青い大地の果てにあるものオリジナル_ 1_26_ 北欧組到着前日

「なんだか...注目浴びてますね...
シザーは食堂の片隅で正面に座って食事を取るフェイロンに声をかけた。

...珍しいんだろうな、この組み合わせが」

仲がよろしくない事で知られているブレイン、フリーダムそれぞれの部長が仲良く一緒に食事を取っているのだ。珍しくないわけがない。

「どちらにしても今後ジャスティスも交えて話し合いの場を定期的に取る事になるだろうし、周りも慣れて気にしなくなるだろ。そのうち」

細々した事が気になるシザーとしては堂々としたフェイロンの態度が少しうらやましい。

まあ彼の場合ブルースターに入った15の頃から愛でる会に追いかけ回されていい加減注目を浴びなれているだけなのだが、そんな事はシザーは知らない。



「まあ...とりあえず週間に度くらいは定例会でも持つか。お互いの情報交換に」

「ですね。とりあえずは...今日はほとんど必要な事話せなかったので明後日良いですか
北欧支部の引っ越しが今週中にあるので。
一応ブレイン、フリーダム、事務、医務全部を含めた歓迎会は今週末に考えているのですが、ジャスティス人は早めに本部入りするそうなので明日は先に顔合わせがてら本部長支部長ジャスティスのみでお茶会とかできると良いかなと思うんですけど」

「明後日か。こちらはとりあえず空いてるから時間はそちらで決めてくれ。
顔合わせも了承した。
基本は茶でもいいが、俺とコーレアはアルコールを用意してもらえるとありがたい」
フェイロンの言葉にシザーはクスっと笑う。

「ホントにあなたはアルコール好きですね。
わかりました。用意しましょう。
ところで...コーレアさんとは知り合いなんですか

「ああ、フリーダムは下っ端の頃は結構あちこち転々とするからな。
懐の大きい男だ。あれがくればお前も楽になる。
タカも懐いてるし他の連中も会えば懐くと思う。
おそらくジャスティスのまとめ役になってくれるだろう。
タカは…まあ最近は少し丸くはなってきたが、まだまだガキだからな。
周り中を背負い込むにはまだまだ余裕がない」

「それでも彼はよくやってくれてる方なんでしょうね...
ぶっちゃけ僕も余裕ないと全部彼に振っちゃってますし。
他の子じゃとっくにつぶれてますよ」

「まあな...一族の長として育ってるからな。
歳のわりには精神的に強いとは思うが。コーレアは本当の大人だから。
確か今年で32か。俺らよりさらに上だしな。
あとはシランっていう爺さんも枯れ具合がいいぞ。
ジャスティス最年長どころかブルースター最年長でいつから生きてるやら誰も知らん。
あと一人トリトマは本部組と同世代だな。
俺は会った事はないが能力的には完全攻撃型アタッカーらしい」
と、その時シザーの携帯がなる。

「はいはい。わかってますよ。
ああ、もうですか...。戻らないと...しかたないですね」
シザーは一通りの受け答えをして携帯を切ると苦笑した。

「噂をすれば...北欧のブレイン支部長がついたらしいので会ってきます」
「あいつは...やり手の女だ。
コーレアのダチだから奴が来るまでは何かあったらフリーダムに逃げ込んでこい。
かくまってやるぞ」
「逃げ込まないとならないような相手...なんですか
にやにやと言うフェイロンにシザーは少し困ったような顔で笑う。

「俺は...北欧支部に飛ばされたのは年ほど前だが支部長のルビナスにはいじめられたぞ、かなり」
フェイロンの言葉にシザーは小さくため息をついた。


「その時は...よろしくお願いします。」

それでも...困っていたら助けの手を差し伸べてくれる相手がいるというのは暖かい気分になる。
友人...いつかそう呼べるようになるのだろうか。

「じゃ、待たせてもなのでそろそろ行きますね。今日は色々ありがとうございました」

いつもの油断のない表情ではない、柔らかい笑顔を浮かべて軽く会釈をするシザーをフェイロンは軽く手をあげて見送った。


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