どうやら現代の赤子に転生したらしい。
自分も転生する人間だったのか…と思えば、あれほど一つの生に必死にしがみついていたのもバカバカしくなった。
鬼の時のようなすごい能力はないが、人間として生まれた時の虚弱さもない。
過不足のない普通の赤子。
しかし1週間ほどのち、無惨は自分の認識が間違っていたことを知る。
赤子につけられた名前は炭治郎、苗字は竈門。
まさか…と思いつつ、さらに時がたった頃、鏡に映った自分を見る機会に恵まれて、その容姿を見て確信した。
驚いたことに自分は前世で自分と敵対していたあの少年、竈門炭治郎として転生したらしい。
無惨が知っている限り、転生した耀哉はいつでも自分が知っている耀哉だったし、天元も錆兎もぎゆうも同じくだ。
つまり他はそれまでの人生での姿に限りなく近い人間として転生しているようだから、この無惨の転生がイレギュラーなのだろう。
要因があるとしたら前世のあの時、炭治郎を取り込んで融合したことだと思われる。
本来なら炭治郎の方が転生をする因子を持った人間だったのかもしれない。
…というか、今のこの姿形をみれば、間違いなくそうなのであろう。
内心蔑んでいた人間の肉体に生まれ変わるのは不愉快だと思ったが、そこでふと思いなおす。
この子どもは前世ではぎゆうの知己だった。
ぎゆうに救われぎゆうの師範を紹介されて鬼狩りに加わった過去を持つ、つまりぎゆうの弟弟子だ。
ということはだ、この姿なら警戒されることなくぎゆうに近づけるのではないだろうか…
鬼の力もなければずっと作り続けた手下もいない。
そんなないないづくしではあるものの、ぎゆうが気を許している相手に生まれ変わったということのアドバンテージは大きい。
…まあ…それでもどうせあの男が傍に転生しているんだろうがな……
と、さすがに繰り返しすぎて、無惨も安易に無条件に期待して喜んだりはしない。
これまでいつだって無惨がぎゆうを見つけた時には藤原錆兎が傍にいた。
ぎゆうがあれと出会ってしまった後だったら、もうその回は詰んだと思っていい。
一度出会ってしまったら、たとえ錆兎が死のうとぎゆうの心は奴に持っていかれたままだというのは、この炭治郎の記憶で思い知っている。
無惨と炭治郎を強く結びつけたもの…それはぎゆうに対する想いだった。
融合して炭治郎の記憶がなだれ込んできた時に、無惨は炭治郎が自分と同じくずっとぎゆうを想っていて、しかし自分と違ってぎゆうの気持ちを優先し、自身の想いを成就するために動こうとも、その想いを告げようとすらせずに、ただ傷つき壊れたぎゆうの心を少しでも癒せるならと傍にい続けたことを知る。
その原因が錆兎である。
炭治郎は育て手のもとにいた時に錆兎の霊魂に会い、稽古をつけてもらったことで入隊試験を受ける資格を得るまでに成長を遂げていたので彼を知っているし、尊敬の念も抱いていた。
だからその錆兎が死んで8年もの月日が経とうとも、ぎゆうの心は永遠に錆兎のもので、他のなにびとにも向けられることはないという事実も淡々ととまではいかないものの受け入れて、ただぎゆうが錆兎を想いつつも現実で少しでも生きていきやすいようにと気遣っていたのである。
そんなぎゆうを間近でよく見ていた者の献身的な愛情をもってしても、ぎゆうの心は微塵たりとも向けられなかったのだ。
ほとんど親しくそばにいたことのない自分が変えられるわけもない。
ましてや今の自分は本当にただの人間の少年で、自身に特殊能力がないどころか、動かせる配下すらいないのだ。
地位も力のない人間の生活などほぼしたことがない無惨はどうしていいかわからず途方にくれた。
…が、初めてだらけの今生、転生したことで何かが変わったのだろうか…
何もできずに仕方なく真面目に園児をやっていた無惨の幼稚園の1学年下に、なんとぎゆうが転園してきたのだ。
しかも錆兎抜きでだ!!
鬼でなくなったから神が無惨に少し目を向けてくれるようになったのか?!
