フェリシアーノは普段は聞きわけが良く色々譲ってしまうところがあるが、さすがに今回は自分もとても楽しみにしていたので、譲れないらしい。
困った顔で…それでも視線をあとの2人に向けた。
と、4人それぞれ顔見知りでもあるので気まずそうに、しかし暗に自分も譲る気はないとエリザも主張する。
そして2人は最後の1人のギルベルトに視線を送った。
すると今まで黙って事の成り行きを見守っていたギルベルトは、弟がいる兄で面倒見の良い性格なのもあって、2人のように真っ向から拒否する事もなく、ローマ博士を見あげて言う。
「なあ、爺さん」
「おう、なんだ?」
「他に適当なポケモンいねえの?
俺さ、寿命や人慣れの問題もあるからさ、年齢はできれば1,2歳くらいのにして欲しいけど、別に種類は問わねえぜ?
フシギダネ、ゼニガメ、ヒトカゲとかじゃなくても、ポッポでもコラッタでも何でも良い。
最初のポケモンがなんでもさ、結局そいつ使って他のポケモン捕まえりゃあ良いんだしな」
2人とは逆に、代わりがいるなら譲っても良いと、暗に言うギルベルト。
それにローマは考え込んだ。
居るには居る…1匹だけ……う~ん………
街の騎士団長の息子のギルベルトは年齢の割にしっかりとした少年だ。
ふざける時はふざけるが、根は真面目で、今の提案からもわかるように心根も優しくまっすぐだ。
「あのな…一匹だけ居るには居るんだが…ちょっとばかし難しいやつなんだ」
と、ローマはしばらく腕組みをして考え込んでいたが、結局賭けてみたくなって顔をあげて、まっすぐ見あげてくる少年の紅い目を真正面から見据えて言う。
「俺様そいつでいいぜ?だから俺様の分をロヴィーノにやってくれ」
と、その言葉に即答するギルベルト。
ロヴィーノがそれを聞いて泣きやんで、期待に満ちた目で祖父を見あげた。
ああ…こうなるともう、やっぱりダメとも言えなくなっちまったか……
と、少し後悔するも、とりあえずは言うだけは言ってみるか…と、ローマは息を吐きだして、ギルベルトを呼び寄せると、他の3人に言う。
「とりあえずな、まだ保留だ。
俺はギルとちょっと話をするから、それ次第ではお前らで3匹のどれを連れて行くか決めて良いが、無理そうならロヴィーノは今回は諦めろ」
その言葉にまたロヴィーノの目には涙が浮かぶが、とりあえずまだ諦める事が決定されたわけではないので、ぐっと涙を堪えて俯いた。
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