風呂場で抜いて、ほ~っと息を吐き出す。
何も知らず何もわかってないのに、あの色気。
徐々に教えようにも途中で自分の忍耐が尽きておそってしまいそうな気がしてきた。
しかしそこで食ってしまったら、自分は良識ある大人として失格な気がするし、アーサーの側にも怯えてトラウマを残しそうだ。
強すぎる自分の理性がにくいが、やはりそのあたりを踏み外したくはない。
ということで、もう少し自分の鉄の理性が錆びつかないように、メンテナンスが必要である。
さあこれから長い本能と理性との戦いの始まりだっ…ということで……
「…は~……もっかい抜いとこ」
もう絶対にそんな気は起こらない、起こる体力も気力もない、念の為そう思うまで処理をして風呂場を出たギルベルト。
ベッドを覗き込むとアーサーはあのままの状況で落ちたらしい。
膝から下を寝台から床に放り出した形で、上半身だけベッドに横たわっている。
「アルト、風邪ひくぞ~」
と、ギルベルトはアーサーの全身を寝台の上に横たわらせると、布団をかけ、自らもその横に横たわった。
するとこれも無意識らしいが、以前そうだったように、アーサーはスルリとギルベルトの懐に潜り込んできて、スリスリと頭をすりつけるように、寝やすい位置を探している様子で、しばらくすると丁度良い位置をみつけたのだろう。そのままコトリとまた静かになる。
「可愛いいよなぁ……」
性的なものを抜かしても、無意識に完全に自分を信頼して身を預け切ってしまっているアーサーはありえないほど可愛いと思う。
どちらが大事かと聞かれれば初めての恋人と初めての親友の間で迷うかもしれないが、アーサーが最終的に頼って戻ってくる場所は自分の所なのだ…。
そう気付くと、さきほどまでの怒りやモヤモヤが馬鹿らしくなってくる。
こうしてあっさり霧散したギルベルトの怒り。
明日はみんなで軽く訓練がてら街の外で戦闘やな…と、どうやらフェリシアーノの立ち位置も実は苛立ちの原因ではなかった事を自覚しながら、ギルベルトも静かに目を閉じた。
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