リビングにつながるドアはしっかりしめて、錆兎はあたりを見回した。
カーテン…持ってきてやったら良かったか…。
これが適当な相手なら適当な場所で適当な体勢でやるところだが、あいにく義勇相手にそれはない。
錆兎の気持ち的なものというのもないとは言わないが、それよりも義勇が無理だ。
どれだけおぼっちゃまなのかと思わないでもないところではあるが、義勇の自慰を手伝う――というより代りにやってやると言った方が正しいか…――時は、いつも寝具の上なのは当たり前として、優しく丁寧に、まるで女性との行為の前のペッティングのように愛撫して高めてやって出すのだ。
――こんなんだから能動的に出せなくて自分でできないんだよな…。
そう思いつつも、その最中の恋人は当然非常に可愛らしいし、その行為も楽しいので錆兎的には問題ない。
そう、可愛いは正義だ。
…が、今はそうも言ってられない。
ベッド…は館内を探せばどこかにはあるかもしれないが、この状況ではさすがに出来ない。
かといって椅子に座って…というのでは無理そうだ。
う~ん…と唸る錆兎。
横たわれるとしたら床か10人分はあるであろう大きなダイニングテーブルだが…
「あ、そうか。これにするか」
錆兎はその上にかかっていたこれまた大きなテーブルクロスをひっぺがし、丁寧に折りたたんで人が一人横たわれるくらいの大きさにしてテーブルに置く。
そこにうながすと、義勇は若干身を固くして
「…まさか…ここで?」
と錆兎をみあげた。
「俺達しかいないし、床よりはいいだろう?」
と、当たり前にきっぱりそういう恋人に、義勇は一瞬躊躇するものの、そこでさらりとまた肩にまわされていた手が立ったままの状態で意味ありげに動き始めたことでわきあがってきた若い熱に耐えられずに、そこに横たわる。
こうして汚さないように下だけは脱がせて、
「多少なら大丈夫だが、あんまり大きな声は出すなよ?」
と、声をかけ、いつものように始められる愛撫。
そのあたりにあったナプキンを必死に噛む義勇に、錆兎はクスリと笑った。
可愛い恋人が羞恥のあまり涙目になり、何かをこらえるように声を殺すその様子は、何かいとけない子にイケナイ事を強要しているようで、背徳感を感じるとともに興奮する。
そのせいだろうか…何か鋭い視線を感じる気がした。
…?
と、当たり前にきっぱりそういう恋人に、義勇は一瞬躊躇するものの、そこでさらりとまた肩にまわされていた手が立ったままの状態で意味ありげに動き始めたことでわきあがってきた若い熱に耐えられずに、そこに横たわる。
こうして汚さないように下だけは脱がせて、
「多少なら大丈夫だが、あんまり大きな声は出すなよ?」
と、声をかけ、いつものように始められる愛撫。
そのあたりにあったナプキンを必死に噛む義勇に、錆兎はクスリと笑った。
可愛い恋人が羞恥のあまり涙目になり、何かをこらえるように声を殺すその様子は、何かいとけない子にイケナイ事を強要しているようで、背徳感を感じるとともに興奮する。
そのせいだろうか…何か鋭い視線を感じる気がした。
…?
が、振り向いてもドアはしっかりしまっていて、あたりを見回しても当然人の陰など何もない。
気のせい…か?
――…っ…さび…と…?
手が止まっていたのだろう。
熱い息を吐きながら涙があふれる大きな丸い目でうながす恋人に、錆兎は注意をそちらへと戻す。
「すまん。ちょっとボ~っとしてた。いいぞ。出せ」
と、安心するように微笑んで愛撫の手を速めてやると、恋人は可愛い声をあげて吐精した。
全てを吐き出してぐったりしている恋人の様子も可愛らしい。
ああ、もう何をしていても可愛いわけなのだが。
錆兎は半分意識が飛んでいるような義勇の手からしっかりと噛みしめていたナプキンを取りあげて汚れた自分の手を軽く拭くと、まくりあげていたシャツの下の汚れた義勇の白い腹を拭いてやり、シャツを戻し、下をはかせて、それをぽ~んとゴミ箱の方に放り出して、
「起きれるか?」
と、義勇の体を起してやった……その瞬間…!!!
