……???
律義な2人のそれぞれの反応に首をかしげつつも、ノアノアはサブクラスの白魔法を使って、念のためパーティーメンバーに姿隠しの魔法をかけていった。
その一方でギルベルトにtellを送る。
と、聞くと一瞬の間。
返って来た言葉は
──あのナイト…お姫さんの知り合い…か?
──は?そうなんですか?
──いや、わかんねえけど…
──…何故そう思われたので?
──……自分とこの白は“白さん”で、お姫さんは“お姫様”…だったから
──あ~!!言われてみればっ!!!
あれだけの会話の中でよくその部分を拾いあげたモノだ…と、ギルベルトの注意深さに本田は感心する。
だからリアルの仕事でもあれだけ有能なのだろう。
いや、リアルが有能な彼だからそこに気づく…というのが正しいのだろうか……
──お知り合いかどうかはご本人に聞けばよろしいのでは?
アリアは聞かれればギルに隠しごとはしないだろうと思って言うと、
──…聞いた
──それで?
──ちょっと取り込み中だから待ってくれって返って来た。
──なるほど。
まあ…そういう反応なら9割方知り合いなのだろう。
知り合いじゃないなら違うと一言言えば良いだけだ。
そうじゃないからどういう知り合いかを言うのには時間が足りないと言う事だと本田も思うし、ギルベルトもそう判断したのだろう。
こうしてそれからは衰弱から回復したあちらのパーティのホワイトメイジと一緒にアリアが全員に蘇生2の魔法をかけていく。
そして全員無事復活。
あちらのパーティから丁寧な礼を受けて、その日ももう少し奥まで行ってレベル上げを始めた。
──ギルさん、さきほどの話ですけど……
と、アリアからtellが来たのは、狩りが始まって少し落ちついてきた時のことだ。
──さっき?ああ、例のナイトの事か
あたりに気を配りながらも、モンスターの沸かない場所までシーフが連れて来たモンスターを倒し終わって次を連れてくるまでの間、一息入れつつギルは保留にされたままの質問を思いだした。
──ええ。実はギルさん達と固定を組む前に一度ご一緒した事があるんです。
──それで覚えてた?
──だと思います。とてもスキルも高いナイトさんで…
──ほお?
──狩り場に行く途中で迷った時も1人で戻って来て下さって…
──ほお……
(つまり…他のパーティメンバーを放置でお姫さんを連れに戻って来た…と?)
と、このあたりで少しもやっとする。
──今回も『不思議な縁だよね。良かったらフレ登録をしてくれないか』と言われて……
『お姫さん、それダメなやつだ!断れっ!!』
もうそのセリフ回しが決定打だと思う。
そういう運命的なとか、その手の意味合いの言葉を吐く輩はかなりの割合でストーカー化する。
というか、今まで散々してきたじゃないか…と、ギルベルトは天を仰いだ。
何故気付かない?
いや、そこで警戒して気づいたらお姫さんじゃないのかもしれないが…
──え?でも…もう登録しちゃいました…
オーマイガッ!!
──お姫さん…このゲームにはブラックリストと言う機能があってだな…
──それは知ってますけど、理由もなしにいきなりそんな失礼な真似できません。
そうだよなぁ…それが出来たらやっぱりお姫さんじゃねえ……
ギルはがっくりと肩を落とした。
これは…またストーカー退治に奔走する日々が始まるのか……
ケイト、ルークと追い払った矢先に第三のストーカー出現か?!
と、そんなギルの当たらないで良い予感はやっぱり当たるどころか、相手がその類の事ではこれまでにない大物だった事を知るまでには、まだもう少し時間がかかる。
…俺様…どんどん敵が増えてくんだけど…と、ため息をつきながらも、それでも飽くまでお姫さんを守る騎士として、ギルは覚悟を決めるのであった。
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