とにかく、他に取られる前に…と、無惨はぎゆうを抱え込んだ。
無惨が知っている限り、転生した耀哉はいつでも自分が知っている耀哉だったし、天元も錆兎もぎゆうも同じくだ。
つまり他はそれまでの人生での姿に限りなく近い人間として転生しているようだから、この無惨の転生がイレギュラーなのだろう。
要因があるとしたら前世のあの時、炭治郎を取り込んで融合したことだと思われる。
本来なら炭治郎の方が転生をする因子を持った人間だったのかもしれない。
…というか、今のこの姿形をみれば、間違いなくそうなのであろう。
内心蔑んでいた人間の肉体に生まれ変わるのは不愉快だと思ったが、そこでふと思いなおす。
この子どもは前世ではぎゆうの知己だった。
ぎゆうに救われぎゆうの師範を紹介されて鬼狩りに加わった過去を持つ、つまりぎゆうの弟弟子だ。
ということはだ、この姿なら警戒されることなくぎゆうに近づけるのではないだろうか…
鬼の力もなければずっと作り続けた手下もいない。
そんなないないづくしではあるものの、ぎゆうが気を許している相手に生まれ変わったということのアドバンテージは大きい。
…まあ…それでもどうせあの男が傍に転生しているんだろうがな……
と、さすがに繰り返しすぎて、無惨も安易に無条件に期待して喜んだりはしない。
これまでいつだって無惨がぎゆうを見つけた時には藤原錆兎が傍にいた。
ぎゆうがあれと出会ってしまった後だったら、もうその回は詰んだと思っていい。
一度出会ってしまったら、たとえ錆兎が死のうとぎゆうの心は奴に持っていかれたままだというのは、この炭治郎の記憶で思い知っている。
無惨と炭治郎を強く結びつけたもの…それはぎゆうに対する想いだった。
融合して炭治郎の記憶がなだれ込んできた時に、無惨は炭治郎が自分と同じくずっとぎゆうを想っていて、しかし自分と違ってぎゆうの気持ちを優先し、自身の想いを成就するために動こうとも、その想いを告げようとすらせずに、ただ傷つき壊れたぎゆうの心を少しでも癒せるならと傍にい続けたことを知る。
その原因が錆兎である。
炭治郎は育て手のもとにいた時に錆兎の霊魂に会い、稽古をつけてもらったことで入隊試験を受ける資格を得るまでに成長を遂げていたので彼を知っているし、尊敬の念も抱いていた。
だからその錆兎が死んで8年もの月日が経とうとも、ぎゆうの心は永遠に錆兎のもので、他のなにびとにも向けられることはないという事実も淡々ととまではいかないものの受け入れて、ただぎゆうが錆兎を想いつつも現実で少しでも生きていきやすいようにと気遣っていたのである。
そんなぎゆうを間近でよく見ていた者の献身的な愛情をもってしても、ぎゆうの心は微塵たりとも向けられなかったのだ。
ほとんど親しくそばにいたことのない自分が変えられるわけもない。
ましてや今の自分は本当にただの人間の少年で、自身に特殊能力がないどころか、動かせる配下すらいないのだ。
地位も力のない人間の生活などほぼしたことがない無惨はどうしていいかわからず途方にくれた。
…が、初めてだらけの今生、転生したことで何かが変わったのだろうか…
何もできずに仕方なく真面目に園児をやっていた無惨の幼稚園の1学年下に、なんとぎゆうが転園してきたのだ。
しかも錆兎抜きでだ!!
鬼でなくなったから神が無惨に少し目を向けてくれるようになったのか?!
とにかく、他に取られる前に…と、無惨はぎゆうを抱え込んだ。
ぎゆうは大正時代の記憶のみあるようだったが、操をたてようにも今生で錆兎が転生していない可能性もある。
互いに記憶があることは確認済みなので、その可能性をガンガン主張して、今生は前世とは違う、おそらく転生しているのは自分とぎゆうだけなのだろうと刷り込んだ。
それでもぎゆうは少し引き気味で、人見知りなくせに前世でよく知っているはずの炭治郎の姿の自分よりも同じ組の園児と交流を持とうとするので、休み時間ごとにとぎゆうのいる年中組にとにかく通う。
それでも学年の差は埋められず、無惨はぎゆうより一年早く小学校にあがり、同じ園でぎゆうを見張ることができなくなる。
せっかく錆兎がいないチャンスなのに、同じ年のガキにぎゆうを取られるなど冗談じゃない。
そこで無惨はその一年間は諦めることにして、それでも時折幼稚園を訪れて義勇と仲のよさそうな園児をチェック。
そうして義勇が同じ小学校へ上がってくるタイミングで、秘かにその友人達に嫌がらせを始めた。
みな少し裏で脅せばすぐ離れていく。
小学校低学年の頃の2歳の差は大きいのである。
互いに記憶があることは確認済みなので、その可能性をガンガン主張して、今生は前世とは違う、おそらく転生しているのは自分とぎゆうだけなのだろうと刷り込んだ。
それでもぎゆうは少し引き気味で、人見知りなくせに前世でよく知っているはずの炭治郎の姿の自分よりも同じ組の園児と交流を持とうとするので、休み時間ごとにとぎゆうのいる年中組にとにかく通う。
それでも学年の差は埋められず、無惨はぎゆうより一年早く小学校にあがり、同じ園でぎゆうを見張ることができなくなる。
せっかく錆兎がいないチャンスなのに、同じ年のガキにぎゆうを取られるなど冗談じゃない。
そこで無惨はその一年間は諦めることにして、それでも時折幼稚園を訪れて義勇と仲のよさそうな園児をチェック。
そうして義勇が同じ小学校へ上がってくるタイミングで、秘かにその友人達に嫌がらせを始めた。
みな少し裏で脅せばすぐ離れていく。
小学校低学年の頃の2歳の差は大きいのである。
そうしてこれまでが嘘のように念願の卜部の少年と共に過ごせるようになった無惨だったが、そこでこのあともう一つ、幸運が訪れることになる。
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