ツインズ!26章_4

ギルベルト視点

エンゲージリングはトラブルの始まり4


「あんたが可愛い男の子と結婚したいって聞いた時はびっくりしたわ。
でもまあ…昨今はあんた好みの初心でどこか脆い守ってあげたくなるような子って、女で探すより男の子探した方が早いっていうのは前々から思ってたけど」

ご機嫌で隣を歩くエリザ。

どちらかと言うと可愛いというよりはさばさば系の彼女はギルベルトの好みではないけれど、こうして機嫌良く笑っていると、確かに美人は美人だ。

子どもの頃は男の子が欲しかった親に男の子として育てられていて幼稚園までは本人もそう信じていたため、下手な男の子よりも男の子らしかったが、今では薄化粧に好きな男にもらった花の髪飾りなんてつけていて、外見上はすっかり女っぽくなった。

それでも突っかかって来なければ話しやすいし、ギルベルトと同じくお節介なところもあって、でもそれが他人からは面倒見が良いという評価を得ているので、周りに人が集まるのもわかる。

趣味の事となると色々理性が吹っ飛ぶのは難点だが、それでも最低限の空気は読んでくれて、ぎりぎり絶対に茶化されたくない部分は茶化さず相談にも乗ってくれるので、ありがたい。

「お姫ちゃんの実家の事とかこれからが色々大変だとは思うけど、それまで大変だった分、幸せにしてあげなさいよ。
必要ならあたしだって協力は惜しまないからねっ!
荒事だってどんと来い!よ」

と、力こぶを作ってみせるあたりは相変わらずだとは思うが……

「おう。一応お姫さん守って生きて行くって自分で決めてから物理的な事は色々調べたんだけどな、なんつ~か…そういう関係におけるメンタル面っつ~の?そういうのはなかなかマニュアルも見つからねえし今ひとつわかんないままだから、いざとなったら相談させてもらうわ」

と、さきほどまで色々考えていた事もあってそう言うと、エリザはきっぱりはっきりピンポイントで

「ああ、夜のこと?そうよね。同性だとどこまでやるのかとか、どういう役割でやるのかとか色々あるし、相手が繊細な子だと確認の仕方もデリケートで悩むわよね」
と、まさに正解な部分をついて来る。

え?ええっ?!!エリザ、お前、エスパーか何かかっ?!!!
と、ギルベルトが叫びたくなったのも無理もない事だと思う。

「おまっ…なんでピンポイントで正解ついてくるよっ?!!」
と、さすがに驚きをぶつけると、エリザは
「場数よ、ば・か・ず!!」
と、ふふんと得意げに笑った後、若干表情を柔らかくして

「あんたとしては全てきちんと把握して全てきちんと確認して進めたいって思ってんでしょうけど、そういうのって空気ってのがあるからね。
あんたから聞いた範囲のお姫ちゃんの人物像だと、そう言う事をきっちり明らかにしようとか思わない方が良いと思うわよ。
籍を入れて式をあげるなり旅行行くなりした夜に正直に、『何より大切だし誰よりも愛しているんだ。だから欲しい…一つになりたいんだ』って伝えてあげると良いと思う」

と、なんとも有用なアドバイスまでくれる。

目の前で男の声音で台詞を再現する幼馴染に唖然とするギルベルト。

幼い頃から一緒に棒っきれ振り回しながら育ったのに、何故そんなイケメンに育っているのかよくわからない。

でも確かにお姫さんならその方がオチそうだ。

ギルベルトは本当に本当に本当に…ひとえに

…こいつがライバルとかじゃなくて良かった!!

と、心の中でやけくそのように大絶叫をしたのだった。



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