ピカリと光る雷に照らされた洋館の窓に映る男…。
顔の半分が緩やかなカーブのかかった髪に覆われた整った顔立ちの青年だ。
平和的に…という望みがついえたならば、彼らの前に次に顔を出すならこの本来の顔で…
それはどんな手を使っても悲願を成就させるのだ…という無惨の決意の表れである。
なので現世での祖父に半ば無理やり連れてこられた某外国での奉仕活動の生活の中で、こっそり童磨に自身を救出に越させた無惨がまず行ったのは整形手術だった。
鬼の頃と違って簡単に容姿を変えられないのは不便だが、それでもこの時代だからこそ、ほぼ思いのままの容姿にすることができた。
大正時代、産屋敷が率いた鬼狩り共に滅ぼされるまでのあの無惨の容姿を取り戻せたのである。
それまでは鏡を覗くのが不快だった。
もちろん自分の元の容姿が美しくて気に入っていたということもあるのだが、それ以上に今生での容姿はなんと最後まで自分にしつこく食い下がった鬼狩りの容姿だったのだ。
竈門炭治郎。
その男のことは当然嫌いで、それでも童磨に出会っていつでも姿形を変えることは可能だったのになぜしなかったのかと言えば、その男が無惨の愛しいぎゆうの前世での弟弟子で、彼が心を許していた相手だったからである。
その男として接すれば、人見知りのぎゆうも心を許すかも…と思ってのことだったのだが、心を許しかけたかと思った矢先に、にっくき宇髄天元が邪魔をして、毎回転生のたびにそうであるようにぎゆうは渡辺錆兎の手の中に落ちてしまった。
なのでもうこの不快な容姿でいる意味はない上、逃げ出したあとに無惨を探している現世の祖父達の目をごまかすこともできると、無惨はまず童磨に整形の準備を整えさせて、現在に至る。
というわけで、これからの目的は邪魔者を排除して1000年もの間想い続けた相手をこの手に抱くことだ。
とりあえずは前者を優先である。
色々が取り揃えられた現代でなら、邪魔者がいなければ愛しいものを手にする手段などたんとあった。
前世からの部下の童磨は幸いそのまま宗教団体の教祖の地位に君臨し続けているので、ぎゆうから無惨を求めさせることのできる薬くらい用意させるのは容易いし、実際に用意させている。
だが…二兎追うものは一兎を追えずというのは、今までさんざん敗北を期してきた無惨にとってもはや座右の銘で、まずは復讐。
そう、何を置いても今までさんざん無惨の野望を邪魔してくれた奴らに対しての復讐が先なのだ。
そうして無惨は豪雨にさらされた外に目を向け、迷い込んだ犠牲者達を見てニヤリと笑みを浮かべた。
――来たなぁ……これまでの私の無念をお前達にも味あわせてやろう…。
再び光った稲妻に、その中のとりわけ小柄な少年が男のいる2階を見上げ、大きな青色の瞳を見開いた。
前世からの部下の童磨は幸いそのまま宗教団体の教祖の地位に君臨し続けているので、ぎゆうから無惨を求めさせることのできる薬くらい用意させるのは容易いし、実際に用意させている。
だが…二兎追うものは一兎を追えずというのは、今までさんざん敗北を期してきた無惨にとってもはや座右の銘で、まずは復讐。
そう、何を置いても今までさんざん無惨の野望を邪魔してくれた奴らに対しての復讐が先なのだ。
そうして無惨は豪雨にさらされた外に目を向け、迷い込んだ犠牲者達を見てニヤリと笑みを浮かべた。
――来たなぁ……これまでの私の無念をお前達にも味あわせてやろう…。
再び光った稲妻に、その中のとりわけ小柄な少年が男のいる2階を見上げ、大きな青色の瞳を見開いた。
が、すぐ再び暗闇が訪れ、男の姿を隠す。
よしんば…男の姿をはっきりと認識していたとしても、彼らに他に行くところはない。
ここは人の住まぬ小さな孤島。
雨風を凌ぐのはこの館しか無く、真水さえも館の中の井戸にしかない。
救助のあてのない遭難者が生き延びるには館に入るしかないのである。
――ようこそ、呪いの館へ…。さあ恐怖の始まりだ……。
よしんば…男の姿をはっきりと認識していたとしても、彼らに他に行くところはない。
ここは人の住まぬ小さな孤島。
雨風を凌ぐのはこの館しか無く、真水さえも館の中の井戸にしかない。
救助のあてのない遭難者が生き延びるには館に入るしかないのである。
――ようこそ、呪いの館へ…。さあ恐怖の始まりだ……。
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