アーサー視点
チェンジ!
レースにフリルにリボン…
自分がアリスと同じ女の子だったなら、確実にその世界にどっぷりと埋もれている。
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柔らかい女の子の洋服の世界…
困ったことに実はアーサーはそれが嫌いではない。
…というか、すごく好きだ。
でも男である以上、そんなものが好きだと言ったら確実に引かれるので、家族にすら母親が与えたがるのをアリスが拒否るから仕方なく…といっている。
もっとも学校でも男のアーサーが刺繍や手芸が得意でも引くことなく、仲良くしてくれる女子が少数いるが…。
まあ、彼女たちでもさすがに女装姿を見たら引くだろう。
絶対に…絶対に自分だとバレるわけにはいかない。
そう思えば身支度にも気合が入る。
幸いというか不幸にもというか、アリスはアーサーの髪の色のロングヘアのウィッグまで持っていたのでそれをかぶり、さらに本人が秘かに貧乳を気にしていたらしく、本当の胸の感触に近いパッド、ヌーブラを持っていたのでそれ+そのサイズ用のブラを借り…やるなら徹底的に!と、男性用女装変装用パンツパッドなるものまで通販で注文され、股間まで完璧な女装グッズを渡されたので、もうあとは本人しだいというところなのだが……
とりあえず全部を身につけてみる。
太めの眉はウィッグで隠し、上下のパッドを身につけ…アリス提供の勝負をするつもりもないくせに持っている勝負下着上下を身につけて、その上からアリスの制服を着た。
どうしよう…可愛い。
我ながらあまりに可愛くて楽しい気分になってくるのがまずい。
一方で自分の制服を着たアリスがイケメンすぎて怖い。
正直自分よりもかっこいい気がする。
「これ…やばいわ…」
「ああ、やばいな…」
「あたしね、自分が男でアーティが兄弟じゃなかったら、交際申し込んでるレベルだと思う」
「俺も…自分が女でアリスが兄弟じゃなかったら、二つ返事でOKしてると思う」
互いに互いを凝視すること数秒。
互いの口から出てきたのはそんな言葉で、
「「男女逆だったら良かったのになあ…」」
と、それは二人の口から揃って漏れた。
とりあえずアリスは別にアーサーの制服を着ているのを見られても自分だとバレても構わないというが、アーサーはさすがに女装がバレるのは避けたい。
なので、二人が揃っているとバレる確率も倍だろうということで、それぞれ別に現地に向かい、店の最寄り駅で待ち合わせをするということになった。
恥ずかしい…バレたら怖い…
そんな気持ちが強いのは確かだが、一方で可愛い格好をしているのが楽しい自分がいるのが本当にやばい…と、アーサーは思う。
アリスが先に家を出て、やや遅れて自宅を出るアーサー。
庭先でくるりと回ってみれば、ふわりと揺れるスカートが正直楽しい。
こんな可愛い制服が好きじゃないというアリスは本当に変わっていると思う。
もちろんその原因が、女の自分よりも遥かにそれが似合ってしまう兄がいるせいだということを、アーサーは知らない。
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