まだアーサーから目を離すのは怖いので、フェリシアーノが入れてきてくれたカフェラテを自室で飲んでいる。
小テーブルを囲んで向かい側には笑顔のフェリシアーノ。
こんな時でなければ和むところだ。
いや、とりあえずアーサーに命の危険がなくなった事で、かなり和んではいたのだが…。
「なんだ?俺でわかる事だったら何でもきいてくれ」
ふわふわとした笑顔を浮かべて小首をかしげるフェリシアーノはとても愛らしい。
もちろんギルベルトにとってはアーサーやルートの方が可愛いのだが、フェリシアーノだって可愛くないわけではないし、一般的には人見知りが強く恥ずかしがり屋で素直になれない二人よりは、誰にでもニコニコふわふわなフェリシアーノの方を可愛いと思う人間の方が多いだろう。
さすがに生まれてこの方ずっと王室で王子様として育てられていただけあって、屈託のない無邪気なその様子は、他人に警戒心を起こさせない。
どんな可愛い質問がくるのだろう?と、ギルベルトも笑顔で応じたのだが……
「あのね、俺ね、魅力ない…かな?どうしたら男が手出したくなると思う?」
「はあ?」
(え?手?手ぇ??!!)
思わず脳内敬語のギルベルト。
一瞬大人の意味合いが脳裏をかすめるが、まさかありえない、と、頭の中で否定する。
(もうこれだから汚れた大人は駄目だよな。
久々にエリザにあったせいで俺様まで毒されたか?
フェリちゃんみたいな天使が性欲もつかよ)
と、脳内で自分につっこみをいれ、他の意味を模索する。
「ギルベルト兄ちゃん、どう思う?」
無言のギルベルトに焦れてか、フェリシアーノが身を乗り出してくる。
「どうって……ごめんな、意味がよくわかんねえんだけど…。
フェリちゃんは普通に可愛いと思うぜ?
男でも女でも大抵のやつは好きになるんじゃね?
手ぇ出すっていう意味はわかんねえけど…」
考えてもわからずに、ギルベルトは正直に答えた。
するとフェリシアーノはきっぱりと言う。
「えとね、どうしたらセック○したくなるかって事なんだけどっ」
ブ~~!!!!
飲んでいたカフェラテが逆流した。
「だ、大丈夫?ギルベルト兄ちゃん。」
「大丈夫じゃねえのは、フェリちゃんのほうだろっ!」
ゲホゲホとむせかえりながら、ギルベルトはフェリシアーノが差し出すタオルを受け取る。
「フェリちゃんみたいな子がそんな事言ったら駄目だろ!エリザじゃねえんだから」
「なんで?」
「なんでって…」
「ギルベルト兄ちゃんだってさ、したいって思うわけでしょ?」
「はぁ?俺様フェリちゃんにそんな事思った事ないぞ?さすがに」
「…てかしてるんだよね??」
「してねえだろっ」
「俺とじゃなくて、あの子、アーサーと」
ブブ~~ッ!!
落ち着こうと思って口に含んだ水がまた逆流。
水分が気管をかけめぐって嵐を呼んでる気がする。
陸地で溺死しそうな勢いだ。
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