梅の見頃は終わり、季節は桜の花が咲き誇る頃合いになっていた。
その間、ぎゆうは1,2度ほど錆兎と共に自分の自宅に遊びに行ったが、基本渡辺家で生活をしていて、それは伝わっていたのだろう。
今度は桜の花見の宴を催すのでと、産屋敷家から渡辺家に二人に対しての招待状が届いた。
今度は桜の花見の宴を催すのでと、産屋敷家から渡辺家に二人に対しての招待状が届いた。
「ねえ、どうせならぎゆうもたまには錆兎とおそろいでみずらに結ったら?
でね、これ!
錆兎の目の藤色の結い紐でぎゆうが髪を結んで、錆兎はぎゆうの目と同じ青で結ぶの。
お揃い感がでて良くない?」
と、二色の飾り紐をみせてくれた。
そして
「錆兎とお揃い!!」
と、ぎゆうが嬉しさにふにゃりと笑みを浮かべると、
「わたしが結ってあげるから。
当日の支度の時に部屋においで」
と、言ってくれる。
服も二人して半尻姿。
「ありがとう!真菰!」
と礼を言うと、真菰はにこにこと
「ううん。可愛い弟が2人に増えたみたいでわたしも楽しいよ」
と、さらにそう言ってくれた。
こうして二人で色違いのお揃いっぽい格好で向かう産屋敷邸の宴。
大人は酒も入るので夕刻からということで、昼間の今は子どもだけだ。
室内には菓子なども用意されているが、たいていの子どもは庭で蹴鞠に興じている。
──錆兎だっ!!
──錆兎もやろうっ!!
と、顔を見せた瞬間、耀哉様に挨拶をする間もなく錆兎に声がかかった。
でね、これ!
錆兎の目の藤色の結い紐でぎゆうが髪を結んで、錆兎はぎゆうの目と同じ青で結ぶの。
お揃い感がでて良くない?」
と、二色の飾り紐をみせてくれた。
そして
「錆兎とお揃い!!」
と、ぎゆうが嬉しさにふにゃりと笑みを浮かべると、
「わたしが結ってあげるから。
当日の支度の時に部屋においで」
と、言ってくれる。
服も二人して半尻姿。
「ありがとう!真菰!」
と礼を言うと、真菰はにこにこと
「ううん。可愛い弟が2人に増えたみたいでわたしも楽しいよ」
と、さらにそう言ってくれた。
こうして二人で色違いのお揃いっぽい格好で向かう産屋敷邸の宴。
大人は酒も入るので夕刻からということで、昼間の今は子どもだけだ。
室内には菓子なども用意されているが、たいていの子どもは庭で蹴鞠に興じている。
──錆兎だっ!!
──錆兎もやろうっ!!
と、顔を見せた瞬間、耀哉様に挨拶をする間もなく錆兎に声がかかった。
それに少し困った様子を見せる錆兎だが、
「行ってくると良いよ。
ぎゆうは私と一緒にここで応援していよう」
と、そこで耀哉様が卒なくそう言ってくれる。
それでもなお錆兎は迷っていたが、
「私も一人では寂しいからね。
お前の大切な相方を少し貸しておくれ」
とまで言われては、断りにくい。
そこで義勇が
「ここなら毬を蹴る錆兎を見るのに特等席だ」
と、言葉を添えると、ようやく
「では行ってくる」
と、スタっと庭に降りて毬を蹴る少年たちの中に入っていった。
最初、少年たちは人数が揃わなかったため7人で毬を蹴っていたが、錆兎が加わって8人になったので、4対4の二組で団体戦を行うことにしたようである。
彼らは皆顔見知りらしく、錆兎は蹴鞠も上手いことで知られているようで、一番蹴るのが不得意な少年の隣になった。
そうしてまず4人で毬を一巡。
その後、高く蹴り上げる上毬から随意に蹴り始める。
競技としてなら上手い者で回していれば確実なのだろうが、そこはさすが錆兎だ。
下手な者も外したりはせず、受けやすいちょうど良い加減で相手に毬を渡してやる。