――人の気配っ?!!
バッと何かがうごめく気配を感じてゴミ箱の方を振り向くと、そこには壁から伸びている手。
普通の人間であるならそのホラーじみた光景に悲鳴をあげて逃げるところだ。
――たとえその手がしっかり先ほど放り出したナプキンを掴んでいたとしても…――
しかし我らが筆頭様は一味違う男だった。
恋人が関わるものを危険人物の手に渡すことは断固として阻止だ!
それが恋人の体液で汚れたナプキンだとしたらなおさらに!
「それ返せっっ!!!」
錆兎は宙を飛んだ。
バキバキィィ~~!!!!
気のせい…か?
――…っ…さび…と…?
手が止まっていたのだろう。
熱い息を吐きながら涙があふれる大きな丸い目でうながす恋人に、錆兎は注意をそちらへと戻す。
「すまん。ちょっとボ~っとしてた。いいぞ。出せ」
と、安心するように微笑んで愛撫の手を速めてやると、恋人は可愛い声をあげて吐精した。
全てを吐き出してぐったりしている恋人の様子も可愛らしい。
ああ、もう何をしていても可愛いわけなのだが。
錆兎は半分意識が飛んでいるような義勇の手からしっかりと噛みしめていたナプキンを取りあげて汚れた自分の手を軽く拭くと、まくりあげていたシャツの下の汚れた義勇の白い腹を拭いてやり、シャツを戻し、下をはかせて、それをぽ~んとゴミ箱の方に放り出して、
「起きれるか?」
と、義勇の体を起してやった……その瞬間…!!!
――人の気配っ?!!
バッと何かがうごめく気配を感じてゴミ箱の方を振り向くと、そこには壁から伸びている手。
普通の人間であるならそのホラーじみた光景に悲鳴をあげて逃げるところだ。
――たとえその手がしっかり先ほど放り出したナプキンを掴んでいたとしても…――
しかし我らが筆頭様は一味違う男だった。
恋人が関わるものを危険人物の手に渡すことは断固として阻止だ!
それが恋人の体液で汚れたナプキンだとしたらなおさらに!
「それ返せっっ!!!」
錆兎は宙を飛んだ。
バキバキィィ~~!!!!
木で出来ていたらしい壁が、錆兎の渾身の蹴りで木っ端みじんに砕け散った。
そして…その向こうで驚きに目を見開いたまま固まっている今回の黒幕の姿。
手にはしっかりさきほどのナプキンを握りしめている。
「何があったっ!!!!」
バン!と開くリビングに続くドア。
鍵はかかってなかったし、さすがに入るなと言われてもこの騒ぎだ。
宇髄が驚いて飛び込んできて、同じく目を見張った。
「…かくほ……宇髄、月哉を確保しろおぉぉぉ~~!!!!」
声の限り叫ぶ錆兎の指示は、ある意味通る。
「それを放せ、この変態っ!!!」
「いやだあああ~~!!これは私の家の私物だっっ!!私の物だあぁぁ~!!!!」
平安時代からの因縁の2人でひっぱりあう汚れたナプキン。
驚いたことにその姿は今生での姿だった炭治郎ではなく、無惨の容姿そのままだった。
まあでも行動からしても発言からしても、中身は間違いなく無惨だろう。
そんな二人から少し離れたテーブルの上で、さきほどまで下に敷いていたテーブルクロスを被って、『見られてた…死にたい…死にたい…死にたい…』とプルプル泣きながら震える義勇の横を通り過ぎ、こんな状況でもナプキンを取り合って逃げる様子のない無惨に向かって不死川は疾走した。
「なんだ、お前もかっ!お前もナプキンの取り合いに参戦かっ?!」
と、乱入した不死川に飛ぶ他意はない煉獄の大声に、彼は非常に情けなくもしょっぱい気分になる。
「違えっ!!!俺が確保してえのは、その布っきれじゃねえっ!!無惨だぁっ!!!」
と、もう涙目で無実を訴える不死川に、
「実弥、無惨を早く確保して連れて行ってくれ!!」
と錆兎に言われるまではとにかくとして、
「気持ち悪い事を言うなっ!貴様みたいなやつに興味はないっ!!」
と無惨にゴミをみるような眼で見られてそう言われたのには、もう泣くしかない。
何が悲しくて“気持ち悪い”とまで言われてんだぁ、俺?
