「うんうん、そう。それだよ。
でね、俺それを探しに行きたいの。
4つに割れた宝玉を集めてくっつければ、また平和になるんじゃないのかなって」
「……ただの伝説かもしれないぞ?」
というか…伝説なんだろうと思う。
「でもさ、本当の事かもしれないじゃない?
俺はここにいても何にもできないし、もし探してみて本当に探し当てられたら皆幸せになれるし、宝玉じゃなくても途中で素敵な何かを見つけられるかもしれない」
満面の笑顔でそう言ったあとに、フェリシアーノはふいに少し笑みを消し、真面目な顔をして言う。
「これはね、宝玉探しよりずっとずっとず~~っと秘密なんだけど…」
と、声をひそめるので、アーサーも真面目な顔で耳を寄せる。
「島を出たら…ルートが少しくらい俺を恋しがってくれないかなぁって…」
俯き加減にごにょごにょと口ごもるフェリシアーノも可愛い。
「そんなに…好きなのか…」
つぶやくアーサーにうんうんとうなづくフェリシアーノ。
でもこんなに可愛いフェリシアーノに好かれているなら絶対に相手もフェリシアーノを好きに違いないと思う。
アーサーがそう言うと、フェリシアーノは
「だといいなぁ…ルートはギルベルト兄ちゃんみたいにわかりやすく愛情表現してくれないから」
と苦笑する。
「あ~、そうなのか」
ギルベルトもこの可愛らしい少年が好きなのか…。
そうだろうな、この調子で懐かれたら嫌える人間がいるとは思えない。
と、思いあいづちをうつアーサー。
確かにギルベルトはわかりやすくあふれるほどの愛情を注ぐ。
ただ偶然助けた居候の自分にですらそうなのだ。
好きな相手だとどれだけなんだろう…と思うと、何故かつきりと胸が痛んだ。
「アーサー?どうした?傷痛む?」
急に黙り込んだアーサーに、心配そうに聞くフェリシアーノ。
そこでハッとしてアーサーは軽く首を横に振った。
「いや、なんでもない。大丈夫。
そっか、あいつ俺に対してさえすごいから。
フェリに対してなんてすごいんだろうな」
「へ?なんのこと?」
きょとんとするフェリシアーノにきょとんとするアーサー
「いや、さっきのギルベルトが愛情表現がすごいって話。
悪い、ちょっとぼ~っとしてて返事遅れた。」
「アーサー…」
アーサーの言葉にフェリシアーノは苦笑した。
「俺に対してじゃないって。ギルベルト兄ちゃんが好きなのはアーサーだよ?」
「へ?」
「へ?じゃないよ。もしかしてぜんっぜんわかってなかった?」
「誤解だ。あいつは単に俺が怪我してたから放っておけなくて拾って帰っただけで…」
は~~と大きくため息をつくフェリシアーノ。
ギルベルト兄ちゃんも報われないっていうか…大変だなぁ…と、他人事ながら思った。
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