そうして得意でない者が蹴ってとんでもない方向に飛んだ毬は自らが受け、余裕がある時は得意じゃない者に受けやすい加減で、余裕がなさそうな時は少し取りにくくとも受けてくれる得意な者へと蹴り渡していった。
──私はああいうのに混じることができないが、錆兎はよく面倒をみてくれているね。
と、その耀哉様の言葉にぎゆうが錆兎のそんな毬の扱いについて言及して頷くと、
──ぎゆうはとても目がいいし、よく気が付く子だね。
と、耀哉様は綺麗な黒髪をさらりと揺らして綺麗な笑みを浮かべる。
「行ってくると良いよ。
ぎゆうは私と一緒にここで応援していよう」
と、そこで耀哉様が卒なくそう言ってくれる。
それでもなお錆兎は迷っていたが、
「私も一人では寂しいからね。
お前の大切な相方を少し貸しておくれ」
とまで言われては、断りにくい。
そこで義勇が
「ここなら毬を蹴る錆兎を見るのに特等席だ」
と、言葉を添えると、ようやく
「では行ってくる」
と、スタっと庭に降りて毬を蹴る少年たちの中に入っていった。
最初、少年たちは人数が揃わなかったため7人で毬を蹴っていたが、錆兎が加わって8人になったので、4対4の二組で団体戦を行うことにしたようである。
彼らは皆顔見知りらしく、錆兎は蹴鞠も上手いことで知られているようで、一番蹴るのが不得意な少年の隣になった。
そうしてまず4人で毬を一巡。
その後、高く蹴り上げる上毬から随意に蹴り始める。
競技としてなら上手い者で回していれば確実なのだろうが、そこはさすが錆兎だ。
下手な者も外したりはせず、受けやすいちょうど良い加減で相手に毬を渡してやる。
そうして得意でない者が蹴ってとんでもない方向に飛んだ毬は自らが受け、余裕がある時は得意じゃない者に受けやすい加減で、余裕がなさそうな時は少し取りにくくとも受けてくれる得意な者へと蹴り渡していった。
──私はああいうのに混じることができないが、錆兎はよく面倒をみてくれているね。
と、その耀哉様の言葉にぎゆうが錆兎のそんな毬の扱いについて言及して頷くと、
──ぎゆうはとても目がいいし、よく気が付く子だね。
と、耀哉様は綺麗な黒髪をさらりと揺らして綺麗な笑みを浮かべる。
そして視線を庭の錆兎へ。
──錆兎はとても面倒見の良い子だけど…しばしば自分の身を振り返らないから、錆兎の身は君が気にしてあげるといいね。
と、耀哉様のその言葉に、ぎゆうは自分の存在意義をようやく見いだせた気がした。
そして錆兎の隣に居ても良いのだと公に認められたようで、嬉しくなる。
その時、錆兎の組の少年がひときわ大きく軌道を外して蹴り上げてしまった毬を、その少年に渡った時点で準備をしていたのであろう錆兎が走り出して、くるりと身を回転させながら見事足先で毬を受け止めると、綺麗に他の者のいる方へと蹴り返し…そして、ちらりとぎゆうのいる方に視線を向けた。
──錆兎はとても面倒見の良い子だけど…しばしば自分の身を振り返らないから、錆兎の身は君が気にしてあげるといいね。
と、耀哉様のその言葉に、ぎゆうは自分の存在意義をようやく見いだせた気がした。
そして錆兎の隣に居ても良いのだと公に認められたようで、嬉しくなる。
その時、錆兎の組の少年がひときわ大きく軌道を外して蹴り上げてしまった毬を、その少年に渡った時点で準備をしていたのであろう錆兎が走り出して、くるりと身を回転させながら見事足先で毬を受け止めると、綺麗に他の者のいる方へと蹴り返し…そして、ちらりとぎゆうのいる方に視線を向けた。
まるで、
──ぎゆう、見てたかっ!!
