温泉旅行殺人事件_迷探偵のアリバイ崩し7

事件当日…被害者の小澤は特に軽食等を頼んだという事はない。
ただ予約時の電話で食事は不要と言われたと言う。

そのメールには20年前についても書かれている。


「なるほど…わかった気が…する」
ギルベルトは言って和田にメールを打った。

「何がわかったんだ?」
ルートが聞いて来るのを
「ちょっと結果が出るまで待ってくれ」
と、ギルベルトは送信ボタンを押す。

そしてその後ギルベルトは

「そう言えば…ルッツも一つ聞かせてくれ」
と、ルートを振り返った。

その後秋にもメールを送る。



数十分後、離れのドアがノックされた。

「ギルベルトさんっ!開けて下さいっ!」
和田の声だ。

ルートがあわててドアを開けに行く。
鍵を開けると、和田は慌ててギルベルトのいる和室に飛び込んで来た。

「ギルベルトさんっ、これはどういう事なんですか?!」
ルートは混乱している様子の和田に驚きの目を向け、次にギルベルトに無言の問いかけを送る。

ギルベルトはそんな二人を交互に眺め、それからアーサーに目をやった。

「ん~まあ多分わかった気がするんだが、念のためお姫さん、発破かけてくれね?」
「はっぱ?良いけど…冬だから落ち葉とかあるかな?」

ギルベルトの言葉にきょとんと眼を丸くするアーサー。

「めっちゃ可愛いけど違う…お姫さん、それハッパ違いな?
落ち葉の葉っぱじゃなくて火薬の方の発破。
きっちり正確に華麗に謎を解けるように、ゆびきりしてくれ」

と、笑いながら指を差し出すと、ギルベルトの可愛い可愛い恋人様はぷくりと頬を膨らませて真っ赤な顔でその小指に小指を絡めた。

「ゆ~びきりげんまん、ちゃんと殺人事件を解決しろよっ。できなければ…」
と、それでも律義にちゃんと節をつけて歌ってくれるお姫さんの優しさ可愛さプライスレス。

ついでにそこでいったん言葉を切って、可愛い丸い目でみあげてくるものだから、嘘をつかなくても昇天してしまいそうだ。

そして一瞬のち、お姫さんは実に愛らしいいたずらっぽい笑みを浮かべて

──針千本だ~♪

と言った。




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