数日後…鋼の国の城についたロヴィーノは、案内されたギルベルトの私室のリビングで、ギルベルトに抱えられるようにソファに座った…というか、座らされたギルベルトを見て、驚いたように目を見張った。
表情は虚ろで目は光を失っている。
「あ~…なんていうか…ショックが大きすぎたっていうか…ね。
お姫さまがいなくなってからずっとこの調子で…。
食べないし反応もほぼしないの。水だけは流し込めばかろうじて飲みこむ感じかな」
こそりとエリザに耳打ちされて、ロヴィーノはごくりと唾を飲み込む。
フェリシアーノに頼まれてここまで来たものの、自分が何か言ってなんとかなるものなのだろうか…。
「おい…」
おそるおそる声をかけると、ギルベルトはひどく億劫そうに、それでもかすかにロヴィーノに視線を向けた。
ロヴィーノは反応がある事にホッとする。
「今回俺が来たのは、庇護される側としてまあ…なんつ~か…贈り物に側室でもと思って連れてきたわけなんだけど…。」
表情のない目を向けるギルベルトが怖い。
この状況でこれって、もしかしてすごくやばい?俺危険じゃねえか?と思うものの、一応そういう親書送ってるはずだし、しかたねえよな?と思いつつ、やはりビビる。
「…側室?」
ぎろりと睨まれた気がして、ロヴィーノは後ずさる。
「…あ、あのっ…親書にそう書いといたはずなんだけど……」
涙目でエリザを振り返ると、
「あ~、ごめんっ。その事についてはまだ言ってなかった。
ギルは当時お姫さまに夢中だったし。」
とエリザは心底申し訳無さそうに両手をあわせる。
「でもまああれよ。いいんじゃない?少しでも気晴らしになれば…」
と言うエリザの言葉は最後まで続けられなかった。
「ふざけんなっ!!!」
と、いきなり目が据わったギルベルトがエリザを怒鳴りつけたからだ。
その勢いに恐怖のあまり涙目なロヴィーノ。
「す、すみませんでしたっ。気に触ったんなら連れて帰りますです。コノヤロー」
自身の後ろにいる側室候補らしい娘にしがみついて、ロヴィーノが震えながら言うと、エリザがスッと間に入った。
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