小澤は何故わざわざ夕食を不要と言ったのだろうか…。
それによってどういう影響が出た?
ということは…その10分弱前から仲居が食事の支度をしに出入りをする。
犯行推定時刻のまっただ中だ!
その時間に遺体が発見されたら…本当に殺されたばかりという事になる。
殺害直後かそうじゃないかくらいは一目瞭然だ。…実はそうじゃなかったとしたら即わかる。
他に不自然に思えるところはどこだ…
当たり前に見過ごしていた部分に実は何か重要な意味があるかもしれない。
争った形跡はいいとして…わざわざ衣服に血をつけて切り刻んだのはどうしてだ?
クリーニングの袋に入ったままだったシャツまでわざわざ出して切り刻む理由がわからない。
意味なく時間がかかるだけじゃないのか?
「なあ…クリーニングの袋に入ったままのシャツまで引っ張りだして切り刻む理由って…なんなんだろうな…」
自分だけよりはルートにも聞いてみようと、食後にアーサーがいれてくれた茶をすすりながらギルベルトはルートに話しかけた。
ルートはそれにふむ…と、顎に手をあてる。
「返り血を浴びないため被害者の服を重ねて着て被害者を刺殺したあと、また自分が着て来た服に着替えて、その証拠となる服を切り刻んでごまかしたとか?」
考え込んだあとにそう言うルートにギルベルトは首を横に振った。
「それ…俺も考えたんだけどな…全部の服についてる指紋や毛髪とか全部被害者のらしい。
シャツのボタンとかにも被害者の指紋はついてたらしいけど、他は一切なしだ」
「そうか…。覆面とかしてたとか…?」
「でもな、目立たないか?髪をきっちりださないような格好って。
覆面なんかしてたら返り血ついたシャツわざわざ着替えて処分してから移動する意味無いし…」
「なあ、なんで…犯人しか触ってない服にまで死んだ人の指紋ついてるんだ?」
ルートとギルベルトでああでもないこうでもないと意見を出し合っていると、アーサーが突然口を挟んだ。
「そりゃ…被害者の服だから。いれる時とかつくだろ?自分で用意してれば。」
当たり前に言うギルベルトだったが、すぐ
「…あ…」
と、気付いてポンと膝を打った。
「そう…だよなっ!」
「で?なんでだ?」
本気で何にも考えてない素朴な疑問だったらしい。
お姫さんは自分の聞いている意味はわかっただろ?で、答えは?といわんばかりに聞いてくる。
その時…携帯が振動した。旅館の女将、秋からだ。
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