そうしていきなり横抱きにされた義勇はおずおずとそう言った。
確かに前世に比べると若干背も伸びず体格だってかなり貧弱だが、それでも義勇だって55キロほどあるのだ。
10キロの米が5.5袋分と思えばかなり重いだろう。
だが、錆兎は義勇を下ろすこともなく、
「保健室へ向かう途中で倒れたら危ないだろう?
俺は鍛えてるから義勇の一人くらい抱えるのは全く問題ない」
と言いながら、なんと顔を近づけてくる。
至近距離でこのカッコよすぎる顔はほとんど暴力だ。
直視できなくて義勇が思わずぎゅっと固く目を瞑ると、こつんと額に錆兎の額が当たった。
「顔赤いけど熱は無いな。
でもさっきまで真っ青だったし、普通じゃなさそうだから保健室へ急ぐぞ」
と、本当にそれもカッコよすぎる声がすぐ近くで聞こえて、義勇は自分が悶絶死するんじゃないかと心配になってくる。
絶対に今、心拍数がとんでもないことになっているはずだ。
もうきゅんきゅんなんてもんじゃない。
胸がぎゅんぎゅんいっている。
錆兎はまるでドラマか少女マンガのようにそんな義勇を抱えたまま廊下を早足で進んだ。
胸がぎゅんぎゅんいっている。
錆兎はまるでドラマか少女マンガのようにそんな義勇を抱えたまま廊下を早足で進んだ。
当然、廊下を通り過ぎる同級生達が何事かと驚きの視線をこちらに向けてくるが、義勇はそんなことを気にしている余裕もなく、目を開けているとどうしても視界に入ってしまう、そのカッコよすぎる錆兎を直視したら目と心臓がつぶれてしまいそうなので、自衛のためにぎゅっと固く目を瞑ったまま、運ばれている。
こうして保健室に着くころにはなんというか…すっかり錆兎酔いしてしまったようで、脳内がぐるんぐるんと回っている感じだった。
錆兎は前世の時からカッコよかったが、今生の少年期を越えて青年期にさしかかって逞しく成長した姿のカッコよさは、もう犯罪級だ。
スタイルも良ければ声も良い。
顔なんて本当に至宝レベルのカッコよさである。
この世の全てのカッコよいという言葉を形にしたら絶対に錆兎になる!
こうして保健室に着くころにはなんというか…すっかり錆兎酔いしてしまったようで、脳内がぐるんぐるんと回っている感じだった。
錆兎は前世の時からカッコよかったが、今生の少年期を越えて青年期にさしかかって逞しく成長した姿のカッコよさは、もう犯罪級だ。
スタイルも良ければ声も良い。
顔なんて本当に至宝レベルのカッコよさである。
この世の全てのカッコよいという言葉を形にしたら絶対に錆兎になる!
断言できる!!
義勇はそんなことを思いながらクラクラとした意識をなんとか繋ぎとめていたが、錆兎のカッコよさにあたってしまった以外は、別に体調が悪いわけではなかった。
…が、その義勇の挙動不審さと顔の赤さで、熱はないものの体調はよろしくないのだろうと判断されたらしい。
養護の先生に早退するように言われ、親に連絡が取れるかと聞かれたが、義勇の親は海外だ。
それよりは近いとは言え、姉は結婚して北海道。
義勇はそんなことを思いながらクラクラとした意識をなんとか繋ぎとめていたが、錆兎のカッコよさにあたってしまった以外は、別に体調が悪いわけではなかった。
…が、その義勇の挙動不審さと顔の赤さで、熱はないものの体調はよろしくないのだろうと判断されたらしい。
養護の先生に早退するように言われ、親に連絡が取れるかと聞かれたが、義勇の親は海外だ。
それよりは近いとは言え、姉は結婚して北海道。
どちらもすぐ来てもらうわけにもいかないと言うと、なんと錆兎が
「じゃあ、俺が一緒に帰って様子見てる。
うちのクラスはあとは試験前の自習続きだし、どこでやっても同じだから」
と、申し出る。
通常ならさすがに却下なところだが、実はこの新人の養護の教師、彼女も前世で毎度おなじみだった姉弟子だったが、今生では錆兎の親戚らしい。
「あ~…うん、じゃあ一応冨岡君のお姉さんに連絡だけいれて錆兎が見てて、緊急時は私が対応するってことでいっか。
冨岡君もそれでいいね?」
と確認を取られて、すっかり頭が働かなくなっている義勇は言われるまま頷きつつ、姉の蔦子に連絡を取る。
「じゃあ、俺が一緒に帰って様子見てる。
うちのクラスはあとは試験前の自習続きだし、どこでやっても同じだから」
と、申し出る。