と言わんばかりのその得意げな顔に、ぎゆうは思わず
──さすが俺の錆兎っ!!
と、大声で叫んで手を叩く。
その声に錆兎がお日様のような満面の笑みを浮かべた。
隣では耀哉もその妙技に笑顔でぱちぱちと手を叩いている。
──ぎゆう、見てたかっ!!
と言わんばかりのその得意げな顔に、ぎゆうは思わず
──さすが俺の錆兎っ!!
と、大声で叫んで手を叩く。
その声に錆兎がお日様のような満面の笑みを浮かべた。
隣では耀哉もその妙技に笑顔でぱちぱちと手を叩いている。
いつも外ではおどおどと怯えて身を固くしていた自分がこんな風に自宅外でのびのびと過ごせるようになったのは、ひとえに錆兎と渡辺家の人々のおかげだ。
楽しい。
楽しい。
耀哉様にも
──ぎゆうは随分とのびのびしてきたね。
と、笑顔で言われた
そんな時である。
──ぎゆうっ!!
と、いきなり怒鳴られる。
ひどく苛立った声にぎょっとして声のする方向に視線を向けると、近づいてくる少年。
──ぎゆうは随分とのびのびしてきたね。
と、笑顔で言われた
そんな時である。
──ぎゆうっ!!
と、いきなり怒鳴られる。
ひどく苛立った声にぎょっとして声のする方向に視線を向けると、近づいてくる少年。
ぎゆうよりはやや年齢が上な感じのどこかピリピリした雰囲気の彼の顔には確かに覚えがあった。
確か以前に父に引きずられて出かけた先で口撃から逃げて迷い込んだ庭の主の息子だ。
あの時も随分ときつい感じのことを言われた気がするが、まだ怒っているのだろうか…
そういえばきちんと謝罪していなかった気がするが、怖くて視線を合わせることができない。
──俺がお前の前に立つ…
と、その時に思い出したのは錆兎の言葉…。
錆兎と出会う前のぎゆう自身の不手際なので錆兎に頼るのは感心できたことではない。
それはぎゆうだってさすがにわかってはいるが、実際ひどく怒った様子の少年を前にぎゆうの脳裏にまず浮かんだのは、あの錆兎の言葉だったのである。
背に腹は代えられぬ。
──錆兎っ!!
と、縋るように呼ぶと、錆兎は異変に気付いて蹴鞠を抜けて駆けつけてくれた。
そして険しい顔でぎゆうのそばに立つ少年に気づくと、
「どうした、ぎゆう。知り合いか?」
と、聞いてくる。
そこでぎゆうが錆兎に抱き着きながら
「…以前…父上の連れて行かれた先で勝手に庭に迷い込んだ……」
と、説明と言うにはあまりに拙い説明をすると、それだけで錆兎は全てを察してくれたようで、あ~…と困ったように頭を掻いた。
そしてぎゆうを引きはがして耀哉様の方へと預けると、自身は少年の前に片膝をついて
「私は渡辺の綱の孫、錆兎と申します。
連れが大変失礼を致しました。
今後は私のほうでもそのような事態を引き起こすことのないように注意致します。
なので、今回だけは世慣れぬ未熟者のしたことと、寛大なお心でお許し頂ければ幸いでございます」
と言う。
確か以前に父に引きずられて出かけた先で口撃から逃げて迷い込んだ庭の主の息子だ。
あの時も随分ときつい感じのことを言われた気がするが、まだ怒っているのだろうか…
そういえばきちんと謝罪していなかった気がするが、怖くて視線を合わせることができない。
──俺がお前の前に立つ…
と、その時に思い出したのは錆兎の言葉…。
錆兎と出会う前のぎゆう自身の不手際なので錆兎に頼るのは感心できたことではない。
それはぎゆうだってさすがにわかってはいるが、実際ひどく怒った様子の少年を前にぎゆうの脳裏にまず浮かんだのは、あの錆兎の言葉だったのである。
背に腹は代えられぬ。
──錆兎っ!!
