「義勇、危ないから無一郎から離れないようにな?」
と仮面を渡しながらチュッと額に口づけを落とす錆兎に義勇はうんうんと頷いて見せる。
そして寮長達の元へ。
「さ~、じゃあドアを開けるぜっ」
と、宇髄がドアノブを固定したベールを自らの斧でざっくり切り落とし、金銀の竜寮の寮長が両開きのドアをそれぞれ開け、金銀の狼寮の寮長がまず部屋に特攻する……と、部屋の奥には当たり前さきほどと同じ格好をしたバトラーの姿。
吐いた血で汚れたはずの衣装の染みもない。
どうやら着替えたらしい。
そして当たり前に笑顔。
「さあ物語は佳境、最後の選択です。
君たちは騙されて古城に連れて来られ…一部は毒殺。
生きた甲冑に追いまわされるも撃退に成功。
ここまでは良いとして、しかし城じゅうの窓は開ける事が不可能。
ドアも開かない。
そんな中でこの城の全てを支配する城主が登場して言いました。
さあ、諸君。
君達には生か死か、二つの道を選ばせてあげよう。
選択肢は簡単。
各寮で寮長か副寮長か、それぞれどちらかを生きてここから出してあげようというものだ。
それに対してどう答えるかね?
全員で生きて…とか、他の方法はという選択肢はないという事で答えたまえ。
そうだな…回答はせっかくだから新寮長2人で相談して決めてくれたまえ」
ざわめく室内。
一瞬戸惑う生徒達を遠目に、バトラーはクスクス笑いながら左手で椅子を引き寄せると腰をかけて足を組む。
「なるほど。
一応イベントの主役は1年坊主ってことか」
「よ~く考えろよ、最初のイベントで減点されるか加点されるかは大きいぞ~」
上級生たちはすでにイベントは終わったものとして他人事だ。
そして顔を見合わせる不死川と錆兎。
「…どうする?」
「あー…任せるわ。
大勢の人間を動かすとか、その手のことは得意じゃねえ」
「そうか…じゃ、俺の考えを言うな?」
「おうよ」
実に簡単に相談を終えて、錆兎はバトラーを向き直った。
そして言う。
「銀狼寮の寮長として考えるなら、生かすのは銀虎と銀竜の寮長と、他の寮の姫達」
ざわり…とまた場がざわめく。
バトラーは、ほぉ?とピクリと眉を動かした。
「銀虎と銀竜だけ寮長なのは?」
と当然のように返ってくる質問に、錆兎はまっすぐバトラーに視線を向けたまま言った。
「城主が生きて学校まで戻すと言ってないからな。
姫達だけだと城から出たあとに生きて帰れない可能性がある。
だからガードできる寮長が何人かは必要。
そして俺は自寮の姫君を死なせるなんて選択は到底できないし、そこは姫を生かしてだすの決定として、学園は確かに寮対抗ではあるが物によっては金銀対決になるから、そうなると銀側の姫はうちの姫君だけで他の寮で代理がたったとしても敵わないだろうから、戦力としてうちの姫君の安全をキープしてくれる可能性があるのは銀寮側の寮長だから。
逆に金寮側の寮長がいると、自寮のメインの姫がいなくなって自分の側が不利になるからな。
銀側のうちの姫君を害される可能性が高い」
「な~るほど。
戦略としては素晴らしいし、上にたつ者としてもシビアでよろしい」
パチパチと手を叩くバトラーに錆兎は少し不機嫌な様子で
「シビアなわけじゃない。
単に俺は俺の姫が大事なだけだ。
うちの姫を絶対的に幸せに出来て余裕があるならば他を助けても良いが、そうじゃないなら俺がどれだけ極悪な事に手を染めたとしても後ろ指さされたとしても、姫君だけは真っ白で幸せな状態で置いておきたいだけだ。
俺はうちの姫君だけの剣であり盾であるからな」
と言う。
「あーもう愛されてるねぇ」
「いやいや、可愛い、可愛い」
「錆兎将軍がこんなにメロメロなのか」
最後…本来は非常に真面目にして重要な場面なのだろうが、結局上級生たちにからかわれながら、どうやらイベントは終わったらしい。
一応イベントの主役は1年坊主ってことか」
「よ~く考えろよ、最初のイベントで減点されるか加点されるかは大きいぞ~」
上級生たちはすでにイベントは終わったものとして他人事だ。
