続聖夜の贈り物_2章05

「アルト?」
想像に反して着衣の乱れはない。
目で問いかけると、アーサーはかぁっと頬を真っ赤に染めてうつむいた。


「下着……汚した」
「はあ?」
ぽつりとつぶやくアーサーにはてなマークを浮かべるギルベルト。

「でも、もらしたにしては変なんだ…。なんかベタベタしてて…」
「はぁ…」
なんといっていいのか……一気に脱力するギルベルト。

「それ…夢精じゃね?」
ヒョイっと寝間着の端をまくりあげて、下着をのぞく。

「うん…夢精だな。で?」
当たり前に聞くギルベルトにアーサーは
「夢精?」
と不思議そうに小首をかしげた。

(あ~、こいつそうだったんだっけ…)
そこでギルベルトはハタっと思いついた。

「あんな、男が溜まった状態で寝てそういう夢見ると、寝てる間に射精してまうねん。別におかしい事やないで?」
「溜まるって何がだ?射精って?」

(そこからかいっ)
ありえない…と思うがアーサーは別にからかっている様子もない。
本当に真面目にきいているらしい。

しかし夢精はとにかくとして…精通がなかったのは驚きだ。
(自分いつくらいだったかなぁ…戦場に出た頃にはエロい事くらいしてた気ぃするけど…)
と考えて見ても、昔すぎてはっきりしたことは思い出せない。

まあ早ければ10才くらい、遅ければ18才くらいの奴もいるというから、そんなもんか、と、納得して話を進める事にした。

「あのな、男は大人になるとここ刺激すると精子っていう白い液体がでるんだ。
それを出す事が射精な。
で、長い事出してないと当たり前だけど精子がたまってくからな。
たまるとって言うたのはその事だ」
と、下着の上からアーサーのそれを指さして説明すると、アーサーは感心したようにうなづいている。

まだ物理的な意味合いしかとらえてないせいか、子供のように恥じらいもない。
ここでやめておけばとりあえず平穏に終わるわけだが……。

「じゃ、とりあえず下着脱いどけよ。
俺ちょい走ってきたから水浴びるついでに洗ってやるから。
で、その後にまた続き教えてやるよ」

平静を装ってアーサーの頭をなでると、ギルベルトはいったんバスルームへ。
続きを教える気は満々である。
ただ、焦ってはいけない。ここで嫌悪感を抱かせたり怖がらせたりしたら、全てが終わる。

なので、まかり間違っても自分が暴走しないように、昨日も散々抜いたうえ、今も走ってきたばかりで発散はしている気はするが、念の為抜いておく。

それでもこれからの事を想像するだけで抜けるあたりが、自分もまだまだ若いな、と、ギルベルトは妙なところで感心した。


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