お兄さんは頭を打ったことにしました_21

「ボンソワ、坊ちゃん。
プーちゃんの側の話だけ聞いて決められちゃうのは不公平かなと思って、お兄さんの話も聞いてほしくて呼んでもらったんだよ」

椅子が一つしかないのでイギリスを待っている間にそこに座っていたプロイセンはベッドに移動。
フランスと並んで座って、イギリスに椅子を譲る。

いつもより少し低い甘い声。
女性なら一発で落ちてしまうような色気のある笑みとともに降ってくるそれに、しかしイギリスはやや不機嫌に

「なんだよ、クソヒゲ。
記憶喪失ってフカシだったのかよ」
と、口を尖らせた。

あ~まずそこからリカバリしないとだったねと、フランスは失念していたその問題を思い出して、内心ため息を付いた。

それでもそのあたりの話術には自信がある。

「ゴメンね。
実はね、お兄さん、ずっとタイミングを図ってたんだけど、いい加減ちゃんとしたいなぁってずっと思ってたの。
でね、どうせ告白するなら感動的にしてドラマティックにしたいって思ったのね。
だってたぶん一生に一度、一世一代の愛の告白だもん。
だから、お兄さんが記憶喪失になって、何も知らない状況で坊ちゃんと出会って、それでもまた坊ちゃんに恋をして告白そして初めての口づけで愛に目覚めて記憶が戻るとか、素敵かなぁと思ったんだけど

───別に騙すとか傷つける目的で嘘ついてたわけじゃないの、ごめんね?

と、これで騙していた事に対するリカバリは出来ただろうか…と、フランスは苦笑しながらもイギリスの様子を伺った。


一方のプロイセン。

『何をお前は嘘ついてんだ!!』と叫びたいところではあるが、しかしながら本当はイギリスから告白させるために騙していたと言われるより、今フランスが言った通りということにしたほうが、イギリスが傷つかないかも知れない。

そう思えば、それに意義を唱えることすら出来ない。
うつむいて黙って聞いているしかない。


イギリスはまず、そんなプロイセンに向かって声をかけた。

「で?プロイセン。お前はそれ知ってたのか?」

前日にフランスがイギリスとそろそろきちんと付き合うために、何か仕掛けるから協力してくれって言われたけど、俺様はどういう理由であれ訳もなく騙すことには協力できねえって拒否して、詳細はきかなかった」

イギリスに嘘はつきたくない。
だから事実と異なる部分はギリギリぼかして触れないようにして、プロイセンは答えた。




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