これは姫君参加競技で、リアカーを改造した馬車に姫君を座らせて、それを4人がリレー形式で牽いていくというものだ。
リアカーに頑丈な木のカバーをつけた馬車が学校側から提供されるのだが、その中身は改造可…というか、各寮姫君が乗り心地が良いように改造する。
牽引するスピードも必要だが、姫君が怪我をしないように、少しでも快適なようにする事も評価される。
だから事前の内部の改造も点数のうちだ。
「俺と炭治郎も馬役で参戦するから、大丈夫っ!
姫さんは乗ってるだけでいいからな」
もう最初に各寮のテントを見た時点で何が来ても驚かない…そう思った義勇だが、錆兎と炭治郎に左右の手を取られて案内された馬車を見て小さな小さな感嘆の声をあげた。
砂避けのベールをまくると、中は毛足の長いふわふわの絨毯。
足を踏み入れてみると、おそらく絨毯の下にマットのようなものを敷いてあるのだろう。
スプリングが効いていて、衝撃を吸収するようになっている。
そして最奥に義勇をすっぽり包んでしまうような大きなクマ。
「これはな、なんと寮生達の力作だ!
クマを背もたれにクマの腕がベルトがわりになるようになってるんだ。
座ってみろ」
と、どこか楽しそうな錆兎の声。
リアカーに頑丈な木のカバーをつけた馬車が学校側から提供されるのだが、その中身は改造可…というか、各寮姫君が乗り心地が良いように改造する。
牽引するスピードも必要だが、姫君が怪我をしないように、少しでも快適なようにする事も評価される。
だから事前の内部の改造も点数のうちだ。
「俺と炭治郎も馬役で参戦するから、大丈夫っ!
姫さんは乗ってるだけでいいからな」
もう最初に各寮のテントを見た時点で何が来ても驚かない…そう思った義勇だが、錆兎と炭治郎に左右の手を取られて案内された馬車を見て小さな小さな感嘆の声をあげた。
砂避けのベールをまくると、中は毛足の長いふわふわの絨毯。
足を踏み入れてみると、おそらく絨毯の下にマットのようなものを敷いてあるのだろう。
スプリングが効いていて、衝撃を吸収するようになっている。
そして最奥に義勇をすっぽり包んでしまうような大きなクマ。
「これはな、なんと寮生達の力作だ!
クマを背もたれにクマの腕がベルトがわりになるようになってるんだ。
座ってみろ」
と、どこか楽しそうな錆兎の声。
実際、とても可愛らしく楽しい気持ちになるような空間で、クマにもたれかかるように座ると、錆兎がクマの腕で義勇の身体を固定した。
ぬいぐるみの手なのでふわふわとした心地よい感触だが、内部にはおそらく硬い骨組が入っているのだろう。
思いのほかしっかりと義勇の身体が放り出されたりしないようにガードされるようになっている。
こうしてクマに抱きしめられるように固定された状況で、最後に錆兎が渡してくれるぬいぐるみは真っ白なタキシードを着た宍色の狼だ。
「…この子……」
戸惑いながらも向かい合わせになるようにぎゅっと抱きしめると、ちょっと釣り目がちな藤色のガラス玉の目と視線があう。
それに、気づいたか…と、錆兎は得意げに笑った。
ぬいぐるみの手なのでふわふわとした心地よい感触だが、内部にはおそらく硬い骨組が入っているのだろう。
思いのほかしっかりと義勇の身体が放り出されたりしないようにガードされるようになっている。
こうしてクマに抱きしめられるように固定された状況で、最後に錆兎が渡してくれるぬいぐるみは真っ白なタキシードを着た宍色の狼だ。
「…この子……」
戸惑いながらも向かい合わせになるようにぎゅっと抱きしめると、ちょっと釣り目がちな藤色のガラス玉の目と視線があう。
それに、気づいたか…と、錆兎は得意げに笑った。
「そそ。例の裁縫職人の従姉妹が作ってくれた俺な狼だ。
なかなかに似ているだろう?
競技中は側にいれないから、代わりの護衛な」
との錆兎の言葉に、やっぱりそうだったのか、と、思う。
「可愛いなぁ~、この子」
確かに錆兎はなんだかどことなく身内想いの狼っぽい。
そんな錆兎を模した錆兎色の毛の狼のぬいぐるみは、本物の錆兎より幼い感じで、どこか小さな錆兎のようだ、と、思う。
すごく可愛らしく愛おしくなってきて、義勇はそのぬいぐるみをぎゅうっと抱きしめた。
その瞬間、パシャリとシャッター音。
不思議に思って顔をあげると、写真に撮られている。
…え?
と、首をかしげると、錆兎がなにやらスマホを弄りながら説明してきた。
「ああ、馬車の内部もな、別枠の採点対象になるんだ。
採点者は招待したOB達な。
この競技に関しては、実際にゴールした順位と改造した馬車の内部の技術点、2重に評価されるから、姫君が乗った時点で写真を本部に送って、それが本部に揃ったとこで、すでに評価が始まってる」
「うあ…言ってくれればもうちょっとちゃんとしたのにっ!!」
なかなかに似ているだろう?
競技中は側にいれないから、代わりの護衛な」
との錆兎の言葉に、やっぱりそうだったのか、と、思う。
「可愛いなぁ~、この子」
確かに錆兎はなんだかどことなく身内想いの狼っぽい。
そんな錆兎を模した錆兎色の毛の狼のぬいぐるみは、本物の錆兎より幼い感じで、どこか小さな錆兎のようだ、と、思う。
すごく可愛らしく愛おしくなってきて、義勇はそのぬいぐるみをぎゅうっと抱きしめた。
その瞬間、パシャリとシャッター音。
不思議に思って顔をあげると、写真に撮られている。
…え?
と、首をかしげると、錆兎がなにやらスマホを弄りながら説明してきた。
「ああ、馬車の内部もな、別枠の採点対象になるんだ。
採点者は招待したOB達な。
この競技に関しては、実際にゴールした順位と改造した馬車の内部の技術点、2重に評価されるから、姫君が乗った時点で写真を本部に送って、それが本部に揃ったとこで、すでに評価が始まってる」
「うあ…言ってくれればもうちょっとちゃんとしたのにっ!!」
心の準備もなくいきなりそんな大切な写真を撮られていた事にわたわたと慌てる義勇だが、錆兎と炭治郎、そしてあと2人のこの競技の馬役の寮生は口を揃えて言いきるのだ。
「大丈夫っ!うちの姫君は世界で一番可愛いっ!!」
と。
Before <<< >>> Next (3月10日公開予定)
「大丈夫っ!うちの姫君は世界で一番可愛いっ!!」
と。
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