そして顔を見合わせる不死川と錆兎。
「…どうする?」
「あー…任せるわ。
大勢の人間を動かすとか、その手のことは得意じゃねえ」
「そうか…じゃ、俺の考えを言うな?」
「おうよ」
実に簡単に相談を終えて、錆兎はバトラーを向き直った。
そして言う。
「銀狼寮の寮長として考えるなら、生かすのは銀虎と銀竜の寮長と、他の寮の姫達」
ざわり…とまた場がざわめく。
バトラーは、ほぉ?とピクリと眉を動かした。
「銀虎と銀竜だけ寮長なのは?」
と当然のように返ってくる質問に、錆兎はまっすぐバトラーに視線を向けたまま言った。
「城主が生きて学校まで戻すと言ってないからな。
姫達だけだと城から出たあとに生きて帰れない可能性がある。
だからガードできる寮長が何人かは必要。
そして俺は自寮の姫君を死なせるなんて選択は到底できないし、そこは姫を生かしてだすの決定として、学園は確かに寮対抗ではあるが物によっては金銀対決になるから、そうなると銀側の姫はうちの姫君だけで他の寮で代理がたったとしても敵わないだろうから、戦力としてうちの姫君の安全をキープしてくれる可能性があるのは銀寮側の寮長だから。
逆に金寮側の寮長がいると、自寮のメインの姫がいなくなって自分の側が不利になるからな。
銀側のうちの姫君を害される可能性が高い」
「な~るほど。
戦略としては素晴らしいし、上にたつ者としてもシビアでよろしい」
パチパチと手を叩くバトラーに錆兎は少し不機嫌な様子で
「シビアなわけじゃない。
単に俺は俺の姫が大事なだけだ。
うちの姫を絶対的に幸せに出来て余裕があるならば他を助けても良いが、そうじゃないなら俺がどれだけ極悪な事に手を染めたとしても後ろ指さされたとしても、姫君だけは真っ白で幸せな状態で置いておきたいだけだ。
俺はうちの姫君だけの剣であり盾であるからな」
と言う。
「あーもう愛されてるねぇ」
「いやいや、可愛い、可愛い」
「錆兎将軍がこんなにメロメロなのか」
最後…本来は非常に真面目にして重要な場面なのだろうが、結局上級生たちにからかわれながら、どうやらイベントは終わったらしい。
「もうあの将軍のあんな様子見てると憎めないねぇ。
まあ寮勝負になったら容赦はできないけど、そうじゃない時はまた話そうね」
「おチビさん、またな~」
などなど、義勇はポンポンとやたらと頭をなでられまくった。
「この上級生も巻き込み系って来年もなの?
そうなら僕たちもしかして来年も巻き込まれるわけ?」
と、無一郎は面倒くさそうに村田に文句を言い、その村田は
「あ~、かもねぇ。
まあ、俺達には拒否権なさそうだし、どうしようもないけど」
と、苦笑する。
「ま、来年からは事情がわかってるから、もうちっと落ち着いて対処できるだろ。
おら、うるせえから泣くなっ!」
と、不死川は口では乱暴な言い方をしつつも今度は安堵で号泣する善逸の顔にハンカチをおしつけた。
こうして初の寮イベントは終了し、義勇は錆兎に連れられて再度馬車で寮に戻ったのだった。
まあ寮勝負になったら容赦はできないけど、そうじゃない時はまた話そうね」
「おチビさん、またな~」
などなど、義勇はポンポンとやたらと頭をなでられまくった。
「この上級生も巻き込み系って来年もなの?
そうなら僕たちもしかして来年も巻き込まれるわけ?」
と、無一郎は面倒くさそうに村田に文句を言い、その村田は
「あ~、かもねぇ。
まあ、俺達には拒否権なさそうだし、どうしようもないけど」
と、苦笑する。
「ま、来年からは事情がわかってるから、もうちっと落ち着いて対処できるだろ。
おら、うるせえから泣くなっ!」
と、不死川は口では乱暴な言い方をしつつも今度は安堵で号泣する善逸の顔にハンカチをおしつけた。
こうして初の寮イベントは終了し、義勇は錆兎に連れられて再度馬車で寮に戻ったのだった。
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