と、縋るように呼ぶと、錆兎は異変に気付いて蹴鞠を抜けて駆けつけてくれた。
そして険しい顔でぎゆうのそばに立つ少年に気づくと、
「どうした、ぎゆう。知り合いか?」
と、聞いてくる。
そこでぎゆうが錆兎に抱き着きながら
「…以前…父上の連れて行かれた先で勝手に庭に迷い込んだ……」
と、説明と言うにはあまりに拙い説明をすると、それだけで錆兎は全てを察してくれたようで、あ~…と困ったように頭を掻いた。
そしてぎゆうを引きはがして耀哉様の方へと預けると、自身は少年の前に片膝をついて
「私は渡辺の綱の孫、錆兎と申します。
連れが大変失礼を致しました。
今後は私のほうでもそのような事態を引き起こすことのないように注意致します。
なので、今回だけは世慣れぬ未熟者のしたことと、寛大なお心でお許し頂ければ幸いでございます」
と言う。
カッコいい!と、ぎゆうはこんな時なのにその錆兎の姿に見惚れてしまった。
その所作も言葉も、ぎゆうと同い年とは思えないほど大人びてしっかりとしている。
もう誰がどう見ても完璧にカッコよくて、これで世の中のすべての問題が解決するとぎゆうは心の底から思ったのだが、少年は違うらしい。
「何故ぎゆうのことを貴様が自分の身内のように謝罪しているんだっ!」
と、キンキン怒っている。
まあ確かに自分で謝らないぎゆうが悪いと言えば悪いが、もし自分が少年の立場だったとしたら、錆兎にあんなに優雅にカッコよく詫びてもらえれば全てを許してしまうと思う。
風情を理解しない無粋な男だなぁ…と、ぎゆうは秘かに思った。
そもそもがぎゆうに怒るならとにかく、何故錆兎に怒りを向けるんだ。
その所作も言葉も、ぎゆうと同い年とは思えないほど大人びてしっかりとしている。
もう誰がどう見ても完璧にカッコよくて、これで世の中のすべての問題が解決するとぎゆうは心の底から思ったのだが、少年は違うらしい。
「何故ぎゆうのことを貴様が自分の身内のように謝罪しているんだっ!」
と、キンキン怒っている。
まあ確かに自分で謝らないぎゆうが悪いと言えば悪いが、もし自分が少年の立場だったとしたら、錆兎にあんなに優雅にカッコよく詫びてもらえれば全てを許してしまうと思う。
風情を理解しない無粋な男だなぁ…と、ぎゆうは秘かに思った。
そもそもがぎゆうに怒るならとにかく、何故錆兎に怒りを向けるんだ。
それでもこの場の主催として怒っている少年を放置もできないと思ったのだろう。
そこで耀哉様が
「彼は四天王の筆頭の家系だからね。
他の3家の子どもの不始末は己の不徳の致すところと言った感覚を持っているし、おそらく家でもそう躾けられているんだと思うよ」
と、口を添えて下さる。
耀哉様は尊い方でもあるし、耀哉様の言葉には少年も納得したようだ。
「私は別に童が庭に迷い込んできたくらいのことで腹を立てたりはしていない。
なので、今後は遠慮なくわが館にも遊びに来るといい」
と、言う。
その少年の言葉にも、ぎゆうは内心、
そこで耀哉様が
「彼は四天王の筆頭の家系だからね。
他の3家の子どもの不始末は己の不徳の致すところと言った感覚を持っているし、おそらく家でもそう躾けられているんだと思うよ」
と、口を添えて下さる。
耀哉様は尊い方でもあるし、耀哉様の言葉には少年も納得したようだ。
「私は別に童が庭に迷い込んできたくらいのことで腹を立てたりはしていない。
なので、今後は遠慮なくわが館にも遊びに来るといい」
と、言う。
その少年の言葉にも、ぎゆうは内心、
──いやいや、お前はたった今すごい勢いで怒っていたぞ
と、突っ込みを入れた。