通常ならさすがに却下なところだが、実はこの新人の養護の教師、彼女も前世で毎度おなじみだった姉弟子だったが、今生では錆兎の親戚らしい。
「あ~…うん、じゃあ一応冨岡君のお姉さんに連絡だけいれて錆兎が見てて、緊急時は私が対応するってことでいっか。
冨岡君もそれでいいね?」
と確認を取られて、すっかり頭が働かなくなっている義勇は言われるまま頷きつつ、姉の蔦子に連絡を取る。
たいしたことないし心配するほどじゃないけど、試験前だから大事を取りたいと義勇は言い、その後代わってくれた養護の先生は義勇とも親しい自分の従兄弟がついているし、何かあれば自分が対応するからと言ってくれて許可を得て、早退できることになった。
「じゃ、俺と宇髄で錆兎と冨岡のカバン回収してくるから、ここで待ってろぉ」
と、早退が決定したところで一緒についてきた不死川がそう言っておそらく教室に残っているのであろう宇髄の元へ戻っていく。
と、早退が決定したところで一緒についてきた不死川がそう言っておそらく教室に残っているのであろう宇髄の元へ戻っていく。
あれよあれよと言う間に色々決まってしまったが、正直、大好きな錆兎と一緒という以前に、誰も居ない自宅マンションで一人でいるのは今は怖かったので、今回の諸々はとてもありがたい。
本当に…一人で居る時に電話やメールが来たらと思うと、嫌すぎる。
少しして錆兎と義勇のカバンを手に戻ってくる宇髄と不死川。
錆兎と義勇の二人にカバンを手渡しながら、色々事情は聞いていたのだろう、宇髄が、
「あ~、どうせ冨岡の家誰もいねえんだったら、むしろ錆兎の家に居た方がよくね?
面倒見るにしても自分の家のほうが勝手がわかってやりやすいだろうし、何かあって真菰ちゃん来るんでも錆兎の家のほうがわかるだろ」
と提案してきた。
それに
「こら、天元!鱗滝先生でしょ!!」
と、小柄な可愛らしい養護教師の真菰は届かないからか、ぐいっと宇髄のシャツを引っ張ってかがませると、こつんとその頭に拳骨を落とす。
「はいはい。真菰せんせ~。
とりあえず、そういうことでどうですかねぇ?」
と、クスクス笑いながら言う宇髄。
そこで真菰は少し考えて、
「う~ん…非常時だしね。
錆兎んとこなら私の家も近いからそうしようか」
と、最終的にそう結論を出した。
本当に…何がどうなっているのかもう脳がついていかないが、わかるのは、つい昨日の放課後までは言葉を交わすことも出来なかったのに、今日にはもう、話をするどころか錆兎のプライベートエリアにご招待される幸運に見舞われていることだ。
何か夢のような展開で現実感がない。
とにかく後で迎えに行くというメールを寄越した炭治郎に見つかったら厄介だということで、宇髄と不死川が彼がいないことを確認しつつ玄関まで誘導してくれて、無事学校を脱出。
結局、“あとで”がいつなのかもわからないまま、義勇は錆兎に伴われて彼の自宅へと行くことになった。
「あ~、どうせ冨岡の家誰もいねえんだったら、むしろ錆兎の家に居た方がよくね?
面倒見るにしても自分の家のほうが勝手がわかってやりやすいだろうし、何かあって真菰ちゃん来るんでも錆兎の家のほうがわかるだろ」
と提案してきた。
それに
「こら、天元!鱗滝先生でしょ!!」
と、小柄な可愛らしい養護教師の真菰は届かないからか、ぐいっと宇髄のシャツを引っ張ってかがませると、こつんとその頭に拳骨を落とす。
「はいはい。真菰せんせ~。
とりあえず、そういうことでどうですかねぇ?」
と、クスクス笑いながら言う宇髄。
そこで真菰は少し考えて、
「う~ん…非常時だしね。
錆兎んとこなら私の家も近いからそうしようか」
と、最終的にそう結論を出した。
本当に…何がどうなっているのかもう脳がついていかないが、わかるのは、つい昨日の放課後までは言葉を交わすことも出来なかったのに、今日にはもう、話をするどころか錆兎のプライベートエリアにご招待される幸運に見舞われていることだ。
何か夢のような展開で現実感がない。
とにかく後で迎えに行くというメールを寄越した炭治郎に見つかったら厄介だということで、宇髄と不死川が彼がいないことを確認しつつ玄関まで誘導してくれて、無事学校を脱出。
結局、“あとで”がいつなのかもわからないまま、義勇は錆兎に伴われて彼の自宅へと行くことになった。
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