「ああ。礼を言う。俺はなんだかいつまでたってもあなたに頼ってばかりだ。すまない」
生真面目な顔で礼を言ってくるルートにニコニコと対応するギルベルト。
むしろ王宮に帰ってもルートが困った時に最終的に相談を持ちかける相手が自分だというのは育ての親、そして兄がわりとしては嬉しい。
まあ客室が一つしかないこの家ではどうやっても二人同室になるだろうし、想い合う若者が一つの部屋で…というと、そのうちなるようになるのだろう。
そう思ったギルベルトはおせっかいついでに言っておく。
「ああ、もし香油とか要るんだったらそこの棚にあるから使えよ?」
「香油?」
不思議そうに首をかしげるルートに、
(ああ、全く知識なかったな…)
と、フェリシアーノにしたのと全く同じ説明をしてやる。
「女と違って、自然には濡れねえし、そのまま突っ込んだら怪我するからな。
お前らそれでなくても体格差あるんだから、くれぐれも無理すんなよ?」
と、〆たギルベルトだが、目の前では真っ赤な顔で俯いたムキムキが震えている。
「どうしたんだよ?ルッツ」
今度はギルベルトが首をかしげる番だ。
「…あなたは……」
「うん?」
「大人だな…」
「まあお前を育ててんだから、お前よりはな」
言われている意味がわからないので、とりあえず当たり障りなく返しておく。
すると
「単純な年齢だけではない」
と返されてますますわからず首をひねった。
「俺はあなたに全く恩を返せないまま城に帰って、それからもあなたには何もできていないのに、あなたはそんな俺に対して親身になってくれていて……本当に自分が恥ずかしい」
「いやいや、そんなたいしたもんじゃねえよ。
そもそもお前を育てるのは俺も楽しんでたし、色々自分自身も学ぶことが多かったしな」
「いや、そんなことはない。あなた達に比べて俺はあまりに未熟者だ。
出来る事なら…これからも色々指導してくれると嬉しい」
真面目な顔で詰め寄るルートヴィヒに少し困った顔で笑みを浮かべるギルベルト。
「うん…まあそう堅苦しく考えねえでも、なにかあればたまにこうやって雑談しに来いよ。
とりあえず悪いけど、ちょいとアルト心配だから見てくるわ」
と、切り上げる。
「ああ、長話をしてすまなかった。じゃあ俺は畑をみてこよう」
「お~、ダンケ。助かるわ」
こうしてお互い立ちあがると、それぞれ目的の場所へと足をむけた。
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