さすがにそれは言葉にはしないが、どこか上から目線でとげのある雰囲気の少年にまた会いたいとは思わない。
むしろ二度と会いたくない。
そう思ったらついつい
──無理
と、口に出してしまっていた。
耀哉様の隣で爆笑する天元。
耀哉様もどうやら笑いをこらえているらしく、少年の機嫌も再び急降下だ。
そこで唯一錆兎が、
「ぎゆう…その言い方は失礼だ」
とコツンとぎゆうの頭に軽くこぶしを落とす。
錆兎の言うことは常に正しい。
…が、今回に関して言うなら、自分で謝罪することができなかったことなら咎められるのも仕方がないが、相手の家へ行く行かないはぎゆうの自由のはずだ。
と、突っ込みを入れた。
さすがにそれは言葉にはしないが、どこか上から目線でとげのある雰囲気の少年にまた会いたいとは思わない。
むしろ二度と会いたくない。
そう思ったらついつい
──無理
と、口に出してしまっていた。
耀哉様の隣で爆笑する天元。
耀哉様もどうやら笑いをこらえているらしく、少年の機嫌も再び急降下だ。
そこで唯一錆兎が、
「ぎゆう…その言い方は失礼だ」
とコツンとぎゆうの頭に軽くこぶしを落とす。
錆兎の言うことは常に正しい。
…が、今回に関して言うなら、自分で謝罪することができなかったことなら咎められるのも仕方がないが、相手の家へ行く行かないはぎゆうの自由のはずだ。
そしてぎゆうは行きたくない。
そう、行きたくないのである。
なので、それをもう少し長い言葉で
「でも…錆兎のいない場所に行くなんて絶対に無理だ」
と、説明してみたが、
「それでも言い方というものがある」
と、叱られてしまった。
しかしそう言いながらも錆兎はまた
「申し訳ない。
ぎゆうは極度の人見知りで…。
差し支えなければ私も同行させて頂ければ…」
と、ぎゆうの代わりに間に入って謝ってくれる。
が、相手は
「差し支えはある!貴様の顔などみたくもない!」
と、怒って帰ってしまった。
それを少し困った顔で見送ったあと、錆兎は
「確か耀哉様のご親族でしたね。
怒らせてしまって申し訳ない」
と、耀哉様に謝罪する。
だが耀哉様は笑って首を横に振り
「いや、彼はむしろ私のことが好きではないから、この場に来ること自体が気が進まなくて不機嫌にしていたんだと思うよ。
場を乱して申し訳なかったね」
と、そう謝罪してくれた。
その後、錆兎は蹴鞠に戻らずにぎゆうの隣に座り、──ぎゆう…と、ぎゆうを抱き寄せて言う。
そう、行きたくないのである。
なので、それをもう少し長い言葉で
「でも…錆兎のいない場所に行くなんて絶対に無理だ」
と、説明してみたが、
「それでも言い方というものがある」
と、叱られてしまった。
しかしそう言いながらも錆兎はまた
「申し訳ない。
ぎゆうは極度の人見知りで…。
差し支えなければ私も同行させて頂ければ…」
と、ぎゆうの代わりに間に入って謝ってくれる。
が、相手は
「差し支えはある!貴様の顔などみたくもない!」
と、怒って帰ってしまった。
それを少し困った顔で見送ったあと、錆兎は
「確か耀哉様のご親族でしたね。
怒らせてしまって申し訳ない」
と、耀哉様に謝罪する。
だが耀哉様は笑って首を横に振り
「いや、彼はむしろ私のことが好きではないから、この場に来ること自体が気が進まなくて不機嫌にしていたんだと思うよ。
場を乱して申し訳なかったね」
と、そう謝罪してくれた。
その後、錆兎は蹴鞠に戻らずにぎゆうの隣に座り、──ぎゆう…と、ぎゆうを抱き寄せて言う。
「周りに媚びることはない。
だが、無駄に敵を作っても困るのはお前だ。
同じことを伝えるのでも言い方によっては相手に良い印象も悪い印象も与えるからな。
