「何故あそこで出てきてしまったんですか。
童磨様があちこちに手配されて、あれだけ綿密に計画を立てて、もう少しで計画完了でしたのに。
………無惨様、聞いておられますか?」
こちらは錆兎達と分かれてヘリで帰宅の無惨と王。
どうやら教祖様にとってとても大切な相手らしい…と思いつつも、王は万世極楽教の教祖の童磨の信者で若き右腕ではあっても無惨の部下ではない。
そのあたり、教祖様の関係者だからと逆らいはしないが、あまりな行動をとられると若干辛辣にもなる。
まあ無惨も鬼の長であった時には部下であろうとなかろうと自分にこんな口の聞き方をしよう者がいたなら即文字通り物理的に首を刎ねたところだが、何の力も持たぬ人としての生を送ってきた今生ではそのあたりもやや緩くなったし、なにより今は機嫌が良かった。
なので
「安心しろ。聞いてやっている。
ああしかし…あのナプキン、取り上げられてしまったのは残念だった…。
ぎゆうのアレ拭いたものだ。お宝だぞ?
絶対にコレクションにいれようと思ったのに…」
と、操縦しながら綺麗な眉を逆立てる王の隣で怒るどころかテーブルクロスにすりすりと顔をすりつけてうっとり言う無惨。
「まあこれだけでも手に入って良かった。ぎゆうが直に尻をおろした逸品だ」
という無惨に、王は頭を抱える。
………無惨様、聞いておられますか?」
こちらは錆兎達と分かれてヘリで帰宅の無惨と王。
どうやら教祖様にとってとても大切な相手らしい…と思いつつも、王は万世極楽教の教祖の童磨の信者で若き右腕ではあっても無惨の部下ではない。
そのあたり、教祖様の関係者だからと逆らいはしないが、あまりな行動をとられると若干辛辣にもなる。
まあ無惨も鬼の長であった時には部下であろうとなかろうと自分にこんな口の聞き方をしよう者がいたなら即文字通り物理的に首を刎ねたところだが、何の力も持たぬ人としての生を送ってきた今生ではそのあたりもやや緩くなったし、なにより今は機嫌が良かった。
なので
「安心しろ。聞いてやっている。
ああしかし…あのナプキン、取り上げられてしまったのは残念だった…。
ぎゆうのアレ拭いたものだ。お宝だぞ?
絶対にコレクションにいれようと思ったのに…」
と、操縦しながら綺麗な眉を逆立てる王の隣で怒るどころかテーブルクロスにすりすりと顔をすりつけてうっとり言う無惨。
「まあこれだけでも手に入って良かった。ぎゆうが直に尻をおろした逸品だ」
という無惨に、王は頭を抱える。
「そんなのっ!いつか本人が手に入ったらいくらでも直接触れてもらえばいいじゃないですかっ!それより…」
「いつかではいかんっ!!」
と、そう言った瞬間、テーブルクロスに夢中だった無惨がいきなり視線を王に向けて言葉を遮った。
「雅を解さない貴様には理解できんかもしれんが、今!そう、今の16歳の時のぎゆうが触れた事に意義があるのだっ。
もちろん17になっても18になっても20すぎてもぎゆうは可愛いが。
その時々、その瞬間のモノを入手することが大事なのだっ。わかるか?」
「…わかりたくありません…」
綿密に計画を立てて教団の私財を投じて企業まで買収し、自らも危険をおかして計画に加わった努力はなんだったのか…。
その数億の金が動いた計画がたった一枚の体液で汚れただけのナプキンで崩されるとか、本当にありえない。
まあ、自らのボスであり信仰の対象でもある教祖の童磨もやや偏執的で変わったところのある人物で、それは教祖という立場だからかとも思ったが、実はこれが彼らが育った日本という国のオタク気質というものなのだろうか…。
本人を手に入れるだけじゃダメなんだろうか…。
大財閥の一人息子に生まれおちて早17年。
何もかもが思い通りになって面白みのない色のない生活に嫌気がさして、ついつい興を引かれて宗教団体に身を投じ、なんだかつかみどころのない変わった教祖や、その恩人であるというひどく何かに飢えた目をしたこの青年と出会ってから、王の人生は極彩色の色鮮やかなものとなった。
叶い過ぎて望むという事を知らなかった王月龍は、この、叶わないのに叶える事を諦めない青年に少しばかり興味を惹かれて、その夢を一緒に追いたくなって半年。
初めて一筋縄ではいかないものに出会って、人生が倍楽しくなった。
――まあ…叶わないからこそ、叶えるべく画策するのを楽しめるんですし、今回は良いとしますか…。
そうだ。教祖はこの青年に関わり続けるだろうし、青年が諦めない限り、楽しめる時間が増えたということではないか。
次…次はどうやって彼らをおびき出し、目的の少年を手に入れようか…
王はそんなことを考えながらも、隣でとうとうテーブルクロスをスーハースーハーしだした青年の事は見ないふりで、楽しげに次の計画を脳内で練り始めるのだった。
と、そう言った瞬間、テーブルクロスに夢中だった無惨がいきなり視線を王に向けて言葉を遮った。
「雅を解さない貴様には理解できんかもしれんが、今!そう、今の16歳の時のぎゆうが触れた事に意義があるのだっ。
もちろん17になっても18になっても20すぎてもぎゆうは可愛いが。
その時々、その瞬間のモノを入手することが大事なのだっ。わかるか?」
「…わかりたくありません…」
綿密に計画を立てて教団の私財を投じて企業まで買収し、自らも危険をおかして計画に加わった努力はなんだったのか…。
その数億の金が動いた計画がたった一枚の体液で汚れただけのナプキンで崩されるとか、本当にありえない。
まあ、自らのボスであり信仰の対象でもある教祖の童磨もやや偏執的で変わったところのある人物で、それは教祖という立場だからかとも思ったが、実はこれが彼らが育った日本という国のオタク気質というものなのだろうか…。
本人を手に入れるだけじゃダメなんだろうか…。
大財閥の一人息子に生まれおちて早17年。
何もかもが思い通りになって面白みのない色のない生活に嫌気がさして、ついつい興を引かれて宗教団体に身を投じ、なんだかつかみどころのない変わった教祖や、その恩人であるというひどく何かに飢えた目をしたこの青年と出会ってから、王の人生は極彩色の色鮮やかなものとなった。
叶い過ぎて望むという事を知らなかった王月龍は、この、叶わないのに叶える事を諦めない青年に少しばかり興味を惹かれて、その夢を一緒に追いたくなって半年。
初めて一筋縄ではいかないものに出会って、人生が倍楽しくなった。
――まあ…叶わないからこそ、叶えるべく画策するのを楽しめるんですし、今回は良いとしますか…。
そうだ。教祖はこの青年に関わり続けるだろうし、青年が諦めない限り、楽しめる時間が増えたということではないか。
次…次はどうやって彼らをおびき出し、目的の少年を手に入れようか…
王はそんなことを考えながらも、隣でとうとうテーブルクロスをスーハースーハーしだした青年の事は見ないふりで、楽しげに次の計画を脳内で練り始めるのだった。
【完】
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