聖夜の贈り物Verぷえ10章3

怯えていた…震えていた…それなのに!!

「くそっ!!」
3人が飛び去ってからしばらく後、ウィリアムの言った通り、術の拘束が解けた。


その間ずっと体を動かそうとしていたギルベルトはいきなり解けた術にたたらを踏むが、踏みとどまり、そのまま絨毯が飛んで行った窓にかけよった。
当然もう外には絨毯の影も形もない。

彼らが離れたら術が解けると言っていたのだから、当たり前と言えば当たり前か…


とにかくもうそこにいない、それだけを確認すると、ギルベルトはそのまま無言できびすを返し、倉庫へと向かう。
バン!と音を立ててドアを開けると、中には様々な武器、防具。

その中からつい一ヶ月前、アーサーを拾った時まで愛用していたロングソードを手に取り、サブウェポンとしてクレイモアを背に背負う。

防具は一瞬迷ったが、敵が魔術師ならつけても意味がない。
魔法の攻撃は避けるしかないのだから、身が重くなって邪魔になるだけだろうと、つけないことにして、ギルベルトは倉庫を閉じた。


次に行く先は当然馬小屋だ。

「ギルベルト兄ちゃん、どこ行くの?」
そのまま馬に飛び乗ろうとするギルベルトに、フェリシアーノが慌ててかけよった。

「東の国に決まってるだろっ!!アルトを助けてやらねえと!」

「まあ待ってくれ」
それに対してフェリシアーノがさらに何か言おうとするのを遮って、ルートがギルベルトの馬の手綱を握って引きとめた。

「やみくもに東の国に行っても辿り着く前に捕まるのがオチだ。
それよりエリザに相談しよう。彼女は色々コネクションがあって情報通だから。
気持ちがはやるのはわかるが落ち着いた方がいい。
あなたに何かあれば誰が彼を助けるんだ?」
淡々と言うルート。

確かにその通りだ…だが…

「こうしてる間にひどい事されてねえといいんだが…」
自分の可愛い可愛い被保護者が今頃何をされているのかと思うと、たまらない気分になる。

それでも…ルートの言う通り、このまま東の国へ特攻してもアーサーを連れ去った男達の元にはたどり着けないだろう。

自分の能力を過信した結果が前回のアーサーの怪我である。
何かを成そうと思う時は冷静に分析、行動しなければならない。
これは絶対に失敗できないミッションなのだから、なおさらだ。

そう思いなおすと、
「…連絡とってくれ…」
と、ギルベルトは断腸の思いで決断して、ルートをうながした。


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