聞かれてスペインは、あっちゃぁ…という顔をした。
最近、周りに人がいる時にベタベタしたりすると、怒んねん。
家族なんやしええやんて親分は思うんやけど、いつまでも子どもやないて頭突きとんでくんねんで?」
手を合わせるスペインに、フランスは脱力する。
「その花束は?」
「あ~これか。ロマに買うといて言われてん。
もうあの子ナンパする気満々やさかい、可愛いお姉ちゃんみつけたらいつでも渡せるようにて」
「いい。うん。お兄さん大丈夫。反抗期のおこさん大変だよね。早く思春期抜け出るようにお兄さんも祈ってるから」
と、フラフラと立ち上がると
「反抗期じゃねえっ!!」
と後ろからいつのまにか来たロマーノにどつかれた。
しかしそこで蹴り倒されている場合ではない。
「ねえ、他に今日まだ帰らないで残ってる国って誰かわかる?」
と、めげずに立ち上がって聞くと、
「ポルトガルは帰ったで。ルクセンも帰るて。
あと蘭ちゃんはベルとビール堪能して帰る言うとったわ。
あとは……」
とスペインが彼いわく”身内”について語ったあと視線だけ天井へ向けて考え込んでいると、
「バカ弟も今日はイタリアに帰らないって言ってたぞ。
他は俺らは知らねえよ。
全員の予定知りたきゃ芋野郎にでも聞けよ」
と、ロマーノがそれを引き継いでそれだけ言って、さっさと飯に行くぞ!とスペインを引きずっていく。
まあ確かにドイツに聞くのが一番良いのだろうが、ドイツはプロイセンの弟だ。
ドイツに他国の予定を聞いて、フランスが何かをやろうとしているということを知っているプロイセンにそれを知られるのは少しばかりまずい気がする。
イギリスは今日は本来なら自分と夕食と言う名の飲み会をする予定だったので、帰国のための飛行機を予約していないから、このホテルにもう1泊するはずだ。
とりあえず、あと確実にドイツにもう一日滞在するらしいイタリアに念の為連絡を取ってみるか…
そう思って、イタリアに電話をかける。
なかなかつながらない。
嫌な予感がしながらも、フランスが出るまでかけるつもりでかけ続けると、だいぶ待ってようやく
『…っ……チャオっ……今取り込み中…なんだけどっ……』
と、やけに荒い息のイタリアの声。
「取り込み中っ?!まさかイタリア、お前っ!!!」
焦るフランスだが、受話器の向こうで
『…イタリア……とりあえず……終わったらかけ直すということで……』
と聞き慣れた声。
『…っあんっ……でも…ドイ…ちょ、まだ動かないでっ……』
「ごめん…間違い電話だから気にしないで続けて…」
(まだ会議後1時間だよ、早いよ、お前たち。食事も取らずにやってるの?…)
という言葉は飲み込んで、フランスはプツっと携帯を切った。
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