続聖夜の贈り物_4章3

「ああ~、もう黙れっ!!」
本当に羞恥のため失神しそうになって、アーサーは耳をふさいで叫んだ。

「駄目だ、聞けっ。」
ギルベルトはその手をはがすと両手をまとめて片手で拘束し、もう片方の手でアーサーの頭の後ろに手をやり、逸らそうとするアーサーの顔を固定する。


「俺様は隠し事はしねえって言ったけどな、言うからには聞かないって選択も与えるつもりないからなっ。
本当はもう少し待とうって思ってたんだけどな…追いつめてるの承知で言わせてもらうわ。
俺様はアルトが何より大事だ。
大事なものなんてもうお前以外が何もねえからな。
俺様の望みは一つだけ。お前の全て丸ごと欲しい。心も体も全部、なにもかもだ。
お前は?聞きたくないって言うのは俺様が嫌で俺様にそういうこと言われるのが嫌だからか?
それとも恥ずかしいからか?」

アーサーの大きな瞳が限界まで開かれた。
顔をそらす事も手で覆う事もできずに、ただただ震えている。

「…なぁ…教えろよ」
耳元に唇を寄せると、ビクン!と大げさなくらい体が跳ねて、ギュッとまたつぶった目からポロリと涙がこぼれた。

「…すごく……恥ずかしい…」
言うまで問い詰められるとわかったのだろう。
蚊の鳴くような声だが、その返答にギルベルトは頬をゆるませる。

「俺の事嫌なわけじゃねえんだな?」
頭を固定してた手を外してさらに確認すると、アーサーは俯いて小さく首を横に振った。

「な、それなら…俺様のモンになってくれ。めっちゃくちゃ大切にするから」
もういっぱいいっぱいでそれどころではなさそうな様子のアーサーに、ギルベルトはあえてたたみかける。
意味もわかってないだろう事も承知している。
ずるいと後で言われようと、とにかく手に入れてしまいたかった。

「だめか?」
いいか?と聞いたら肯定はしないであろうアーサーに、わざわざ否定系で聞いて否定の言葉を引き出そうとしている自分はどう見ても善人とは言い難い…と思うギルベルト。

(まあ…俺様はもう諦める気はないし、早いか遅いかの差だから。
大事にはするからアルトの方に諦めてもらうしかねえんだけどな)
という開き直った大人のずるさに箱入りが太刀打ちできるわけもなく…

ダメかと言われてダメだと言う選択が考えられないアーサーは、またフルフルと首を横に振った。


(勝った!!)
何に勝ったのか?それはフラグクラッシャーに?
…とギルベルトは思っているが、実は弟を偏愛していた魔術師軍団の長の呪いにだと言う事は、さすがに知る由もない。

さらに…どちらにしてもこの瞬間に完全にアーサーをカークランドの家の影響化から引き離すのに成功した事になるが、それももちろんギルベルトは知らなかった。



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