叫びたい!声を限りに叫びたかったが、それを堪える代わりにプロイセンはドン!と乱暴に空のジョッキをテーブルに置いて言う。
本当のプライベートでスラスラ愛の言葉を吐けたら、それはイギリスじゃなくてイギリスの偽者だ」
そういうプロイセンに、フランスは
「確かにね」
と、吹き出した。
「それはわかってるの。
わかってるけどお兄さんだってたまには甘やかされたいし、愛されてるって実感が欲しいわけよ」
と、その言葉をプロイセンは心の中で否定する。
ちげえよ。あいつは口に出さねえだけで言葉よりも目で物言ってんだろうがっ。
俺様よりアイツとの付き合い長いんだから、わかってやれよっ!
好きならアイツに苦手なこと強要したり、無理させてやんなよっ!
イライラするのはプロイセン自身の感情だ。
それを相手に押し付ける権利はない。
ただ、
「うん、普通なら無理じゃない?
だからお兄さんちょっと画策したいなぁとか思ってるんだけど…」
と、上目遣いで見つめてこられて、プロイセンの忍耐は限界を迎えた。
「悪いけど…」
と、席を立ち上がって、自分の分の紙幣をテーブルに置く。
そして、
「俺様はプライベートで必要もないのに誰かをかつげとか言われるなら協力はできねえ。
他をあたってくれ」
と言いおいて、上着を着る間も惜しんでさっさと店をあとにした。
そうしてタクシーを拾って帰宅途中、何をするつもりかは聞いておいた方が良かったか?と少し思ったものの、どちらにしても協力者がいないとできないようなことなら、おそらくスペインと自分以外に事情を知っていて絶対に協力してくれると思えるような相手はいないだろうと思い直す。
それでも万が一…万が一にでもフランスが何かイギリスが傷つくような事をしないようにと、プロイセンは
『馬鹿なこと考えねえで、ちゃんと普通に告白しとけ。
あんま馬鹿な真似すると後悔することになるかもしれねえぞ?
ライバルはスペインだけとは限らねえんだからな?』
と、フランスに釘を刺すためのメールを送って、こうやって危機感を匂わせればさっさと告白するだろうと思って、それ以上突っ込んで聞いてこられないようにスマホの電源を切っておいた。
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