ため息をついたせいだろうか…アーサーはおそるおそるギルベルトを見上げた。
大きなグリーンアイズがうるうると涙目になっている。
この目に自分は本当に弱いのだ…と、ギルベルトは少し視線をそらしてため息をついた。
怒りはひいていくというよりはヘナヘナと萎えていって、それでもすっきりとしないモヤモヤが残っている。
「もう皆がそうしたいっていうから引いたけどな、俺様はあの時の自分の主張は正しいと思ってる。
それでもフェリちゃんの意志を優先したのはアルトの私情だと思うしな。
あまり気分がいいわけはないよな?」
と、もう情けないのを承知で心情を吐露すると、アーサーは
「フェリは…初めて出来た友達だから…」
と言った後に真っ赤になって言葉に詰まった。
(え?そこで終わるのか?)
そう思い切りガッカリした瞬間、アーサーに爆弾を落とされる。
「でもお前は…愛を交わした恋人だろぉ!ばかぁ!!」
もうホントに涙目で真っ赤で…いまにも倒れそうなくらいいっぱいいっぱいですオーラを出しつつ震えている。
愛を交わした、は、若干…いや、かなりの勘違いがあるにしても、もうそれだけで楽園の扉が開かれた勢いで、目の前が光り輝いた。
「俺…初めてだったし、ちょっと怖かったけど、でもお前だったから許したんだからなっ!」
ああ、もう可愛い。
「怖かったのか?」
クスリと笑って聞くと、アーサーは涙目でにらみつけてきた。
「悪いかっ、ばかぁ!」
握ったこぶしまでフルフル震えてるのがたまらない。
「ん~悪かねえけど…。じゃ、慣れて怖なくなるまでするかぁ」
「へ?」
いきなり機嫌を直すギルベルトの感情の変化についていけないアーサーはぽかんと呆けた。
そうすると童顔がよけいに幼く見えて、悪い事をしている気分にかられるが、それにちょっと興奮する。
ギルベルトはアーサーを抱き寄せて指で顎をとらえて上を向かせると、チュッとリップ音を立てて一度軽く口づけた後、今度は軽く唇を押しあてて、舌先でトントンとまだ閉じられた唇をノックした。
そのまま何度も深い口づけを交わして、このまま最後までしたいなぁと思わないでもなくなってくるのだが、まだアーサーは子どもなのだから口づけまで。
やや強すぎる良識を持ってしまっているギルベルトは、それでも自らが引いたラインを崩す気はない。
ないのだが、童顔のアーサーが白い頬を首筋を…いや、体全体を薄桃色に染め、大きなエメラルドの瞳を潤ませる様子は、壮絶な色気があり、下肢にかなりくるものがあった。
このまま続けているとやばいと、いよいよ思ったギルベルトは、唐突にアーサーの体を離して、そのまま寝台に座らせた。
そして
「ちょっと俺様、寝る前に風呂はいってくるわ。今日汗かいたしな。先寝てていいぞ」
そう言った声が届いたかどうかも確認する余裕もなく、ギルベルトはバスルームにかけこんだ。
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