言いたいことを言うなというわけではなく、口に出す前に自分がその言い方で言われたらということを考えて口にする言葉を考えろ」
苦言…なのだろう。
が、おそらくぎゆうの今後の生きやすさを思ってくれての忠告で、ぎゆうに対して負の感情を持ってのことではない。
錆兎はそれを示すためにこうやって親しく触れながら言葉を紡いでくれている。
ぎゆう自身は好かれたくない相手なら接触を持ちたくないので、、『無理』でダメなら『行きたくない』という言葉しかないのだが、それもそれで相手の不興を買いそうだ。
だが、無駄に敵を作っても困るのはお前だ。
同じことを伝えるのでも言い方によっては相手に良い印象も悪い印象も与えるからな。
言いたいことを言うなというわけではなく、口に出す前に自分がその言い方で言われたらということを考えて口にする言葉を考えろ」
苦言…なのだろう。
が、おそらくぎゆうの今後の生きやすさを思ってくれての忠告で、ぎゆうに対して負の感情を持ってのことではない。
錆兎はそれを示すためにこうやって親しく触れながら言葉を紡いでくれている。
ぎゆう自身は好かれたくない相手なら接触を持ちたくないので、、『無理』でダメなら『行きたくない』という言葉しかないのだが、それもそれで相手の不興を買いそうだ。
ぎゆうが悩んでいると、耀哉様の隣で天元が
「あ~、他ならとにかくとして、月哉相手にんなこと考えるだけ時間の無駄だぜ?
あいつはとにかく耀哉様に関わること全て嫌いだからな。
どうやっても不機嫌だから、さっさと返すのが正しい。
つか、いつもは寄り付かねえんだが、今日に限ってなんで足を運んだのかが全くわかんねえ。
ま、ぎゆうもなんだかこの前よりずいぶん元気になったじゃねえか。
渡辺ん家はそんなに居心地がいいか?」
と、笑ってぎゆうの頭に手を伸ばすとくしゃりと撫でてくる。
前回の初対面では意地悪なやつかと思ったのだが、今こうして接してみるとそういうわけでもないらしい。
その後は菓子を食いながら談笑。
そして夕刻には父を含んだ大人たちも合流したが、ぎゆうはそのまま天元や錆兎に囲まれていたし、前回錆兎に言い込められたこともあって大人たちもぎゆうに絡んでは来ず、楽しい時を過ごすことができた。
これをきっかけに天元とは錆兎と共にたまに行き来をしたりして、少し距離が縮まっていき、ぎゆうの世界がまた一歩広がっていくことになる。
「あ~、他ならとにかくとして、月哉相手にんなこと考えるだけ時間の無駄だぜ?
あいつはとにかく耀哉様に関わること全て嫌いだからな。
どうやっても不機嫌だから、さっさと返すのが正しい。
つか、いつもは寄り付かねえんだが、今日に限ってなんで足を運んだのかが全くわかんねえ。
ま、ぎゆうもなんだかこの前よりずいぶん元気になったじゃねえか。
渡辺ん家はそんなに居心地がいいか?」
と、笑ってぎゆうの頭に手を伸ばすとくしゃりと撫でてくる。
前回の初対面では意地悪なやつかと思ったのだが、今こうして接してみるとそういうわけでもないらしい。
その後は菓子を食いながら談笑。
そして夕刻には父を含んだ大人たちも合流したが、ぎゆうはそのまま天元や錆兎に囲まれていたし、前回錆兎に言い込められたこともあって大人たちもぎゆうに絡んでは来ず、楽しい時を過ごすことができた。
これをきっかけに天元とは錆兎と共にたまに行き来をしたりして、少し距離が縮まっていき、ぎゆうの世界がまた一歩広がっていくことになる。
Before <<< >>>Next (11月18日公開予定)
0 件のコメント :
コメントを投稿