…と、思いつつも、ここで引くわけにはいかない。
「そういう意味じゃねええぇぇ~~!!!
黒幕のてめえを捕まえたら脱出手段確保できるだろうがっ!!!
そんな布っきれ、どうでもいいっ!協力しろっ!煉獄、宇髄っ!!!」
「あ~そうだったなっ!」
と、そこでやっとわかってもらえたらしい。
煉獄も協力して無惨を拘束した。
ここまでどたばたしていれば他も気づかないわけはない。
皆がダイニングに集まってくる。
そして…その向こうで驚きに目を見開いたまま固まっている今回の黒幕の姿。
手にはしっかりさきほどのナプキンを握りしめている。
「何があったっ!!!!」
バン!と開くリビングに続くドア。
鍵はかかってなかったし、さすがに入るなと言われてもこの騒ぎだ。
宇髄が驚いて飛び込んできて、同じく目を見張った。
「…かくほ……宇髄、月哉を確保しろおぉぉぉ~~!!!!」
声の限り叫ぶ錆兎の指示は、ある意味通る。
「それを放せ、この変態っ!!!」
「いやだあああ~~!!これは私の家の私物だっっ!!私の物だあぁぁ~!!!!」
平安時代からの因縁の2人でひっぱりあう汚れたナプキン。
驚いたことにその姿は今生での姿だった炭治郎ではなく、無惨の容姿そのままだった。
まあでも行動からしても発言からしても、中身は間違いなく無惨だろう。
そんな二人から少し離れたテーブルの上で、さきほどまで下に敷いていたテーブルクロスを被って、『見られてた…死にたい…死にたい…死にたい…』とプルプル泣きながら震える義勇の横を通り過ぎ、こんな状況でもナプキンを取り合って逃げる様子のない無惨に向かって不死川は疾走した。
「なんだ、お前もかっ!お前もナプキンの取り合いに参戦かっ?!」
と、乱入した不死川に飛ぶ他意はない煉獄の大声に、彼は非常に情けなくもしょっぱい気分になる。
「違えっ!!!俺が確保してえのは、その布っきれじゃねえっ!!無惨だぁっ!!!」
と、もう涙目で無実を訴える不死川に、
「実弥、無惨を早く確保して連れて行ってくれ!!」
と錆兎に言われるまではとにかくとして、
「気持ち悪い事を言うなっ!貴様みたいなやつに興味はないっ!!」
と無惨にゴミをみるような眼で見られてそう言われたのには、もう泣くしかない。
何が悲しくて“気持ち悪い”とまで言われてんだぁ、俺?
…と、思いつつも、ここで引くわけにはいかない。
「そういう意味じゃねええぇぇ~~!!!
黒幕のてめえを捕まえたら脱出手段確保できるだろうがっ!!!
そんな布っきれ、どうでもいいっ!協力しろっ!煉獄、宇髄っ!!!」
「あ~そうだったなっ!」
と、そこでやっとわかってもらえたらしい。
煉獄も協力して無惨を拘束した。
ここまでどたばたしていれば他も気づかないわけはない。
皆がダイニングに集まってくる。
Before <<< >>>Next (12月16日公開予定)
0 件のコメント :
コメントを投稿