「これからどうするよ?」
荷ほどきをしながら聞いてくるロヴィーノにエリザはフライパンを手に答えた。
「ああ?決まってんでしょっ。とりあえずギルベルトとフェリちゃんに事情きかないと…」
「どっちが先?」
「ギルベルト。馬鹿やってんならアーサー君を救出してあげないとだし、現状聞くのに申し訳ないけどフェリちゃんじゃ心許ないから」
「あ~、現状聞くなら俺も聞きてえし、どうせ相手の部屋は教えてもらえねえだろうから、こっちに呼んだらどうだ?」
「ああ、そうね。じゃ、オランに頼んでくるわ」
と、エリザは部屋を出て行った。
エリザを見送った後、ちょこんと大人しく椅子に座っていたマシューは、荷物整理をするロヴィーノに聞いてきた。
「ギルベルトさんて…さっきオランさんが言ってたロヴィーノさんの弟のアーサーさんを騙してる人ですよね?その方もお知り合いなんですか?」
「あ~、それな」
ロヴィーノは苦笑した。
「説明すんの面倒だから流してたんだが、俺の弟はアーサーじゃなくてフェリシアーノって奴なんだ。
で、ギルベルトはエリザの傭兵仲間で…アーサーはそのギルベルトが拾ってきたガキ…っつってもお前よかかなり年上だけどな。
で、そのアーサーと俺の弟のフェリシアーノは仲良くて、アーサーがちょぃ訳ありで島にいられなくなった時に、ちょうど例の宝玉探しに島を出ようと思ってたフェリシアーノも一緒に行く事にしたってわけだ。
ギルベルトはアーサーの事を特別大事に思ってっからそれに付いてきて、フェリシアーノにもルートヴィヒっていう相方がいる。
ま、関係ねえ奴に説明するにはちょぃややこしいだろ?」
「なるほど…」
マシューはうなづいて頭の中で関係を反復しているらしく黙り込んだ。
「ギルベルトは詳しいことは言えねえけど身分の高い奴なんだけど、それでも国のために率先して戦いに出てたりして、国民からの評判も高いし、実際に良い奴なんだけどな。
アーサーの事になるとちょっと理性がなくなるっつ~か…大事に思いすぎてて暴走するっつ~かな。
だからもしまた暴走してるようだったら止めてやらねえと。うまくいくもんも壊れかねないだろ?」
「そうですね。ロヴィーノさん、皆さんの事大事に思っていらっしゃるんですね」
ほわほわっと笑みを浮かべるマシューに、ロヴィーノはちょっと気まずそうに頭を掻く。
「まあ…人間てなんのかんのいって、誰かに生かされてるんだし、今の自分がいるのってそういう自分とつながりを持った奴らのおかげだろ。」
「人間かぁ…いいですねぇ。僕達にはマスターしかいなかったから…」
しょぼんと肩を落とすマシュー。
ロヴィーノはその頭をクシャクシャかきまぜた。
「何言ってんだ、関係なんてこれから作りゃいいだろ。俺やエリザはもう他人じゃねえし、あいつは可愛いガキは大好きだしな。
俺の弟のフェリシアーノも人懐っこい奴だし、仲間や家族なんていくらでもできるぞ」
「はい。ありがとうございます」
少し涙目になっていたマシューは、ロヴィーノの言葉にまたコシコシと手であふれかけた涙をぬぐうと顔をあげて微笑んだ。
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