アルはパニックになったように叫ぶと、止める間もなくぴゅ~ん!と飛んで行った。
そんな中、長剣を収めたギルベルトが駆け寄ってくる。
「なあ…あいつからこんなん飛んできたんけど…」
手の中には半円の水晶。中には水がクルクル渦巻いている。
「これ…もしかして欠片なんじゃないの?」
フェリシアーノがヴェーと首を傾けながら言う。
それに対して
「しかし…半円だぞ?ギルベルトの炎の石にしても、南の王から手に入れた風の石にしても球体ではなかったか?」
と、ルートが眉を寄せた。
「もしかして…」
少し時間をおいたことで落ち着いたのか、マシューが思いついたように口を開いた。
「それ癒しを司る水の石なんじゃないでしょうか?
僕達今まで怪我するような事があっても一瞬で治ってしまってたんですけど、それはその石の影響で……それが半円なのはたぶん……」
「半分はお前の中にある…ってことか?」
と言うロヴィーノの言葉に、マシューはうなづいた。
「だと思います。どうしてマスターがそんな事したのかは謎なんですが…
マスターはすでに水の石だけは手にいれていて、それを僕とアルに組み込んだんですね」
「あ~ちょっと待って。
てことは?結局どうすればいいの?」
くしゃくしゃと頭を掻いて言うエリザに、マシューはきっぱりと言う。
「取りだしましょう!」
「…って言っても…どうやって?取りだす事でマシューに危険はないのか?」
そこでアーサーが少し気遣わしげに言うが、マシューは
「大丈夫。僕は人間じゃありませんから」
と微笑んだ。
「それ違うだろっ!
お前はもう俺の仲間で、家族みたいなもんで…それを犠牲にして石集めるなんて俺は許さねえぞ!」
マシューの言葉にロヴィーノが声を荒げた。
「あ~、まあ落ちつきなさいよ、ロヴィーノ」
そのロヴィーノの肩をエリザがなだめるようにポンポンと軽く叩く。
「弟の方からはちゃんと取りだせたわけだし?
マシューからだって取りだせるんじゃない?」
「でも素人が下手にやって、マシューになんかあったらどうすんだよっ!」
半分涙目で詰め寄るロヴィーノにエリザが笑いながら言った。
「あたしだってんな危険な事しろとは言わないわよ。
でも丁度良いところにプロがいるでしょ。
ちょうど風の石もあることだし、それ使って島戻りましょう」
「あ…カークランド本家か…」
「そうそう。
元々この子達のマスターっていうのもあそこの家の魔術師だったみたいだし、あそこの頭領ならなんとかできるんじゃない?」
「そっか…そうだよな…」
ロヴィーノが心底ほっとしたように息を吐き出した。
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