オンラインゲーム殺人事件4_キャラクタ作成(初日)─鱗滝錆兎の場合

幼い頃から文武両道。
ひたすら勉強と鍛錬に明け暮れる日々。
当然彼にはコンピュータゲームなどで時間をつぶそうなどという発想はなかった。

はっきり言って今も興味はない

しかしやるとなったらとことんやる!完璧にやる!彼はそういう男だ。
20時からという事なので、その日は朝から予習に励む。



まずはRPGというものの概要から始まって、ネットゲームというもの、有名どころを検索してみて、おおよそどういう感じで進めて行くものかを研究する。

キャラ作成からパーティーの組み方、各ジョブの役割などを丹念に調べ上げ、今手元にあるゲームのマニュアルと照らし合わせた。

その上でまず自分がやるべき事の検討に移る。


まずはキャラ作成。
1ジョブ2名までという事は早い者勝ちになるはずだ。
ということは…あらかじめジョブは決めてインすると共に連打するしかない。

選択するジョブはベルセルク。

いざという時自分をターゲットにするには、魔王を倒せるジョブでなくては意味が無い。
そしてある程度ソロで進められるという観点で選ぶなら攻撃防御双方そこそこある近接ジョブ。

という事で一番最適なのはウォーリアなわけだが、おそらく自分がそう考えるという事は他もそう考える可能性が高い。

そこでタッチの差で出遅れてウォーリアが取れないと、次に取ろうと思った時にはおそらく次に人気のあるジョブであるベルセルクも埋まってしまっている可能性が高い。
それなら最初から次点を狙った方がいい。

目的は確実に遂行するべし、そう育って来た彼にとってはそれが最良の選択肢に思えた。


そして8時。スタートをクリックすると現れるキャラ選択画面。
まずはジョブ選択。
即ベルセルクをクリック。
ジョブ確定で、ひとまず安堵のため息。

次に性別。当然
ネットゲームでは必ずしも現実の性別を選ぶ必要はないというのはわかっているが、彼には女キャラをやるという発想はない。

次に容姿。
RPGと言いつつロールプレイをするという発想も彼にはない。

自分は自分だ。
結果…自分に近い容姿のキャラを作る。
美醜の問題ではない。単に自分とかけ離れたキャラクタを使うのが気恥ずかしい。

そんな彼でも名前は少し迷った。

実名はまずいのではないだろうか…
ネット上でリアル情報を明かすのは危機感のない愚か者という認識は、さすがに警察関係者の息子だけあってわかっていた。

だが、今回はいざとなったら自分に犯罪者予備軍の注意を引きつけたほうが良いかもしれない。
そう考え直して、あえて、”サビト”と本名を使用することにする。




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