もともとは俺様1人で対処するところだったわけだし、そうしてお前らがいなかったら、アルトは確実に死んでたからな」
フェリシアーノにうながされてダイニングへ降りて行ったギルベルトを出迎えたのは、ルートヴィヒだった。
頼まれたことに対していい加減な対応をする人間には育ててはいないし、それでルートがアーサーを見逃してしまったとしたら、おそらくそれは何かの能力の差なのだろうから、それを見極めずに依頼した自分に非がある。
だが、申し訳ないとダイニングで顔を合わせた瞬間ルートに平謝りされた。
「すまん!引き受けておいてこの体たらく!どうか殴ってやってくれ」
生真面目な弟は深々と頭を下げるが、ギルベルトはその頭をぽんぽんと軽く叩いて笑う。
「いや、お前は引き受けておいていい加減な事をするやつじゃないし、今回は俺様の判断ミスだ」
そう言ってもそれでは申し訳ないといって聞かないルートヴィヒに少々困るギルベルト。
それなら、と、
「じゃ、エリザが1週間くらい時間稼いでくれるっていってたから、2~3日、畑の世話を頼めるか?
俺様アルトに少しついててやりたいんだ。
それで本当にに互いに遺恨はなしって事で。
フェリちゃんも一人で戻るの危ないから、一緒で。
客間をアルトの部屋にしちまってるから、お前とフェリちゃんはお前の部屋な」
と提案する。
まあ…小さな家だが自分はもちろんアーサーについているつもりだから、フェリシアーノ達は他の目も全くない状態で二人きりなわけで…。
アーサーを看てやる時間を増やしたいと言うのもあるし、ルートもどういう意味でなのかはわからないが、フェリシアーノに特別な好意を抱いているのは育ての親としてはなんとなく感じられてしまうし、これでどうにかなるならなってしまえという気遣いも含まれた一石二鳥の提案である。
「な、久々にお前も一緒に食わねえか?一人で食うのも味気ないし」
ついでに少しばかりおせっかいをしてやるかという気になって誘ってみると、向こうも関係改善をしたいのか
「うむ。ではそうさせてもらう」
と、ギルベルトの正面に腰をおろした。
こうして食事をしつつしばらくはギルベルトが一方的に世間話に興じると言う形だったが、その間中、ルートヴィヒが何か言いたげにチラチラと様子を伺っている。
「なあ、ルッツ、言いたい事あるんだったらお兄様に言ってもいいんだぜ?」
しばらくはいつ切り出してくるのかと待っていたが、どうもタイミングがつかめないらしくいつまでたっても言ってこないルートヴィヒにいい加減焦れて、ギルベルトは自分の方から切り出した。
「え?」
「え?じゃねえよ。さっきからそわそわと。
なんか言いたいんだったら気になるから、言えよ」
ギルベルトにしたら気付かない方がおかしい…というか、気付かないふりもできないくらいの落ち着きのなさだったわけだが、本人は気付かれているとは思ってもみなかったらしい。
思い切り動揺された。
そしてしばらくそのまま視線を泳がせていたが、やがて意を決したように身を乗り出す。
「あ~、兄さん、あなたに少しばかり教えて欲しい事があるのだが…」
………なんかちょっと前にも同じ事言われた気ぃするんだけど…
ギルベルトはやれやれと思う。
もう毒食らわば皿まで…
「なんだ?なんでもきけよ」
と、相談モードにはいるため、ギルベルトはコーヒーを一杯注ぎ足した。
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