ギルベルト視点
ウサギ王子とお姫さん2
「あ、あのっ!!」
「ん?」
「わ…私、男性とか慣れてなくて…」
「みたいだよな。だから本当に無理しないでいいぜ?」
「いえ、あ、あのっ…お、お友達ってだめですかっ?」
そこまで言ってぎゅっと目をつむるアリス。
すごくいっぱいいっぱいですという感じが本当に可愛くて、内心悶え転がる。
最悪二度とこんなふうに会う機会は持てないかと思っていたので、友人からでも全く無問題。
むしろ二人で出かけるのはNGではなさそうなので、さきほど再開した時に涙のお願いをされたことを考えれば快挙だ。
そう思って即答すると、それでも彼女は何か言いにくそうにモジモジしている。
まだ何かあるのか?
「他に何か俺様に言いたい事あったりするか?
なんでも遠慮せずに言っていいぜ?」
そうこちらから声をかけると、彼女はさらに真っ赤になって、すがるような目をしておずおずと切り出す。
「あ…あの…本当に図々しいお願い…なんですけど…」
「ん?」
「ギルが本当にお付き合いしたいと思う方ができるまででいいんです。
その…そういうお付き合い…してるってことにしてもらえませんか?」
「あ~、またフランに余計な世話されるもんな」
そう言うとうんうんと頷くアリス。
申し訳なさそうに提案されたわけだが、ギルベルトにしてみれば渡りに船だ。
おそらく男慣れしていないアリスはいわゆる男女の関係になるのは怖いのだろう。
だけどギルベルトとでかけたりするのが嫌なわけではなさそうだし、恋人というとそういう濃厚な接触をしなければと思っているらしい…と、ギルベルトは理解した。
確かに昨今、つきあったらすぐそういう関係になる男女が多いが、ギルベルト的にはキスをするまでには最低1年。
それ以上になるのは、互いに結婚できる年になって自分に自活できるくらいの収入ができた頃に正式にプロポーズして、婚約期間は1年くらいは経て結婚をしてから、と考えているので、それまでは逆にお友達のような関係でも全く問題はない。
というか、すぐそういう関係になりたがる昨今の女子たちと違って、そういう奥ゆかしいところがかえって好ましく思えた。
問題ない。全く問題ない。
と、いうことで……
「んじゃ、これからは”恋人”っていう名のお友達な?
メルアドとライン交換していいか?」
と、ギルベルトがそれを了承した旨を伝えてスマホを手にすると、アリスは心底嬉しそうな顔でうんうんと頷いて、バッグの中から可愛らしいレースとリボンがいっぱいのポーチを出して、そこからスマホを取り出した。
こうして最初はどうなることかと思ったが、ギルベルトは無事理想の彼女をゲットしたのである。
もちろん…その後に諸々の問題が噴出することは、この時は予想だにしていないわけだが…
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