フェイクorノットフェイク、ソレが問題だ_驚愕の事実4

ぎるやだやだやだやだっ……

目を覚ましてギルベルトが膝枕をしていることに気づくと、アーサーはパニックを起こしたように泣き叫んで飛び起きた。

ふらりと揺れる身体。

「ちょ、気をつけろっ!」
と、ギルベルトが慌てて倒れかかるその半身を支えるが、アーサーはそれを押しのけようとする。

が、力の差は歴然として、

「お前、落ち着けっ」
と、ギルベルトの腕のなかにかかえこまれた。


「大丈夫大丈夫だから。全部俺様がなんとかする。
だからあんま暴れるな。
身体に障るだろ」

そう言っていつもアーサーをなだめる時のようにぽんぽんと軽く背を叩くと、少し冷静になったのか、力ではかなわないことを悟って、アーサーはシャクリをあげながらも、ギルベルトの腕の中でおとなしくなった。


ぎるおれ……できたかもって……
と、泣きながらとぎれとぎれに言うアーサーの頭をギルベルトは優しくなでながら、

「あ~聞いた。
とりあえず本当にそんなことがあるのかはっきりさせて、本当ならちゃんと医者に見せてあとは子ども育てる環境作らないとな。
ここじゃあ小さいうちは良いが、大きくなってきたら部屋足りねえし。
セキュリティはここくらいしっかりしてて、でももう少し広い家を探さねえとな」

と、それは困るようなことではないのだと言うことを暗に伝えると、アーサーはおそるおそる顔を上げた。

子どもできないから、俺と結婚したとかじゃ

涙でいっぱいの大きな目。
こんないとけない様子の伴侶と子どもがデキたから別れるとかどれだけ外道だよと、ギルベルトは内心思う。

「俺様、いつそんなこと言ったよ?
確かに副社長はそんな意図があって集めたのかもしれないけど、俺様は単にこの中から選べって大量に並べられた釣書と写真の中からアルトを選んだんだ。
子どもは好きだし、アルトの子どもがいたらすげえ可愛いと思うし、ちゃんと育児するぜ?」

…本当にそんなことがあったらいいな、と、ぎゅうっとだきしめて、アーサーの広い額に口づけると、アーサーは少し安堵して落ち着いたらしい。

コトンとおとなしくギルベルトの肩に頭を預けた。



さて、アーサーのメンタルの方は大丈夫そうだとして、あとは情報を集めて状況をはっきりさせなければならない。

関係ないと言っても副社長とかに知られると面倒なことになるし、自分が面倒なだけならいいのだが、アーサーや万が一いるかもしれない腹の子に危害を加えられることになるのは嫌だ。

とすると、とてつもなく珍しいケースなだけにきちんとした病院でなおかつ秘密裏にとなると難しい。

あいにく出身は経済学部なので、医療関係に知り合いはいないし……と、考えた瞬間に思い出した。

そうだ!そう言えばアーサーの実家は製薬会社じゃないか。
とすると、その総括をしているスコットならアテがあるかもしれない。

そもそもこうなったことについても、何かわかるかもしれないし、協力を求めればいいんじゃないだろうか。


「とりあえずトマトでもなんでも食えるなら食っておけ。
ちょっとトーニョ、時間あるならキッチンであっさりしたもん片っ端から作ってもらって良いか?
俺様も色々調べるから、ちょっとここ頼むわ」

アーサーが完全に落ち着いていることを確認後、ギルベルトはアーサーの頭をもう一度ひと撫ですると立ち上がって、あとをアントーニョに任せて、スコットに電話をするために自室へとむかった。



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