こんな風に激高したプロイセンを目にしたのはどのくらいぶりだろうか…
同じ土俵にあがっては駄目だ…
と、そこでさすがに欧州古参の国家であるフランスはまだ自身も怒りで頭に血はのぼっているものの、若干平静を取り戻した。
反省してる。
でもお前だってわかってるでしょ?
なんのかんのいっても坊ちゃんにとってお兄さんは特別なの。
ちゃんとお兄さんのスタンダード、愛の国の名にふさわしい一生忘れられないくらい素敵な愛の言葉で告白するから。
坊ちゃんはああ見てロマンティストだし?
たぶんお前さんが意地はって世界を敵に回して細々と続ける無骨で刺々しい恋愛よりも、安心安定の大国、愛の国のお兄さんに日々素敵な言葉を与えられながら甘い生活を送るほうが坊ちゃんだって幸せだと思うよ?
坊ちゃんの幸せだけを本当に願っているとしたら、どうするのが正しいのか、わかるってもんじゃない?」
軍国として生きてきたプロイセンにとっては、なかなか痛い部分をつけたとフランスは思った。
それを証明するように、プロイセンの目からみるみる炎が消えていく。
「とりあえず坊ちゃんと話をさせて?
坊ちゃんの意思が一番なんでしょ?」
伊達にイギリスがまだ赤ん坊の時から腐れ縁をしているわけではない。
イギリスが好みそうな言葉も、喜びそうな事も全てわかっている。
軍略においては遠く敵わないが、こと外交や恋愛に関してなら、不器用なゲルマン民族に負ける気はしない。
自分なら圧倒的に不利になるようなら勝負なんてさせやしないが、なまじ根が生真面目なプロイセンは相手のためという大義名分を前に出せば、逃げることすらしないのだ。
「先に色々吹き込まれたらフェアじゃないし、とりあえず平等に事実じゃないことにはその場で意義を唱えられるように、坊ちゃんをここに読んで話し合いかな?」
と言えば、そのまま自分の陣地に隠しておけば勝ち逃げができるにもかかわらず、
「…わかった。迎えの車を向かわせる…」
と、悲壮な顔をしながらも了承してしまうのである。
こうしてさらに30分後…フランスの部屋のドアがノックされた。
もちろんそこにはイギリスが立っている。
そこでイギリスを招き入れて3人揃い、それぞれの思惑を胸に話し合いが始まった。
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