ギルベルト視点
奪取…そして…2
とりあえずは今は守るべきはお姫さんの心身だ。
とにかく父親と接触させないだけではなく、そうやって父親から追われるであろうこともプレッシャーになるだろうから、全てが解決できる時期がくるまでは告げないでやりたい。
それでも色々納得がいかなくて、顔に出ていたらしい。
お姫さんの部屋に荷物の運び出しがてら迎えに行ったら、自分でも無意識に険しい表情をしてしまっていたらしく、少し怯えた顔をされた。
そう言う時、叔父は大人だと思う。
飽くまでにこやかに穏やかに一緒にいた双子の妹にまで挨拶をして、お姫さんがうちに来る事になったという事を2人に説明した上で、荷物を一緒に運びだす。
それだけではなく、どことなく心細くなって落ちつかないのであろうお姫さんを気づかって、帰りに可愛い服を買いに行こうとデパートに。
まるで父親のような態度でお姫さんを緊張させずに甘やかしてやる様子を見て、正直負けていると思った。
早く心身ともに大人の男になりたい。
お姫さんが安心して頼れるように…
そんな事を思いながら帰宅して、ルートも交えて楽しく食事をして2人して離れに戻る。
そして就寝時間。
一応今日デパートに行った時にいずれ必要になるかと思って大きめのベッドは注文しておいた。
それは今寝室に置いている本棚と机を別室に移して、場所を作ってそこに置こうと思っている。
そして当座はお姫さんにそちらの広い方のベッドを使ってもらって、自分は元々使っていた狭い方のベッドを使い、2年後、籍を入れたら狭い方のベッドは片付けて広い方で同衾すれば良い。
しかしながらベッドが届くまで2,3日ほどかかるので、それまでは自分はリビングのソファで寝よう。
そう思っていたのだが、お姫さんに異を唱えられた。
いわく…
──一緒に寝ればいいんじゃ?
──いや、それはまずいだろ。
──同性なのに?
──きちんと籍を入れるまでは……
──…やっぱり……俺と一緒に寝るのは嫌なのか……?
うあああーーー!!!なんでそうなるっ!!!!
と、そのあとに、居候なんだからギルが一緒に寝るのが嫌なら自分の方がソファに寝る、と、言われた時点で負けた。
自分がベッドに寝てお姫さんをソファに寝かせるなんてとんでもない!!
ということで…非常に緊張しながらベッドに寝るお姫さんの隣に潜り込む。
するとふわりと香る花の匂い。
周りにいた女性陣のように鼻につくようなものではなく、本当にふんわりと香るそれに、このフローラルな香りってもしかして本当にお姫さん自身の体臭なのか?と驚く。
本当に…今まで見て来た女性陣とも自分達男ともどこか違う。
お姫さんは男でも女でもなく、お姫さんと言う生物なんじゃないだろうか…
そんな事を考えながら、ギルベルトはその日は花の香りに包まれて眠りについた。
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