あとは残っているメンバーを知りたければドイツに聞くしかないのだが……
フランスが自室で頭を抱えていると、携帯が鳴る。
発信元はプロイセン。
だとしたら今こんな状況なのにおせっかいなことだ。
やや不機嫌なフランスは一度は無視したものの、どうやら取るまで鳴らし続けるつもりらしい。
一度は留守電に切り替わったが、
『フランス、いるんだろ?出ろよ。大事な話がある』
と、メッセージが吹き込まれたあと、また着信音がなる。
よほど着信拒否にしてしまおうかと思ったが、一言文句を言わずにいられなくて、フランスは通話をタップした。
「あのさぁ、プーちゃん空気読もうよ。
もしかしたら”最中”とか思わない?」
性にストイックなプロイセンに、いきなりわざとそんな風に言ってみるが、相手は全く動じる様子もなく、
『思わねえ』
と、きっぱり即答。
それどころか、
『いま部屋だよな?これから行くから。10分で着く。車の運転すっからそのくらいの時間携帯切っとくな』
と、いきなりかまして、こちらが反論する暇も与えずに通話を打ち切る。
正直腹がたった。
よほどこれからどこかにでかけてやろうかとも思ったが、やはり文句の一つでも言ってやりたくなって、結局そのまま待つことにする。
こうして本当にきっかり10分後、プロイセンがフランスのホテルの部屋のドアをノックした。
ドアを開けると、なんだかいつもとどこか雰囲気の違う気がするプロイセンが
「入って良いか?」
と、聞いてくる。
ここまで来ておいて今更だと思うのだが、何故かまとう雰囲気がなんとなくやや現役時代の戦争時のそれを思わすような緊迫感のあるプロイセンに、どうやら何か非常事態が起きたのかも知れないと、そんな気もして、
「そのつもりで来たんでしょ?入んなさいよ」
と、諦めと好奇心に負けて、フランスは少し身体をずらして、部屋の中へとうながした。
まあ、こんな風にどう見ても拒否権を与えるつもりがなさそうな感じのいつになく強引なものでも、一応事前にアポイントをいれて、さらに相手に入室の許可を取るの几帳面さがプロイセンらしいと言えばプロイセンらしい。
これがスペインあたりだと当たり前にふらっときて、こちらが許可を与えるまでもなく勝手に入ってくる。
そんな事を思いながらホテルに備え付けのコーヒーを2つ入れ、立ったままのプロイセンに一つ渡す。
ダンケ、と、それを受け取るプロイセンは相変わらずそこに直立不動。
「座ったら?」
と、視線で椅子をさして自分はベッドに座るフランスだが、プロイセンは
「いや、長居するつもりはねえから」
と、言うので、
「あ、そう。ご自由に」
と、フランスはコーヒーを一口口にした。
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