げてやったっていい。
だから…無理だけはするなよ?」
と、ぎゅっと抱きしめて額に口づけてくれる。
その声音が優しすぎて、本気にしたら迷惑だとわかっているのに本当に信じたくなってしまって、そう言う時はいつだって義勇は最終的にどうして良いかわからなくなって、錆兎の胸に顔をうずめて泣きだしてしまうのだ。
Before <<< >>> Next (3月22日公開予定)
2人がラブラブで、読んでいて幸せになれるので、何回も読み直してます。ちなみに、姫君たちは中等部を卒業して、元姫君になった場合は、煉獄さんみたいに寮長にならない場合はどうなるのですか?一般寮生?だとしたら、これまで大切にされてきただけに、ちょっと寂しいですね。
返信削除一応一般寮生になります。
削除寂しい人もいるかもですが、ほとんどがなりたくて姫君になったわけではないので、ようやく終わったということで、今度は普通に同学年の友達と高校生活を楽しむことと思います😊
あと、寮長は姫君が変わるのと同じタイミングで卒業なので、寮長にとってだけは自分が寮長だった時の姫君が永遠の姫君なので💕💕